将来が不安で毎晩泣いていた地方大学生が、社会人になって自分史上最高に幸せになれた話
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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:まつもとみう(ライティング・ゼミ2月コース)
「何者か」になれるはずと信じていた私は、ただの会社員になった。
採用試験を30社ほど受けて、そのうちたった1つ受かった企業に勤めている。
GAFAに受かったわけでも、学生起業したわけでもない。
子どもの頃に夢見た「何者か」になれた訳でもないのに、なぜか、今が人生で一番楽しい。
自分らしくありながら、日々成長し続けている実感がある。
なぜ、ただの大学生が普通の会社員になって、充実した毎日を過ごせているのか、理由を考えてみた。
就職活動をしている時、私は後悔と絶望、不安に押しつぶされていた。
ドラマや映画に出てくるヒロインたちのように、使命を持って働くはずだった。
国連で世界のために働くのもぼんやりとした夢だったが、ぼんやりしてたら、条件を満たすところにいなかった。そもそも英語も話せないのに、フランス語とか、無理や……。
こうなるなら、もっと真面目に授業を受けていればよかった。
なんなら、宝塚歌劇団の養成学校とかに入りたかった。知らんけど……。
周りを見れば、留学に行ってたくましく暮らしている人、いつの間にか何かを成し遂げて仕事している人、人脈も駆使して要領よく内定を取りまくっている人など、昨日まで友達だった人がまるで異星人に見える。
私の人生は、風の吹くまま、流れるまま。試験で苦手だった数学を使わずに入れる大学に入ったり、なんとなくで好きだったダンスのサークルに入ったり。
「目的意識を持って達成したことは?」「挫折経験は?」
エントリーシートの問いの前に、口をぽっかり開けて唖然とした。
そんな私でも、ひとつの企業が採用をしてくれた。
その企業の採用ホームページを初めて見たときに、恋の予感みたいなものが横切った。
「この人となら、気があうかも」「私のこと、わかってくれるかも……」
その予感を頼りに、面接では、日々考えていること、思っていることを正直に話していたら、なぜか採用してもらえたのだった。
そして、社会人になってから、私の世界は一気に輝いた。
悩み続けた暗い夜の、不安という雲が晴れて、まばゆいほどの星空が広がっていたのだ。
憧れていた国連職員にもミュージカルスターにもなれなかった私が、どうしてこんなに幸せになれたのか考えてみると、3つの理由があると思う。
まずは、たくさんの素敵な大人に出会ったこと。
私の勤める会社には、個性的な人がたくさんいる。プロみたいな写真が取れる人、モデルさんみたいにおしゃれな人、古文書や象形文字が読める人、はたまたダウジングで落し物を探す人……。
「ウソー!」と思うこともあるが、社会に出て今まで出会わなかったような色々な人に出会うと、好きに生きていい、ありのままでも案外大丈夫と思えるようになる。
次に、少しだけ仕事ができるようになり、視野が広がったことだ。
私の仕事は、主に商品のカタログを作ること。デザイナーさんやスタイリストさん、カメラマンさんなど、たくさんの方と協力して仕事をしていく。
世の中は誰かが作ったもので溢れていて、成果物だけを目にしている毎日では、どのように作られたかなど考えもしない。
でも、いざ自分で作ってみると、ただのチラシ1枚にしても意図や工夫があるのだと知る。
今まで通り過ぎていたものが、「これはすごい!」と心に留まるようになる。
世の中には、まだ見ぬすごいものがたくさんある。
視野が広くなると、余裕が出て世界を楽しめるようになる。
最後に、初めて都会に出て、気軽に幅広い文化資本に触れられること。
元から都会に住んでいる人にとっては当たり前かもしれないが、森に囲まれた町で育った私にとっては、刺激的だった。
映画館は何箇所もあり、古い映画や自主制作映画も気軽にみれる。書店も何軒もあり、小説だけでなく、学術書や詩、リトルプレスもすぐ手に入る。
アートイベントも定期的に開催されていて、最近はコンテンポラリーダンスを見て、圧倒されて泣いた。
色々な人と関わって、社会を少し知って狭かった世界が広がり、新しい文化に触れる。
それらが、今の私の幸せを作っていると思う。
私の入った企業は、何千人も社員がいる大企業じゃない。就活難易度ランキングにも載ってないし、初任給ランキングにも載ってない。
ただ、採用メッセージを見て、私にあってるかもしれない、という予感を頼りに一歩進んでみただけ。
でも、その一歩は、無限に広がる可能性への大きな一歩だった。
一歩を踏み出すことで、選択肢がどんどん出てくる。
一歩を踏み出さなければ、その選択肢は埋まったままだった。
だから、難易度や偏差値のような他人の物差しじゃなくて、自分の予感や熱意を信じたらいいと思う。
一歩目を踏み出せれば、きっとその先に道は開ける。
星の数ほどある選択肢を前にして、私はどんな星座を描いてみようか?
まだほとんど輝けていない私だけど、ひとつひとつ積み重ねた先の景色が、楽しみで仕方ない!
***
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