食わず嫌いだった過去と今
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:築地 顕乃(ライティング・ゼミ通信コース)
「保険とか銀行、金融関係には絶対イヤ! だって数字ニガテだもん」
と、大学4年生のときに豪語していた私。今、保険代理店で働き始めて5年目になる。
大学生活は順調だった。就職関係の学生主催イベントも携わり就職活動の(いわゆる)成功は目に見えていた。はずだった。
就職先の第一志望は市役所の特別枠(公務員試験不要の一般枠)に、最終面接で落ちたのだ。
自信満々だったイケイケ女子の伸びきった鼻はぽっきりと折られ、夏休み真っ只中で、内定ゼロ、スタート地点どころか、マイナス100歩ぐらい遅れた気持ちになった。
ボロボロの心のまますがるように大学の就職支援センターに足を運んだ。
顔なじみの先生ばかりで、逆に恥ずかしかったが、恥を忍んで相談した。
やりたいこと、やりたくないこと、興味のある業界・ない業界、自分のことをきちんと1から話した。冒頭の言葉はその時に伝えた言葉だ。
なのに、「ここの説明会を聞いてごらん」と促されたのが、件の保険代理店だった。
この先生、何聞いてたん? 私、保険イヤって言ったよね?
絶対イヤと言ったわりには、逆に促された理由が気になった。
タイミングも合ったし内定ゼロだから文句も言っていられないし、とりあえず話だけ聞いてみよう、と思って説明会に行ってみた。
それで、一言で言うと、この会社の考え方、理念、やり方に惚れてしまった。
人並みの志望理由だが、共感したのだ。
まず、保険は万一のときに役に立つものだからこそ、24時間365日で対応する。それは本来「保険会社」の仕事だが、お客様に一番近い存在だから我々「保険代理店」こそ24時間備えるべきだ、という考えだ。お客様を家族と思えば、24時間駆けつけられる。だから逆に言えば、よく知らない人には気持ちが入らない、という考えから新規営業はしないし、ノルマもない。ノルマを追いかける暇があるなら、今いるお客様の万一に備えて、勉強し、リスクマネジメントをする。お客様のためなら、揉める事故相手にも、払わない保険会社とも、全力で戦う。社員は家族、企業理念は社員をくっつける接着剤のようなもの。共感をして同じ方向を向くためのもの。もし、明日、我々が「保険」をやめて「介護」事業を始めても、企業理念が根底にあれば、集まった人は同じ方向を向いて仕事ができる。
なんか、かっこいいな。純粋にそう思った。
そして、すごいな。考え方に圧倒された。
縁あって入社できた後も、驚きっぱなしだった。
本当に保険会社と戦うし、学校では教えてくれなかった保険、お金、社会福祉制度、法律のこと、弁護士相談、ありとあらゆる知識が会社にあふれていて、お客様に惜しみなく提供していた。お客様のためなら、なんでもやる、という言葉が本当にぴったりだった。
生命保険といえば、死んだら何千万円、というイメージがほとんど。
保険に入るべきなのか? そんな基本的な疑問にもきちんと答える。
それは「みんな入ってますよ〜」ではない。
「あなたが死んだら、誰が、どれぐらい困ると思いますか?」
疑問に、問いかけを発し、お客様から答えを導き出す。
夫婦2人、共働きで子供なしの家庭で、どちらか一方が亡くなるのと、
夫婦+子供2人、しかも専業主婦の家庭で、一家の大黒柱が亡くなるのとでは、
たとえ同じ35歳だったとしても、生活に必要なお金は変わってくる。
住宅ローンや車のローン、収入、貯金、ライフプラン、すべてを把握できないと、お客様一人一人に合った保険提案はできない。
極端な話、貯金が豊富なら、保険なんてかけなくていいと思います。
でも、1億も2億もまだ貯金がないから、何かあったときのために保険という手段を考えましょう。
そこまで私は言えるようになった。
数字がニガテという理由から、保険なんてイヤだ、という超食わず嫌いだった私。
あのとき参加を促してくれた就職支援センターの先生は、物事の本質を見抜いて、私を促してくれたのだろう。
私は、誰かの生活のためになることがしたかった。そばで不安に携わりたかった。安心を与えたかった。ものすごく上から目線だったが、そんな思いがこの職業で形にできるとは思いもしなかった。
私たちは、学校では教えてくれないことを、社会人になってからたくさん発見する。
お金、税金、保険、医療、住宅、車。
その都度会う先達に、いろいろなことを教えてもらう。
でも、昨今の新型コロナウイルスに関しては、歴史を学んでも対応できていない現実がある。
新型コロナウイルスの情報は、毎日錯綜している。
情報が溢れかえる世の中で、スマホの情報で知った気になってしまう。
あっという間に情報が広がる世の中だからこそ、思い込みで発信したことがあっという間に世の中に広がって止められなくなる。いつのときも一次感情で物事を判断してはいけない。
就職活動でも、好き嫌いせずにいろんな話を聞いてみればよかったと、今になれば思う。
でも今の人生も悪くはない。これからの人生、この文章を書くきっかけになったライティング・ゼミ然り、いろんな情報を取り入れて、物事の本質を見極められるようになりたい。
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