日本で三日月だけを毎日見ることができるスポット
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:田盛稚佳子(ライティング・ゼミ冬休み集中コース)
今夜(12月30日)は、2020年最後の満月である。
年始から未知のウイルス流行をはじめ、いろんなことに振り回された一年を振り返って、ゆっくりと満月を眺めながら熱燗を一杯、なんていうのもいいかもしれない。
さて、皆さんは日本で「三日月だけを毎日見ることができるスポットがある」ということをご存じだろうか。
北海道のどこかにある岬?
富士山の近くのどこかにある秘境のような村?
沖縄のどこかの離島にある地元民しか知らない橋の上?
最後まで読む前に正解を知りたいから、ちょっとググってみようかしらと思った方。
そもそも月は満ち欠けのあるものなのだから、ひたすら三日月が見えるなんてとんだガセネタだわと思った方。
残念ながら、交通費をかけてGoToするような遠いところにはない。
実は意外と身近なところに存在する。
それは、「猫を飼っている家」である。
「月だったら、猫じゃなくて餅をついているウサギでしょ」と思った方は、子どもゴコロを忘れないロマンチストさんかもしれない。
その子どもゴコロを持ったまま読んでいただけるとありがたい。
私は自宅で4年前から猫を飼い始めた。
白黒のハチワレ猫である。
(参考までに説明すると、ハチワレ猫というのは顔の模様が「八の字に見える」ことに由来したもので諸説ある。たとえば、戦国時代には兜や頭が二つに割れるという「鉢割れ」の言葉があり、武家においては縁起が悪いとされていた。
また一方で「八割れ」と書く場合は、八の字が徐々に栄える「末広がり、将来の見通しが明るい」という意味があることから、商人たちの間では縁起の良い福猫として好まれていたという歴史がある。たしかに、招き猫は今でも店の中で見かけることは多い。
上記の説明がわかりづらかったら、ここで画像をググってほしい。)
うちの猫は完全室内飼いのため、365日を我が家で過ごす。
飼い始めた当初、一匹増えた家族が1日中快適に過ごせるようにと、ペットのハウツー本を見ていたら「爪とぎ」が必要であることに気づいた。そうか、猫は爪を研ぐ生き物だ。
そこで早速、運動がてら高いところにも登れて、座ってまったりできるうえに、爪とぎもできる「キャットタワー」なるものを購入した。
キャットタワーを組み立てると、猫は待ってましたとばかりにヒュンと風のように飛び上がり、行ったり来たりの一匹大運動会を始めるようになった。よほど嬉しかったのであろう。
また、そのキャットタワーには、爪とぎとなる麻ひもをグルグル巻きにした棒が6本もついていた。その本数の多さと絶妙な研ぎ加減が彼女(猫)の野生の血をたぎらせたようで、それ以来、早朝でも夜中でもバリバリバリッと音を立てるようになった。
しばらくした頃、仕事で出かけている私の代わりにキャットタワーの掃除をしていた母が猫の爪の一部が剥がれ落ちて、タワーの隅に固まっていることに気づいた。
夜遅く帰宅した私に、母が見せてくれたその爪の一部に思わず「あっ!」と声を上げた。
それはキレイなキレイな三日月だったのだ。
疲れていた気持ちが一気に吹っ飛んだ。なんて、かわいい形なのだろう。
その日は月の見える日ではなく、猫も別に「ご主人様が疲れているから、月でも見せたろうか」と思ったわけでもないだろう。
たまたま見つけた爪の一部に、母と二人で「三日月」と名付けた。
それからはキャットタワーの掃除をするたびに、「今日も部屋にキレイな三日月が落ちていたよ」と家族の会話に出てくるようになった。
不思議なものである。
これが仮に人間の爪だったら、「もう!こんなところに切った爪を落として!ちゃんとゴミ箱に捨てておきなさいよ!あんたはいつも散らかして出かけちゃうんだから」と親子ゲンカの火種になりそうなものである。
それが、猫の爪となると一変してかわいいアイテムになってしまうのだ。
親バカならぬ猫バカだと自分も家族も思っているが、おそらくこれを読んでいる猫を飼っている方は大きくうなずいてくださるのではないかと思っている。
たとえ、曇りの日でも、どしゃぶりの日でも、はたまた台風で家が吹っ飛ばされそうになる日も、今日のように雪がちらついている日も、ちょっと気持ちが落ち込みそうな日でも、我が家だけでなく猫を飼っている家には、形の大小こそあれ、キラキラとした美しい三日月が出てくるのだ。それも一つだけではなく、いくつも。週1ではなく毎日。
月にウサギが住んでいて餅をついているのは幻想だとしても、猫飼いの家は毎日三日月が見ることができるスポットだとおわかりいただけただろうか。
いや、どうしても自分の目で確かめたいという方がいれば、猫好きもしくは飼っているお友達のお家か、お時間が許せば近くの猫カフェに立ち寄ってみてほしい。
もし、猫は苦手なんだよねという方は、会社で猫を飼っている同僚と雑談する時のネタとしても使ってもらえると、この記事も少し役に立ちそうだ。
今夜、仮に満月が見えなかったとしても、私は自宅で小さめの三日月を眺めながら、ゆっくりと今年を振り返ろうと思う。バリバリと隣で爪とぎをする猫とともに。
***
この記事は、天狼院書店の大人気講座・人生を変えるライティング教室「ライティング・ゼミ」を受講した方が書いたものです。ライティング・ゼミにご参加いただくと記事を投稿いただき、編集部のフィードバックが得られます。チェックをし、Web天狼院書店に掲載レベルを満たしている場合は、Web天狼院書店にアップされます。
人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
お問い合わせ
■メールでのお問い合わせ:お問い合せフォーム
■各店舗へのお問い合わせ
*天狼院公式Facebookページでは様々な情報を配信しております。下のボックス内で「いいね!」をしていただくだけでイベント情報や記事更新の情報、Facebookページオリジナルコンテンツがご覧いただけるようになります。
■天狼院書店「東京天狼院」
〒171-0022 東京都豊島区南池袋3-24-16 2F
TEL:03-6914-3618/FAX:03-6914-0168
営業時間:
平日 12:00〜22:00/土日祝 10:00〜22:00
*定休日:木曜日(イベント時臨時営業)
■天狼院書店「福岡天狼院」
〒810-0021 福岡県福岡市中央区今泉1-9-12 ハイツ三笠2階
TEL:092-518-7435/FAX:092-518-4149
営業時間:
平日 12:00〜22:00/土日祝 10:00〜22:00
■天狼院書店「京都天狼院」
〒605-0805 京都府京都市東山区博多町112-5
TEL:075-708-3930/FAX:075-708-3931
営業時間:10:00〜22:00
■天狼院書店「Esola池袋店 STYLE for Biz」
〒171-0021 東京都豊島区西池袋1-12-1 Esola池袋2F
営業時間:10:30〜21:30
TEL:03-6914-0167/FAX:03-6914-0168
■天狼院書店「プレイアトレ土浦店」
〒300-0035 茨城県土浦市有明町1-30 プレイアトレ土浦2F
営業時間:9:00~22:00
TEL:029-897-3325
■天狼院書店「シアターカフェ天狼院」
〒170-0013 東京都豊島区東池袋1丁目8-1 WACCA池袋 4F
営業時間:
平日 11:00〜22:00/土日祝 10:00〜22:00
電話:03−6812−1984