憂鬱な夏を吹き飛ばせ!
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:西元英恵(ライティング・ゼミ日曜コース)
長男が来年小学校に上がる。
毎日のように公園で遅くまで遊び、日に焼けた顔は逞しさを感じるようになった。
しかし「小学校入学」という大きな階段を目の前にしてこのままの生活でいいのだろうか。
勉強・運動、何か他に準備しておいた方がよいのではないだろうか、という気持ちがふつふつと湧き上がってきていた。
その不安に追い打ちをかけたのが文部科学省から今春発表された例の件。
授業を座って聞けないなどの「小1プロブレム」への対策として2022年度から徐々に幼稚園や保育園で「5歳児向け教育プログラム」が実施されるというのだ。
いわゆるこの「幼保小架け橋プログラム」は専門家のなかでも賛否両論あるらしく、今の時点で何が正しいかは私もわからない。ただ実際来年の春に小学校に上がる子供がいる親として単純に思ったことはただ一つ。
「えっ……うちの子、大丈夫だよね?」
この不安な気持ちがなんとなく抱えていた時限爆弾にチリチリと火をつけた。小学校入学までの時間は限られている。
このたっぷりと時間の取れる夏休みを有意義に使って心身の成長を促そう、と心に決めた。
思い立ったが吉日、私は早速「こくごとさんすう」が学べるというお勉強の教室体験と短期の水泳教室に申し込みをした。
まだ「お勉強」らしきものに本格的に着手していない事と、泳ぎに苦手意識がある事が決め手だった。
と、言えば聞こえはいいのだが、それは実は建て前の部分だったりもする。
もう一つ素通りできない本音がそこにあるもの事実だった。
長い。
幼稚園に通う子供の夏休みって本当に長いのだ。
我が子が通う園では7月中旬には夏休みに入り、その日数は実に46日間だ。
この長い期間に、ある程度栄養の取れる食事を毎日3食準備し、天気の良い日は公園に連れていって思い切り遊ばせ、暑過ぎる日には車を出して水遊びできる川へ、気を抜くとすぐに勃発する兄弟げんかの仲裁役をし、テンションの上がるおやつを準備しておいて気を引く。そして気が付くと散らかり放題の部屋……。
想像しただけで体力と気力が悲鳴を上げそうな毎日である。
夏休み前になるとママ友たちとの間で「夏休みをどう過ごすか」についての討議が行われる。無料で駐車できる水遊び場や、ちょっとした催しもの、家で時間をつぶせるおもちゃ、簡単に作れる昼食のレシピ……などなど情報収集に余念が無い。
「あー、もう本当長いよねー」
「うちなんか、旦那が長期出張でさ」
「じゃあ、その間ワンオペ?」
「そう」
「うわー、大変」
その討議中の母たちの心情は「憂鬱」を通り越して「恐怖」である。
そこで思い立ったのが「プロ」の力を借りることだった。
「プロの先生」たちの磨きのかかった「カリキュラム」の力をお借りして、子供の成長はもちろん「親がほっとできる瞬間」を少しでも作りたいというのも正直なところだ。まだ年齢が低いので送り迎えや付き添いといった事柄はついて回るが、子供の傍らに他の大人が寄り添ってくれる時間があるのは心底ありがたい。しかもそれが「プロ」となれば尚更だ。
コロナ禍で毎年恒例の里帰りが出来ず、祖父母に会いに行くという最大の楽しみが減った今はより一層そのことを強く感じるのだ。
本音も建て前もひっくるめて、せっかくなら親も子も「いい夏休みだった!」と満足いくものにしたい。
実は私は今、好きなことについて勉強している最中だ。
文章力を鍛える「ライティング」というものを通信で受講している。
先生の講義を「へー!」「ほー!」「ふむふむ」「なるほど!」と興味深く視聴し、1週間に1回の課題提出に真剣に取り組む。そしてその課題の合否に一喜一憂する。こんなに胸熱な日々はいつぶりだろう。
少しずつでも新しい技を身に着けていくことにある種の快感を覚えた私は、これを息子にも伝えていきたいと思っている。出来なかった事が出来るようになるのってとても楽しいよ、と。
さあ、長い長い夏休みのスタートはもう目前に迫っている。
文字の読み書きに興味が出て簡単な絵本を音読したりしている彼が、この夏どれだけ「こくご」の力を伸ばしていけるのか。「さんすう」ではまだ危うい数の概念をしっかりと自分のものにしていけるのか。やっと水面に顔をつけられるようになった彼が果たして泳ぎまでをマスターすることができるのか。
とことん彼に付き合って彼なりのゴールを一緒に目指したい。
そして出来なかった事ができるようになった時、一緒に喜びを分かち合いたい。
私もライティングの課題提出が今後もまだ続く。
親子共々、なんだかアツい夏になりそうだ。
***
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