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蕎麦屋でヘルシーにお腹を満たす方法


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:三浦加織(ライティングゼミ日曜コース)
 
 
「あ、大盛りはこちらです…」私は小声でつぶやいた。
男性側に置かれそうな大盛りランチを、店員さんが配膳する度に、私は声を掛ける。
普段男性の同僚とランチに行って、大盛りを頼んでも同僚の方に置かれてしまうのはいつものことだ。
 
私は女性にしては大食いである。
お腹がいっぱいにならないから、ランチで蕎麦屋に入ることは少なかった。
ざるそばはむしろ好物なのだが、そばの量は大盛りでも大体少ないし、もう一枚頼むのは何となくランチの平均予算を考えるとコスパが良くない。
セットメニューもよくあるが、大体おにぎりや丼ものとのセットだったりする。炭水化物だけでお腹を満たすのではなく、もう少し野菜とかもあってヘルシーにお腹を満たしたい。
そばが食べたくて蕎麦屋に行ったのに、お腹を満たす為に丼物セットで太るのは心外だからである。
 
そんなこんなで、お腹がピークに空いているお昼時に、蕎麦屋に足が向くことはあまりなかった。
それでも、本当はざるそばが好きなのに、ランチで蕎麦屋に入れないのは、残念なことだといつも思っていた。
 
温かいそばならば、鶏南蛮とか、カレーそばなど、カロリーがあるそばもあると思う。
でも、私は冷たいそばが好き。ざるそばが食べたいのだ。
かき揚げや天ぷらの追加メニューがある店もあるが、大体ランチメニューにはなく割高である。コスパが良くない。
だったら天ぷらそばにすればいいじゃない? と人はいう。
違うのだ、天ぷらは好きだけれど、別にしたい。そばつゆが天ぷらの油でギトギトになるのは嫌なのだ。せっかくのそばつゆを油で汚したくない。
 
そんなつべこべ言うんだったら、そばがサブメニューの定食屋にでも行った方が良いんじゃね? と同僚にも呆れられ、面倒くさがられるようになってしまった。
私は耐えられなかった。ざるそばをランチに食べたいのだ。そしてヘルシーにお腹を満たしたい。コスパも重要だ。
この問いに答えてくれるそば屋を、私は追い求めていた。
 
そして、お腹をヘルシーに満たしてくれる蕎麦屋巡りが始まった。
そして、大体が残念な結果に終わった。
カロリーのありそうなメニューは想像していた通り、ざるそばとセットの、親子丼やおにぎりセット、良くてかき揚げ丼セットだった。
お腹は満たされたが、気持ちは満たされなかった。
「こういうのじゃないんだよなー…」と言いながら、それでもめげずにトライをし続けていた。
ざるそばでヘルシーにコスパ良く、お腹を満たすことをあきらめたくなかった。もう意地だった。
 
ある時も蕎麦屋巡りをしていて、店構えがきれいな蕎麦屋を見つけた。そこは小料理屋のような外観で小洒落ており、女性客も多そうだった。
こういうお店にありがちな、美味しいけど量は少ないのではないか、そういう不安がなくはなかった。でも蕎麦屋探しに余念がなかった私は、これも試しにと、入ってみることにした。
お腹がいっぱいにならなかったらもう次に来ることはないんだろうな、と今日も思いながら。
 
メニューに目を落とすと、きれいな盛り付けをされたランチセットが並んでいた。おにぎりセットやサラダセットなどがあった。
ふむふむ、そばだけだとビタミンが足りないから、サラダで補うヘルシーな女性受けしそうなセットだな、と思い、私はサラダセットを頼んだ。
でも、サラダがオプションだと、ヘルシーだけどきっとお腹は満たされないよなあ、お腹が空いたらコンビニに何か買いに行かないとな、今日もハズレかな。
そんなことを考えながら、セットが運ばれてくるのを待った。
 
