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胃下垂はうらやましい? 


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記事:いんこさま(ライティング・ゼミ)

私は、胃下垂です。

と言われたら、目を見開いてギョっとするかもしれません。

高校受験のときにストレスで過食症になり十二指腸潰瘍で病院通いをしたのがきっかけでした。

そのときは、ストレスで満腹感を得る前に異常なほど沢山のものをたべ、胃腸がいつもプルプル震えていました。そのような状態では集中力がなくなります。
本を読んでいても、2行目に進めないのです。読み進んで本を理解したいという気持ちとは裏腹に、まったく中身が頭の中に入ってこないのです。その頃は自律神経も壊れてしまっておりました。

胃下垂は、一定以上食べると食物の重みで胃が落ちて下腹が膨らみ胃はもたれるが満腹感がわからずドンドン食べ進むことができるのです。ただ、胃腸にはかなりの負担で消化するのには時間がかかり、許容量を超えると消化されずに腸に食べ物がおくられるので腸から栄養を取り込みにくくなります。腸内の吸収が悪いからか、すぐトイレに行きたくなります。食べて美味しかったと思う気持ちはあるのですが、食べたものが栄養になって身に付いた気がしないのです。

私は痩せっぽちで体力をつけるために太れ太れと言われ続けてきたのですが、太りたくてもなかなか太れないという悩みがありました。
痩せっぽちには、痩せっぽちなりの悩みがあるのです。
血圧が低く、体温が低く、隠れ冷え性(自分ではあまり意識がない)で免疫力が弱いせいなのか、ストレスがすぐ身体にあらわれます。おまけに胃下垂です。
基本は元気なので、日頃はそんな事は忘れているのです。

父方の祖母も痩せていて私よりも重症な胃下垂でした。私以上に見た目にお腹がポッコリでていました。

祖母の場合は、旦那さんを亡くしたショックで胃下垂になったと父が話してくれました。

女手ひとつで、父(長男)とその兄弟4人を育てあげたのですから、その苦労は並大抵のものではなかったはずです。
祖母は高等学校の先生をしていましたが、結婚して家にはいり田んぼや畑仕事をして盆も正月も働いて子供達を食べさせていたというのです。

胃下垂の人は、逆立ちをしろとか、食事の後は右を下にして横になりなさい、と言われます。私も一時期、保健室で昼食後は横にならせてもらっていたことがありました。

祖母は、胃下垂をなおすために胃下垂バンドなるものを持っていました。いわゆる20センチ位の高さのゴムバンドです。仰向けに寝て、両手で腰をおさえ、両足を天に向かって投げ出して、そのまま胃下垂バンドを足から穿いて胃の下まで持ってくる。起き上がったら、そのバンドで胃の位置がおさえられるという荒技を使っていたのです。
また、胃腸を整えるためにガジュツという屋久島の根茎のものすごく苦い薬も飲んでいました。健康な人は甘く感じるとのことでしたが、私が甘く感じることはありませんでした。それに引き換え、妹はペロペロとその薬を舐めていてビックリしたものです。「この薬は癌にもきくんだ」と、それを紹介してくれた生保のおばちゃんを祖母は固く信じていたようです。

それ以外は、もう胃にやさしくするしかありません。

ただ、祖母は朝から晩まで家族のために働かねばなりませんから、ちゃんと食べて栄養を取らなければなりません。胃下垂をなおすためには、数時間おきに食べてすこしずつ栄養にするという方法をとっていました。

祖母の平均的な1日は、

7時半に朝ごはんをたべる。
庭仕事をする。
10時に菓子パンやせんべいなどのおやつを食べる。
また庭仕事をする。
12時に昼ごはんをたべる。
またまた庭仕事をする。
15時に饅頭やフルーツのおやつをたべる。
さらに庭仕事をする。
18時に夕飯を食べる。
テレビをみたり風呂に入る。
21時に夜食を食べる。
そして、寝る。

とにかく、祖母は用事がなければ毎日庭仕事をし、少量の食事を回数わけて食べていたのです。それも間食はほとんど甘いものばかり……。

祖母や父は、毎日毎日甘いものを食べるのです。糖尿病にならないのがおかしいくらい、苦いお茶と一緒に羊羹だ、あんぱんだ、大福だ、黒糖かりんとうだ、団子だ、と甘いものが大好きでそれらを毎度毎度胃にほうり込むのです。
私は甘いものが大好きで、「甘いものがない人生なんてつまらない!」とまで考えていたのですが、実際に食べる量は、祖母と父の比べものにもならないのです。とにかく甘いものが大好きなのです。

甘いものは胃腸に良くないはずなのですが、祖母はトマトにも西瓜にも砂糖をかける。甘くないものを食べていると「甘くないなぁ」とさびしい顔をするのです。

祖母の介護をしていたときに、夜中にトイレで起きてその後に
「腹へったな〜、甘いもの食いたいなぁ」とベットに腰掛けて脚をぶらんぶらんさせていた姿が今でもはっきりと思い出されます。

しかし、この食べる習慣は胃下垂がゆえで、ちっともうらやましがる習慣ではないのです。

近年、痩せたい女子が、好きなだけ食べても太らない胃下垂になりたいと言いますが、胃下垂は病気なのです。うらやむなら、大食い女王です。胃が大きく消化がよく満腹感をあまり感じずいつもニコニコ食べています。胃下垂の私は、それができたらどれだけ幸せかと……

ダイエットするなら胃下垂を目指さず、大食い女王を目指してみてはいかがでしょう。胃下垂は、甘くはないのです。

 

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2016-06-14 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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