16万円の水道水の行方
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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:米山拓真(ライティング・ゼミ通信限定コース)
「ちょっと~水飲みすぎじゃない?もうウォーターサーバーの水なくなっちゃったんだけど!!」という妻の一言をきっかけに、私の飲み水は高級なウォーターサーバー生活から、格安の水道水をカルキ抜きして飲むという生活に降格されてしまった。
ただ仕方のない部分でもある。私は水を大量に飲むのだ。冬場で毎日3Lくらい、夏場で4Lくらい飲んでしまう。ウォーターサーバーの水はボトルひとつあたり12L、だいたい3~4日でボトル一つがなくなってしまう計算になる。
「お二人様のご家庭なら、毎月ボトル2つで足りることが多いですよ!」と笑顔でウォーターサーバーを勧めてくれたお姉さんの顔が思い出される。一人でも一週間くらいしか持たないじゃないか……
「二人でボトル月2つ」で予算を組んでいた妻から怒られるのも、無理のないことだ。
私はウォーターサーバーを諦め、格安ゆえにいくら飲んでも怒られない水道水を飲むことにした。
結局普通の浄水器じゃなく水素水生成機能も付いた、いわゆる「水素水サーバー」を買ったのは、意地だ。
「水を飲むことは『身体にいい』っていうじゃないか、俺はヘルシー路線を貫くぞ!!」
という何がしたいのかよくわからない意地である。
ただこれ、16万円もする代物だった。ペットボトルの水を買い続けたほうが安いくらいで、衝動買いしてしまったことを正直いうと反省している。
そこで今回、16万円をなんとしてでも正当化したい。でなければ夜ぐっすり寝られない。
あと本体が届いたときの、妻からの攻撃に耐えられない。
思い返すと私が水をガバガバと飲むのは、生まれ持った体質ではない。ほんの最近だ。
会社をやめフリーランスになってからしばらくしてからだったような気がする。
ただただ、喉が渇くのだ。
30分に一回とか、会社員時代では考えられないほどのペースで水を飲み続けないと、渇きで喉が痛くなってしまう。
もしや、以前どこかで聞いた水中毒か?
しかし検索してみるも、水中毒の症状である頭痛や嘔吐などはない。むしろ水を飲まないと頭が痛いくらいだ。そして飲み過ぎの目安 となる「短期間(一時間以内)に1L以上」のラインも超えていない。私の場合はどちらかというと、一時間300mlを18時間起きている間ずっと飲んでいるような塩梅だ。
水中毒ではないと思っていいだろう。
よし、病気ではなさそうだ。この調子で「水を大量に飲むことが身体にいい」ということがはっきりわかるまで調べてみようではないか。
私の渇きを分析してみると、とくに頭を使うと喉の渇きが顕著になることがわかった。
ライターとして仕事をしているときは、ほとんど無意識のうちにしょっちゅうコップに手が伸びている。さらに仕事以外に、最近になって習い始めたピアノの練習後にも、猛烈に喉が渇く。レッスンにはいつも600mlのペットボトルを持参するようにしていて、40分のレッスン後いっきに飲みきってしまう。
それこそ「脳はブドウ糖じゃなくて水で動いているんじゃないか」と思うほどだ(この現象を「それだけライティングやピアノは頭を使う」と取るか、「会社員時代どれだけサボっていたんだ」と取るかは人それぞれ)。
さらに調べて驚いたことがある。
そもそも人体は汗をかかなくても自然と水分が抜けていくらしい。この自然な水分の蒸発が15ml/kg/日で、つまり体重60kgの私だと毎日900mlほど抜けていることになる。
生活の殆どをエアコンの下で過ごしているにもかかわらず、ほぼ1Lとは。
もちろん排尿でも水分は出ていく。排尿量は健康な人で一日あたり1.5Lらしい。ここまでで2.5L。結構体内の水分って抜けるものだ。
また脳の内外に流れている「脳髄液」も毎日500mlほど生成されており、ここにも摂取した水は使用される。ちなみに脳髄液は脳細胞への栄養補給や老廃物の排出の役割がある。きちんと水分補給をすることで、意識がはっきりするということだ。
なるほど、私は無意識のうちに頭をはっきりさせるために、人より多めの水を飲んでいたのだろうか。少しずつ正当化できてきたぞ。
この段階で一日に必要な水分量は合計約3L、、、いい感じだ。
冬場でも毎日3Lの水を飲む私は案外正解なのではないか、という気になってきた(注)。
加えて、人体は体内の水分量の低下に対してずいぶんシビアにできているらしい。
人体は体重の1%でも体内から水分が不足すると、次のような症状が出るらしいのだ。
集中力の低下
記憶力の低下
疲労感
人体の60%(年齢による)は水分だそうなので、その水分が減ることはとんでもないことだ。そこで脳が「集中している場合じゃねーぞ!」とアラートを出すのだろうか。
実際「水分が不足すると生産性が落ちる」という実験も海外ではされているらしく、Caroline J. Edmonds、Rosanna CrombieおよびMark R. Gardnerらの実験では「知的な作業をする前に500mlの水を飲んだグループは、飲まなかったグループと比べ作業効率がアップする」ということが確認されている。
まあこの実験の内容としては前日21時から飲まず食わずのままで実験に臨む、とのことで「そりゃ水の一杯でもないとやっていられないだろ」というのはありそうだ。少なくとも私なら、まったく作業が進まないだろう。
ちなみに体重60kgの私であれば、体重の1%は600g。
上記実験の正当性はどうあれ、ピアノのレッスンに600mlのペットボトルを持って行く私の体感としても同意見だ。たしかにピアノを弾くとき、尋常じゃない集中力を必要とする。
ここからは私の仮説だが、脳を酷使すると脳へのより多い栄養補給と老廃物の排出のため、脳髄液が500mlよりも多く生成されて、結果としてより多い水を必要とするのではないだろうか。あたかも筋肉を酷使してスポーツをすると筋肉中の酸素や栄養がなくなり、不足分を補うために心臓の鼓動が早くなるように。
だから私の身体は、人よりも多い水分量を欲するのだ。
つまりまとめると、よい仕事をするためには脳をはっきり活性化させる必要があり、そのために水の摂取が必要不可欠ということだ。
よって多少であれば飲みすぎるくらいのほうが身体にいいし、脳にいい。
うん、私は普通だ。
妻にネチネチと小言を言われたことをきっかけに水をたくさん飲むと身体にいいという根拠を探してきたが、やはり水を飲むのは身体にいい、これが結論。
よし、これで今晩はぐっすり寝られそうだ。
「それ、別に水素水サーバーじゃなくって、普通の水道水を浄化するだけのただのサーバーで良かったんじゃない?」と脳が知らせてくれているような気がする。
うん、やはり体内に水分がたっぷりだから、脳もはっきりしているようだ。よかった、もう寝よう。私は自分の理屈に満足して、部屋の電気を消した。
ちなみに、水ではなくて水素水でなくてはならない理由は見つからなかった。水素水サーバーが来る日が正直怖い。
(注:なお食事にも水分は含まれているため、実際飲まなくてはいけない水の量は2Lでよいとのこと)
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