「君って、変わってるよね」への対処法
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:ヤマモトマサコ(ライティング・ゼミ通信限定コース)
「本当に、すごく変わってるよね」
毎週金曜日に開催される会社の同期女子たちのZoom飲み会での一言。
私自身、自分のどこがそんなに変わっているのか全く分からない。
多少空気が読めないし、会社の人間関係にみんなより無頓着だということは自覚している。
でも、それだけで? コミュニケーション能力は確かに重要だけど。
25歳にもなって、「すごく変わっている」、要は「周りから浮いている」ということだと思うのだが、そんな感じでこれからも生きていくのは、ちょっとまずいのではないだろうか?
在宅で家に引きこもっていて、考える時間はたっぷりある。私は真剣に自分の性格と将来について悩み始めてしまった。
私は友人や知人から、良く「変わってるよね」「クレイジーだね」と言われる。笑いながら言われる時と真剣に言われる時があるが、どちらの場合も言われてあまり良い気はしない。おそらく、「ちょっと理解しがたい、相容れないところがある」というニュアンスが伝わってくるからだ。そう言われる度に、申し訳ないような情けないような気持ちになる。一生懸命、他の人の真似をしてリアクションをしたり、仲間内の流行に合わせて振舞ってみたりしたこともあるが、どうしても続かない。生理的に受け付けない。
なんだか、話すにしても、みんなのペースについていけないのだ。友達の意見に、「あ、そうそう、そうなんだよねー……」と言う言葉を考えている間に、他の子がワッとしゃべって、次の話題へ変わっている。「あれ、言うタイミング逃しちゃったな……」と考えているうちに、気づいたらまた次の話題に変わっていたりする。
「あれ、全然喋らないじゃん」
「えへへ……」喋らないようにしているわけじゃないんだけどなあ。決して、喋らないから楽しんでいないわけでもない。みんなの話を聞けて私はとても楽しいのだけど、どうやら、私は人よりだいぶゆっくりと考えて話す節があるようだ。
思えば、小さい頃からマイペースの極みとも言える、特別おっとりした性格だったエピソードはたくさん聞いたことがある。
幼稚園のころ、お遊戯会で私だけ必ず周りの子よりワンテンポ遅れて動くから、遠くからでもどこにいるかすぐ分かると母に言われた。クリスマス会でも、プレゼントをもらおうと我先にサンタさんに群がるみんなの輪に加われず、一人でサンタさんに気づいてもらえるのをのんびり待っていた。一番象徴的なのは、「デザートにみかんとバナナどっちが食べたい?」と母に聞かれて、どっちにしようか悩んでようやく「バナナ」と答えたときには、もう5分くらい経っており、返事がないから決められないのだと思った母がみかんを剥き終えたところだった、というエピソードだ。「まさか黙っている間、ずっとどっちにしようか考えていたとは思わなかった」と驚かれた。
家族の中では、とことんマイペースな性格ということで許してもらえるが、社会人になってこれだと、効率が悪くてとてもじゃないがやってられない。実際、仕事の効率は悪く、残業はほぼ毎日だ。これはもう、マイペースでは済まされないのではないか?最近知られるようになってきた、大人の発達障害というやつなのではないか?今まで気づかなかったが、自分はとても出来の悪い人間なのではないか。ネガティブな考えがぐるぐると頭を回る。
毎週金曜日のZoom飲み会がとても辛く、苦手に感じるようになっていた。
ある日、大学時代の友人と電話をしていた。比較的に私のマイペースを受け入れてくれる優しい子だったので、率直に悩みを相談してみた。
「会社のZoom飲み会で、変わってるってまた言われちゃたんだけど、どこがそんなに変かな。ちょっと25にもなってこれはさすがにまずいだろうし、治したいんだけど……」
「べつに、私は変わってるとかここを治してほしいとか思ったことないよ。普通って言われる方が、つまんないみたいで嫌だけど。誰にも迷惑かけてないなら、そのままでいいんじゃない?」
なるほど、目から鱗。私にとって、そんな優しい考え方があったんだ。
「変わっている」を悪い意味で変人と捉えるか、誉め言葉で非凡だと捉えるかは、その人の受け取る心持ち次第だ。芸術家なんかは特に「変わってる」と言われ、でもその個性を受け入れられて大成している。こんなマイペースな性格も、人と違うことを自分で受け入れ、その感性を伸ばすことで生かせる道が、探せば見つかるのかもしれない。
今のところ私は特に才能もひらめきも持ってはいないが、そのままでいいと言ってくれる友人がいる。
何より、この子が友達でいてくれて本当に良かったと心から思った。ジーンとありがたみを噛みしめていた時に、その子が一言。
「ちなみに一個言うなら、服装がすごくダサいことくらいかな。その年でファッション気にしない人も中々いないじゃない?」
服装だけは、在宅明けの出勤までに何としても改善したいと、心に決めた。
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