隠しきれない鼻の下、喜びレベルMAX
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記事:たにみゆ(ライティングゼミ大阪コース)
「……っっうそーーーーーーー!!」
2才になる前だった姪っ子が、クリスマスプレゼントを開けた時の第一声。どこの良い女の反応よ!! と、めちゃくちゃ笑った。その頃初めて551の肉まんを食べた時も、美味しすぎて一口目で小刻みに震えていた。まるで寒い日にあっついお風呂に入った時みたいにプルプルプルとくるやつだ。人間て本当に美味しすぎたら震えるんや……私はその反応に感心した。今や7才になった姪っ子、相変わらず素直に全身で喜びを表現し、嬉しいことがあると飛び跳ね、舞う。根っからのひょうきんものだ。
そして、彼女の2才下に弟がいる。ひょうきんもののベースは潜在的に持ち合わせていそうだけど、恥ずかしがり屋さんの一面もある。すごいクールな顔でハートの折り紙を急に隣に来て、「これ、あげる」とそっと渡してくれたりする。どこの良い男ですか!!
一番ピークだったのは去年の4才のお誕生日、お祝いご飯の乾杯の時。みんなの注目を浴びすぎて、終始何を話しかけても目をつむり、仏様のような表情をこちらにむけてきた。
……えーーーっとそれは、喜んでいるのか? 最終的には見てないよーと各々じじ、ばば、おばが背中を向けたら、やっと目をあけ、ご飯を食べてくれたほどの恥ずかしがり屋レベルだ。ところが今年の5才の誕生日は少し様子が違うではないか。何才なったのー? なんて声をかけて、ご飯の用意をしていたら、
「俺、5才になってん!」と、ドヤ顔で、指を広げ5本しっかり見せてくるではないか!
思わず、
「……5才、めっちゃかっこいいやん!! 5才!!」と、5才って言えてえらいねなんて言ったら、彼の恥ずかしがり屋スイッチを入れるかもしれないので、とにかく謎に5を褒めた。大注目の中、ケーキのろうそくを消して、おめでとーーー!! と祝福を受けたあと、去年は仏様一点ばりだった彼、やっぱり今年は違った。
「ありがとう」と言ったのだ。だめだ。あぁもう思い出しただけで泣きそう。こんな小さな変化だけでも成長したなぁなんて感じる。どれだけ小さかったかなと、生まれたあの日の小さな手を思い出してしまう。私が産んだわけでもないのに。こうやって大きくなって、今は姪甥で取り合ってくれる、おばちゃんの隣の席もいつか座ってくれなくなるんだろうな。あぁまた泣きそう。と、1人しみじみしていると、お誕生日のメイン、プレゼント開封タイム! が始まった時だった。彼は急に仏様モードになったのだ。
そうか。もう、嬉しすぎてコントロールできない時ほど、こうなるのだな。さっきまでのリアクションは、こちらの大人に合わせてくれていたのか。ありがとう少年。気を使わせてすまなかった。ここからは君の好きなように振る舞い、自由の身になってくれ。と、ひっそりと心の中で願い、彼から少し視線を外しながら息を潜め、できるだけ彼がプレゼントに集中できるように気配を消した。ただ、こっそりとムービーは撮らせてもらったのだけど。仏様の顔をした彼の前には大、中、小とプレゼントが並ぶ。中サイズの靴のプレゼントを開けたあと、小サイズのプレゼントの袋を開けた。その瞬間……
私は見逃さなかった。
彼の鼻の下が伸びに伸びたのだ。中にはずっと欲しかったSwitchの新しいゲームソフト。必死に仏顔を保とうとするが、もう顔の筋肉は限界のようだ。鼻の下はヌーンと伸び、ふくふくの頬は嬉しくて盛り上げって、頑張ってすぼめようとする口も、頬の筋肉の動きに負けて口角がどうしても上がるではないか。何度も仏顔に戻そうとするが、すぐに鼻の下を伸ばした。
もうその顔が見られただけで、もう感無量だ。彼の成長も嬉しい反面、そういうまだ残る幼さも見つけてしまうと愛おしいが増す。大人は身勝手である。大きく成長してほしいと願い。まだ小さいままでいて欲しいとも願う。どちらも愛おしいのだけれど。きっと反抗期、彼らにちっとも可愛くないことを言われても、妙に大人ぶった姿を見せられても、この顔の面影を感じたら、やっぱりその時の大きくなった彼らの姿を愛おしいと思ってしまうのだろう。あぁまたその未来の愛おしさを考えただけでも泣きそうだ。
幸せにしてくれてありがとう。そして5才のお誕生日、おめでとう。
すっかりお姉ちゃんになった7才の姪っ子も、お姉ちゃん記念5年だ。おめでとう。
2人がそれぞれ生まれたあの日、鼻の下を伸ばして顔をいつまでも見ていた、おばより。
***
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