同僚から怒られて大切なことを思い出した
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
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記事:鹿内智治(ライティング・ゼミ日曜コース)
「リーダーとして、仕事をちゃんとしてください!」
一緒に働くメンバーたちが集まった場で、私は1人のメンバーから強い口調でクレームを言われた。
「私が各担当の取りまとめをして、お客さんに報告するはおかしいんですって。私は1担当です。これまで1年ちかくやって黙ってやってきましたけど、もう嫌なんです! 取りまとめはやってください!」
なぜそんなに怒っていたのか最初は理解できなかった。4半期に1度する作業で、決まりきったことなんだから、やってくれよと正直思った。定型化されているらしいし、前任者も特に何も言わずにやっていた。今回急に言われて驚いたのだ。そんなに大変なのか疑問だった。仕事の中身を詳しく内容は知らないが、私の仕事を増やさないでくれと思った。
「これまでも問題なかったんだから、今回もお願いできません?」
「だから。私がやっていたら、誰もできるようにならないでしょ。今回は自分の担当のことしかやりませんから!」
完全にそっぽを向かれてしまった。本来はリーダーの私がやるべきだと彼は言う。本当にそうなのか?なぜ現場の仕事に拘るのだろう。これまで通りやってくれれば、ひとつの上の視点が得られるだろうに。それでは変えの効く人材になってしまうぞ。それに、その言い方がムカついた。他のメンバーがいる前で、そこまで言わなくていいではないか。正直、リーダーとしてダメと言われたように思い、イライラした。たいした仕事をしてくれていたわけでもないのに、何をそんなに偉そうに言うのだ。そもそも俺が決めたことじゃない。
私は最近グループのリーダーになったのだ。これまでサブリーダーにいたのだが、前リーダーが別のプロジェクトに異動になり、私が正式にリーダーになった。だから、これまで作業分担を決めていたわけではない。文句があるなら、前にリーダーに言ってくれよ。変わった途端に言うと卑怯だ。その日以来、彼を見ているとムカついた。なにかギャフンと言わせたかった。でも、彼に教わることは多かった。教えてもらったことに頭を下げることにムカついた。ムカついて仕事が手につかなかった。それほど、言われたことが気になっていたのだ。
ある日、「あ、この感じが似ている」と思ったのだ。それは別の担当にいたときのこと。そのときも急に30人のメンバーのグループのリーダーになった。みな年上で、スキルも経験も上の人ばかり。リーダーになった途端、いろいろ意見や文句を言われた。手順が悪い、段取りが悪い、業務知識が足りないと言われて落ち込んだ。言われたからと言って、すぐにそうなるわけでなかった。あまりに言われて私も一杯一杯になったとき、「じゃあ、どう変えればいいと思いますか?」と話し始めたのだ。私が考えるだけではとても無理だったので、文句を言うメンバーを巻き込んでいったのだ。それ以来、建設的な意見が増えて、グループの雰囲気は少しずつ良くなり、成果が上げるようになっていたのだ。あのときは結局、会話量を増やしたことで、チーム感が増えていった。
またあれをやろうと思った。彼の言うとおり仕事を進めた。分からないことは素直に質問した。彼の思う通りに段取りを組んで進めていった。各メンバーからどう情報を吸い上げるのか、どういう段取りで進めるのか、お客さんや上司にはいつ手続きをするのか。彼にどんどん聞いていった。最初はつんけんしていたが、私が真剣に取り組むのを見て、やさしく教えてくれた。教えてくれてありがとうと伝えた。
彼は、もしかするとこれまでもに同じことを言ってきたけれども、真剣に聞いてくれる人がいなくて、不安になっていたのかもしれない。不安から怒りになったのかもしれないと思った。たしかに誰にも気づかれず、ひとしれずやる作業はうんざりすることがある。うまくいけばいいが、お客さんから注意を受けたら、「オレの仕事じゃないのに」と思ったのかもしれない。いずれにしても、これまでやってくれたことには感謝しかなかった。だから、私がちゃんとやろうと思ってやったのだ。問題なく進めることができ、お客さんも喜んでもらい、彼のとの仲も普通に戻ることができた。イライラを消化することができたのだ。
人間関係やコミュニケーションに悩んだとき思い出す言葉がある。
「相手の反応が、コミュニケーションの成果である」
相手がどう反応したかは、自分がこれまで相手とどうコミュニケーションを取ってきたのかによるということだ。つまり、相手の反応は相手に責任があるのではなく、私自身の責任あると言っている。相手が悪い、相手の責任だと言いたいことはある。でも、相手のせいにしていても、解決しないばかり、私のように感情まで乱されて、仕事の生産性まで落ちることだってある。それは、お互いに悪影響するだけでなく、グループ全体にとってよくない。だから、まず自分から変わることだ。これを意識してこれからも実践しようと思った。
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