天狼院でウエディングを…… ~私達、書店で結婚式を挙げることになりました~
『 謹啓 皆様にはご健勝のこととお慶び申し上げます。
このたび 私たちは平成28年11月22日に入籍いたしました。
つきましては 幾久しくご指導とご懇情を賜りますよう
ささやかながら披露の宴を催したいと存じます。
お忙しい中と存じますが
ご出席くださいますよう ご案内申し上げます。 敬具
平成28年9月吉日
福岡 麺太朗
小堺 ラム
記
日時 平成28年11月23(日曜日)
挙式 13時
披露宴 13時30分
披露宴会場 福岡市中央区今泉1丁目9番12号
福岡天狼院書店 』
これが、私たちの結婚披露宴のためにお世話になった方々にお送りした結婚披露宴の招待状の文面である。
実は、私、既に入籍をすませている。
そして、新婚6か月目だけれど、しかし、とっくの昔に薹がたってしまった新妻なのである。
だから何となく今さら、自分の花嫁姿を披露するなんてこっぱずかしくって、披露宴をするつもりなんて微塵もなかったのだ。
夫にも私の気持ちを伝えていて、夫婦でも、お互いの実家でもそれは了承済みだったんだけど。
まあ、心配した周囲の方たちが、披露宴はあげといたほうがいいんじゃないの……特に女性の貴女は後々後悔するわよっ……って助言してくれたこともあり
まあ、やっておくかってことになって。
私の両親は手放しで喜んでくれた。
特に母なんて、まるで自分が花嫁衣裳をこれから着ることで気分が高揚してるんじゃないかってほど、頬を上気させていた。
そんなに披露宴してほしいんだったら、初めから言ってくれたらよかったのに……
九州の田舎で、娘が30半ばを過ぎても結婚していないという重罪をギリギリセーフで免れたと思ったら、今度は披露宴を省略することで、ちょっとした親不孝者になるところだった。
挙式と披露宴の会場には、私達夫婦が出会い、関係を育むことになった場所を選んだ。
場所は、「福岡天狼院」。
この書店は店主の三浦さんという本を売ることに人一倍の情熱を傾けている男性が開いた書店で、単に本を小売りするだけではなく、本や物語にまつわる様々なイベントや部活と称するワークショップが開かれている。
私達夫婦は、この書店の「ライティング・ラボ」で知り合った。
店主の三浦さんが、ライティングの極意を教えてくれるという何とも秘密めいた企画に吸い寄せられて参加した私たちは、そのラボのワークショップで同じテーブルとなり、言葉を交わしたのが初めての出会いであった。
それから私達がお互いを意識するようになるのに、そんなに時間はかからなかった。
毎月1度、ライティング・ラボに参加して顔を合わせ、お互いの作品を投稿してそれぞれの作品を読む。
そんなに言葉を交わさなくても、自然とお互いがどういう人間なのか、今何を考えているのか、どんなテイストなのか、そしてその本質さえも短い間によく知ることができた。
ライティング・ラボで練り上げた、お互いの作品を読むことができたから。
それほどまでに、文章は自分の内面を映し出す自分自身の分身であるといっても過言ではない。
テクニックで装飾したり何かを誤魔化そうと人目を惹く演出にこだわったりしても、幾度となくその人が綴りあげた文章に目を通せば、その人自身の人となりが全てわかってしまうのだ。
文章を綴って世に送り出すということは、自分自身を世の中に知ってもらう素晴らしいチャンスであると同時に、ある種取り返しのつかない危険も孕んでいるものだなあと私と夫の出会いと結婚を通して、よくわかった。
それだけに、作家さんとか、ライターさんとか文章を世に送り出して何らかの影響を与えているような職業に憧れた。
そして、とても魅力がある人達のエネルギーの結晶である「本」に様々な企みをのせて
広めている天狼院書店は、まさしく書店界のシルクドソレイユだと思った。
福岡天狼院でのなれそめは、実に私達夫婦らしい出会いだったと、今ではそう思っている。
福岡天狼院がなかったら、私達は出会うことすらなかったのだ。
だから、せっかく披露宴をするんだったら、私達の出会いとなった場所で、そして、私達が一番好きな場所でやりたかったのだ。
料理や見栄えはよいけれど、ちっとも愛のこもっていないお仕着せの披露宴会場なんかじゃなくって、今泉の三角公園の光が差してくる福岡天狼院書店を会場にして、いつもデートの時に食べていた天狼院カフェのパニーニやホットドックが料理として出てきても、楽しいんじゃないかって夫とも話した。
三浦さんにおそるおそる福岡天狼院で結婚披露宴をやりたいという私達の思いをうちあけると、それは快く承諾してくれた。
ただし、書店はそのまま営業している状態で行うこと、それだけが条件だった。
まさか結婚披露宴が行われていることなんて露知らず、いつものように本を買い求めにやってきたお客様も一緒にサプライズで参加していただける、そんな宴にしたいと思った。
そして、挙式では、三浦さんに牧師様みたいな存在で私達の永遠の誓いに立ち会ってもらう依頼をした。
また、列席していただいた皆様には、感謝の証として夫婦茶碗とかカタログギフトのような引き出物ではなく、天狼院書店一押しの「秘本」をお持ち帰りいただくことに手配している。
夫婦の独りよがりの挙式ではなく、私達を結びつけたこの書店の良さをきっと皆さんに知ってもらえると想うから。
挙式まで、もうそんなに時間はないけれど、秘かに立ち上がっている秘密のラボである福岡天狼院ウエディング部の皆さんにも手伝っていただいて、私達夫婦は福岡天狼院書店での結婚披露宴準備をしています。
私達の結婚の報告と同時に、本、そして文章が人に与える影響を肌で感じていただける宴になることと思います。
招待状を受け取られた皆様、是非楽しみにしてお越しください!
というわけで、これ、来年、平成28年11月23日に福岡天狼院書店でウエディングをしたらどうなるかっていう話を想像しながら書きましたが、夫である『福岡麺太朗』に当たる男性を、私小堺は未だ見つけていないのであります。
今日、平成27年11月21日午後5時から福岡天狼院でライティングラボがあるので今から支度して行ってくるところです。
今はまだ幻にすぎない伴侶がそこにいるかもしれない……
そんな期待を胸に秘めながら、今日も私は福岡天狼院に行くのであった。
本との出会い、人との出会い、さまざまな出会いがそこにあることを知っているから。
とはいえ、福岡天狼院ウエディング、ほんと、やりたいですね!!
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この記事は、ライティングラボにご参加いただいたお客様に書いていただいております。
ライティング・ラボのメンバーになり直近のイベントに参加していただくか、年間パスポートをお持ちであれば、記事を寄稿していただき、店主三浦のOKが出ればWEB天狼院の記事として掲載することができます。
天狼院書店「福岡天狼院」2015.9.26OPEN
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