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高いヘッドホンを買ったら急に歌が上手くなった件


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:村人F(ライティング・ゼミ特講)
 
 
「急に歌が上手くなったんですけど、一体なにをしたんですか?」
 
通っているカラオケ教室の先生にそう褒められた私は困惑していた。
前回のレッスンからわずか1週間、その間いつもどおり自主練習はサボっている。そんな状況なのに急に歌が上手くなったと言われても、なんでそうなったのか説明できなかった。
 
何が要因なのか、わからんなーと先生と話していたのだが、一つだけ思い当たることがあった。
 
高いヘッドホンを買ったのである。
この一週間の間に、プロがみんな使っていると話題の1万5000円くらいのヘッドホンを購入したのである。
どうやらそれが原因で急に歌が上手くなったようだ。
 
なぜそんなことが起こったのか。
おそらく要因は、高いヘッドホンを使ったことで曲を聞く意識が変わったことだろう。
 
その以前の3000円くらいのイヤホンを使ってた頃の私は、曲を聞く時も通勤の間に歩きながら聞いていたり、なんかの作業中のBGMにするなど、ちょっぴり雑な感じで曲を聞いていたのである。
 
それが高いヘッドホンになるとどう変わるか。まず一音一音に対する集中力が変わる。桁違いに変わる。なんせ1万超えのヘッドホンを使っているのだ。奏でる音も1万超えの質があるに違いないと身構えるわけだ。その心構えが1曲に対する没入感を上げることになる。
 
だからそのヘッドホンを使って曲を聞くときはもんのすごく疲れる。1曲5分くらいの曲でも常時気を抜くことなく脳全体が曲のためにフルスロットルで働くことになるからだ。大好きなアーティストでそれをやると更に没入してしまうので休憩がいるくらい体が持たなくなるのだ。
 
それくらいの意識で曲を聞くわけだから当然インプットされる情報の質も桁違いに上がる。ベースってなんのためにあるの、なんて言わなくなるくらい低音が響いてくるし、ボーカルの透き通った声の感じとか細かいところまで刻み込まれてくる。
そういった感じで曲に対する解像度がどんどん上がっていくことになる。
となると当然歌う時もそういった解像度になるから、カラオケ音源のリズムなんかも集中して聞くことができるし、音を出すための体の使い方もより細かいところまで意識して行うことができる。
こういった要因のおかげで、高いヘッドホンを買っただけで劇的に歌を上手くすることができたのである。
 
高いヘッドホンってそんな効果があったんだなと自分でもびっくりしていたが、同時に反省しなければならないこともあるなと思った。
普段の曲の聞き方である。
 
通勤途中の僕はそこまで気合を入れて曲を聞いているか。勉強とか仕事している時に耳に入れている曲に対してどのくらいの意識を向けているかという反省が出てくるのだ。
 
だって自分で歌えばわかるもの。歌手がどれだけ高度なテクニックの上で歌っているのか。たくさんの情報を一音一音に込めているのか。そしてそれを実現するためにどれだけの努力を積み重ねて来たのかが。
そうやってできた曲に対し、今の曲の聞き方はあまりにも失礼すぎるのではないかと思うのである。
 
どんな曲もプロが人生をブチ込んだ傑作なのである。1曲だけで世界を変える力を込めて作っているのである。そんな曲に対し、普段の私は通勤中だの作業中だの、なにかのサブ扱いで曲を聞いている。そんな奴が上手く歌えるわけがないだろうと思うのである。
 
こうして考えると高級品の本当の価値はそのものにある訳ではないのかもしれない。真の価値は購入者の意識を尖らせることにあるのだと思う。
 
3000円のイヤホンを使う時の耳は、3000円の音を聞く耳になるわけだ。そこを15000円にしたら当然、全身が12000円の差を求めにいくわけである。そうなると普段の曲の聞き方では絶対に気づけないベースのリズムだったり、細かい強弱の付け方などが自然に入ってくるのである。こうやって曲本来の価値がどんどん体に行き渡っていき、高いヘッドホンはやっぱり違うなあと感動することができるのである。
 
そして一度そういう体験をすると、今度は安いイヤホンの値段の理由に気づくことができる。一度高いヘッドホンで世界を知った後だと、安さのために削られた高音部とか空気感といったものがわかってくるのである。
 
そうなるともう以前の安いイヤホンじゃ満足できなくなるし、世界の見え方も180度変わってくる。
そういう劇的な意識改革をさせてくれるのが高級品の力なのだ。
 
今回はヘッドホンでそういった体験をしたわけだが、きっと他の世界の高級品もそうなのだろう。ワインだって高いものを飲むと嗅覚とか味覚が桁違いに研ぎ澄まされるだろうし、カメラとかだったら世界の色そのものを変える力があるかもしれない。
そうなると機材をケチって安物を使うことが、実は人生全体でみると大損失なんではないのかと思えてくる。
 
今後も財布の許す範囲で色々な高級品に手を出してみたいものだ。そして人生を生きる意識を変えることで、その損失をカバーできるくらいの稼ぎができたらこれほど嬉しいことはない。
 
このことに気づけただけで15000円のヘッドホンには、すでにその値段を遥かに超える価値を見出すことができた。
本当にいい買い物をした。
皆さまもぜひ買ってみてください。
 
 
 
 
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