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占いが気になる時は、気を付けよう


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記事: 十島 ゆり(ライティング・ゼミGW集中コース)
 
 
私は、占いには用心している。
でも、それでも見たくなっている時には、警戒が必要だ。
そうゆう時、私のプライベートは大体上手くいっていない。
 
悩みを抱えている時というのは、大抵心が弱っている。
そうゆう時に占いサイトに行ってしまうと、もう離れられない。
占いサイトに登場している大先生方は
「もう、どうして私がその事で悩んでるって知っているの?」と思ってしまうくらいの語り口で
占いメニューを煽ってくる。
見透かされ過ぎて恥ずかしい! 位に思いながら、
是非助けてください! と藁をも掴みたい私を、更に携帯の画面へと吸い寄せる。
 
恋愛占いを一つ、ポチッ。
なるほどねぇ。彼、そうゆう風に思っている可能性がある訳ね。んー、でも、ということはあの時のあの発言はどういう意味だったのだろう……。こっちの占いの方が、その答えを教えてくれるかな?
そして再び、占いをポチッ。
え? そうかなぁ。それは、違うと思うなぁ。この占い師、モグリなんじゃないの? やっぱり、さっきの霊能師S先生の方がちゃんと真実を知っていそうだから、そっちの占いに戻ろっと。
そして新たな占いをポチッ。
 
まさに無限ループである。
但し、ここでは終わらない。
私は、大先生方から言われたありがたい助言を実践してしまうのである。
 
ある時、大先生は言った。「彼は今、ちょうどあなたの事を考えているわ! 今すぐメールをして以心伝心だと思わせて!」私は大急ぎでメールをした。
「今度、表参道のホットケーキ食べに行かない?」夜中の2時に、である。このメールに返事が来ることはない。
 
かくして、舞い上がって、占いでこじらせて、不時着を繰り返すばかりの一人恋愛は、いつも日の目を見ない。
 
早く目を覚ませば良かった。
相手の気持ちやまだ見ぬ将来の事が
なんで、自分の名前の画数や誕生日なんかから算出できると思えたのだろう。
 
しかも、自分が言って欲しい結果を大先生が言ってくれるまで、この占いは続く。
もはや、占っている意味さえない。
 
なぜ私は、人の気持ちや未来という
「明かされていない」事に対し
水晶玉には答えが書いてあると願うのだろう。
 
占いが気になる時、
私は大体、自信を失っている。
 
そんな時、占いは私を優しく誘い
それらしい事を明確そうに答えるのだ。
 
例え、その答えが
ガラガラポン、と出てきた全く根拠不明な内容だったとしても
私の不安定な心はゴクゴクとその情報を飲み干して
自分を占拠することを許してしまう。
 
普通の時には、聞き流して、捨てるだけの言葉なのに。
 
何か問題にぶちあたった時、本当は正面から受け止めて自分で取り組む方が良い。
嫌な事から目をそらして、逃げ切れるわけがない。
むしろ目をそらし続けると問題は更に大きくなったり
消えたと思っても、ものすごく悪いタイミングで再び顔を出してきたりするものなのだ。
 
不安の芽は早めに摘んでおきたい。
 
だから、私は占いが気になり始めている時は気を付けるようにしている。
不安の芽が顔を出してきている証拠だからだ。
 
自分ではない誰かや何かに解決策を無心する時
私は問題から逃げる準備を始めている。
 
占いは、心が弱くなってきている事を私に気づかせるために、
バロメーターとなって私に警報を鳴らしてくれるのだ。
「目をそらすな」と。
 
つい数日前の話である。
 
友人の会社が倒産した。
ほんの半年前に会った時は、新しい事業に取り組み始めていて、意気揚々としていたのに。
私は、彼の酒の席につきあった。
傷ついた彼は、浴びるように酒を飲む。
無理もない。
だが、弱った心に酒を飲ませ続けると、やがて自分自身をも明け渡してしまう事になる。
 
警報が聞こえる。
 
もっと早く、彼に声をかけるべきだった。
半年前に会った時、彼はタイガーアイのブレスレットをしていたのである。
 
タイガーアイとは、パワーストーンの1種で金運や商売繁盛を願うお守りだ。
経営者には好まれる、ゲン担ぎである。
 
彼も最初は、ゲン担ぎのつもりでそのブレスレットをつけたのかもしれない。
でも、事業を進める過程でゲン担ぎに依存し始めた恐れがある。
そのせいで、目の前の問題をきちんと直視できなくなったのではないか。
解決困難な問題は自分以外の何かが解決してくれると
錯覚してしまったのかもしれない。
 
彼には警報が聞こえなかった。
 
小さい芽のうちに摘まれなかった問題は、いつのまにか大きくなって、襲い掛かってくる。
 
占いと同じだ。
 
彼の、次なる依存対象がパワーブレスレットからお酒にかわって
問題がこれ以上先送りにされないように
私はただ見守るしかない。
 
占いにまつわる、私の痛い失敗話を話せば、彼にも警報音が聞こえるようになるだろうか。
 
 
 
 
***
 
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2020-05-09 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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