そばが出来上がる前に、豆腐サラダだけが運ばれてきた。
今までの蕎麦屋では、お盆にセットの丼も漬物も全部載って運ばれて来ていたので、このコースメニューのような時間差の配膳には、少し驚いた。
そしてサラダを完食し終わった頃に、そばが運ばれてきた。まるで私がサラダを食べ終わるのを待っているかのようだった。
そばは田舎そばだったので、噛む回数も多かったせいか、食べ終わる頃にはまあまあお腹も満たされ、ちょっとヘルシーな気分でそれなりに満足できたと思った。
とはいえ、サラダのカロリーなどたかが知れているし、間食にプロテインバーでも買わなきゃな、なんて思いながらの、オフィスへの帰り道だった。
 
「あれ? 案外満腹感が持続しているな…」午後の会議などを終え、3時のおやつ時、普段ならお腹が空き始める頃なのに、そこまで空いていない。
あんなサラダセットでお腹が満たされるわけがないのに、どうしてなんだ!? と不思議に思った。
これは何かの食べ合わせだろうか? と早速キーボードを叩いた。
 
「そばは、低I食品ですから」検索結果にはそういうテキストがたくさんヒットした。
「血糖値を上げる係数をGI値と呼びます。うどんのGI値は80で、そばのGI値は59です。つまり、うどんが80のお腹がふくれたと感じるのに対して、そばは59のお腹がふくれたと感じるわけです。うどんよりもそばの方が満腹感が少ないので、すぐにお腹がすくと感じるのですね。」
ふむふむ、なるほど。だからそばだと満腹感が少なくて、お腹もすぐ空くのか。
私がそばで満たされない理由がやっとわかって、長年のモヤモヤが少しスッキリした気がした。
 
それならば、なぜ先日のサラダセットでは満腹感があったのか? さらに調べねばならぬ。
なになに、「豆腐はたんぱく質のため食物繊維も豊富なので腹持ちもよい、お酢は血糖値の上昇を緩やかにする為満腹感を持続させることができる、なので食事の1番最初に食べるとさらに効果的」、とのこと。そういうことだったのか!
そばを食べる前に、豆腐サラダなど、たんぱく質や酢が入ったものを先に食べると、良いということなのだな。
このような食べ合わせと、時間差を作ることによって、これからは私でも、蕎麦屋でヘルシーにお腹を満たすことが出来る!
 
医学的な根拠は諸説あるだろうし、専門家ではないのでよくはわからない。
でも、大食いでもヘルシーにコスパ良くそばを食べたい私に、一筋の光が見えたのは確かだ。
ざるそばを食べる前に、酢の物やサラダ、豆腐や納豆などの、お酢や植物性たんぱく質を食べること。そしてそういうセットメニューがある蕎麦屋に行くこと。
今までは長年不満だった、そばでヘルシーにお腹いっぱいにする、という問題をこれでクリアしていけそうだ。
 
しかしながら、このようなランチメニューがある蕎麦屋は少ないと思う。見つけられたら通い続けることは、間違いないのに。
ただ、なぜそのような蕎麦屋が少ないのか。きっと私だけが不満に思っているのではないはず。
そばでヘルシーにお腹を満たしたい女性も、世の中にはたくさんいるのではないかと思う。
現に蕎麦屋には女性客が少ないではないか!
 
もしこの声が届くのなら、オフィス街の蕎麦屋の店主の皆さん、ぜひランチには、酢の物や豆腐サラダセットを用意してみてください。
きっともっと、女性が喜んで連れ立って食べに来るはずですから。
そしていずれは、男性の同僚も連れて来ることになり、色んな性別、年齢層のお客さまが増えるはずですから。
「そばは美味しくて、食べ方次第で腹持ちも良くなってヘルシーだよ!」私はそんなことを声を大にして、今週から同僚たちを巻き込んでいこうと思った。
 
《終わり》
 
 
 
***
 
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2020-09-26 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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