コロナ渦の連休。テラスハウスで行う人類補完計画
＊この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか？賞を取れるのか？プロも通うのか？〜
記事：池水麻衣子（ライティング・ゼミGW集中コース）
突然だがテラスハウスというテレビコンテンツをご存知だろうか。
おしゃれな男女６名が、これまたおしゃれな家で共同生活を送る様を記録した、リアリティショーと呼ばれるジャンルの番組で、フジテレビ系列のテレビシリーズとして誕生し、現在はNetflixなどで配信されている。
恥ずかしながら、わたしは存在こそ認識していたもののこれまで視聴したことがなかった。だってどうせ台本があって、絶賛売り出し中の芸能人の卵たちが
ウェイウェイ酒に溺れ、一つ屋根の下の不純異性交遊を見せつけてくるんでしょう！？
なんたる地獄絵図！
なんたるふけつ！！！
お前ら田舎のばあちゃんが見たら泣くぞ！！！！
そもそもわたしは恋愛コンテンツが苦手で、女子高生だった時代もクラスで回し読みされていた青春恋愛漫画に辟易して、週刊少年ジャンプを愛読していたし
この「テラスハウス」の系譜とも言われる「あいのり」も低俗で軽薄だなどと小馬鹿にしていて見たことがなかった。
しかしコロナ渦による家ごもりの友にと親友からすすめられ、ものは試しで見てみることにしたのだ（筆者は偏見に満ち溢れた人間だが、そのへんのフットワークは軽い）。
結論、わたしのこのゴールデンウィークはテラスハウスに大半を捧げることになってしまった。
どこにも出かけられないこの連休。
もともと出かける予定をしていた軽井沢への想いを昇華させようと
「軽井沢篇」から見始めたのだが（テラスハウスは湘南やハワイなど物語の舞台を変えてシリーズ展開している）
軽井沢の雄大で美しい森、デザイナーズ物件であろうフォトジェニックな別荘を舞台に、美男美女が人間臭い、みっともない姿を惜しげも無く見せられ、Netflixの自動再生機能も合間って、止められなくなってしまったのだ。
朝起きてはテラハ。ご飯を食べてはテラハ。ちょっと休憩してテラハ。
やめようと思ってもついつい続きが気になって再生ボタンを押してしまっているのだ。
今なら薬物中毒者の気持ちもわかる。
やはり若い男女が集まるとなると恋愛がらみの嫉妬のドロドロがもちろんあるが
恋敵も同居人であるためドラマでありがちな、なりふり構わずのような感じではなく
言葉では一応の気遣いをしながらも、態度にもろに滲み出してしまうところがなんともたまらない。
そして他人のリアルなデートの様子なんてこれまでまじまじと見ることなどなかったので、まーーーーーーー新鮮で楽しい。
結婚して７年、夫婦で出かけることも年間数えられる程度のミドルエイジとしてはなかなかに染みるものがある。
それは半分冗談として、わたしがテラスハウスの魅力を語る上でどうしても外せないポイントがある。
それはVTRの合間に挟まるスタジオメンバーのコメントだ。
軽井沢篇のスタジオメンバーはあけすけなYOU、毒舌の申し子南海キャンディーズ山里、人間潔癖症のトリンドル玲奈、中立だが頭の中が中学生男子チュートリアル徳井、近所の定食屋のおばちゃん的なアジアン馬場園、イマドキ若者男子の代弁者葉山奨之の６名。
それぞれの濃いメンバーからの違った角度からの意見が最高に面白く
このスタジオパートが無かったらここまでハマることは無かったと思う。
軽井沢篇の冒頭。とあるメンバーが生活態度の件でルームメイトたちから集中砲火を受けるシーンがあるのだが
こと生活面に関することで第三者の意見を多く一度に聞ける機会というのが久しぶりで
懐かしい茶の間を囲んでの団欒の風景を思い出した。
ところで、こんなに人様のネガティブとポジティブな面を惜しげも無く見せられ、そしてそれに関しての様々な意見を聞き、お茶の間のノスタルジックな風景とともにもう一つ思い出したことがある。
それは泣く子も黙る「新世紀エヴァンゲリオン」の軸となる人類補完計画である。
ご存知ない方のためにニワカな筆者が雑にご説明すると人類補完計画とはとある組織が推進している計画なのだがその内容はというと人間は不完全な生き物だから
お互いを補い合うために物理的に一体となって完璧な生命体を目指しましょうという
わたしからすると「えっ、えっ、ちょっと待って、勝手に決めないで」
というだいぶ突き抜けたものなのだが、何も物体として一つにならなくてもテラスハウス見て自分なりに補完すれば良くない？ とひらめいてしまったからなのである。
視聴者のわたしたちはテラスハウスの住人の生態をモニターを通して観察しているわけだが、仕事や恋愛、家事など、誰しもが経験している出来事がそのまま画面の中でも行われている。
住人やスタジオメンバーたちを鏡として、自分やその周辺の人物と比較をし、共感し、反省し、否定をし、また受け入れたりしているのである。
実生活の中でも同じように他人を知ることで自分を知っていくのだが、実生活でプライベートまで覗ける人数というのはたかがしれている。
その点、テラスハウスの自己申告制でどんどん入れ替わっていくシステムにより
より多くの人間のデータを採取することができるのだ。補完計画的にいえば。
ソーシャルディスタンスという言葉もだいぶ浸透し、リモート○○も多岐に渡ってきた。
近い未来にいずれコロナが収束したとしても、一度開いてしまった人間同士の距離感というものは、なかなかすぐには縮まるものではないと思っている。
この先の人間同士のコミュニケーションがどうなるかは未知だが
このゴールデンウィークに人間の、人間臭さが恋しくなったなら
試しにテラスハウスを覗いてみてはいかがだろうか。
＊＊＊
この記事は、天狼院書店の大人気講座・人生を変えるライティング教室「ライティング・ゼミ」を受講した方が書いたものです。ライティング・ゼミにご参加いただくと記事を投稿いただき、編集部のフィードバックが得られます。チェックをし、Web天狼院書店に掲載レベルを満たしている場合は、Web天狼院書店にアップされます。
★10月末まで10%OFF！【2022年12月開講】人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ《土曜コース》」
天狼院書店「東京天狼院」 〒171-0022 東京都豊島区南池袋3-24-16 2F 東京天狼院への行き方詳細はこちら
天狼院書店「福岡天狼院」 〒810-0021 福岡県福岡市中央区今泉1-9-12 ハイツ三笠２階
天狼院書店「京都天狼院」2017.1.27 OPEN 〒605-0805 京都府京都市東山区博多町112-5
天狼院書店「プレイアトレ土浦店」 〒300-0035 茨城県土浦市有明町1-30 プレイアトレ土浦2F
【天狼院書店へのお問い合わせ】
【天狼院公式Facebookページ】 天狼院公式Facebookページでは様々な情報を配信しております。下のボックス内で「いいね！」をしていただくだけでイベント情報や記事更新の情報、Facebookページオリジナルコンテンツがご覧いただけるようになります。
