トイレットペーパー選択時における決断
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記事:ヤスキアヤ(ライティング・ゼミ)
トイレットペーパー選択時における決断
記事:ヤスキアヤ(ライティングゼミ)
12月25日 朝10時のことである。
家から出たら、トイレットペーパーがあった。
ビニール包装されたそれは、玄関に鎮座していた。
古紙100%、シングル1ロール。
普段だったら大して気にも留めないだろう。
でも違うのだ、今朝に限っては。
1/366、その確率であらわれたのだから。
思い起こせば1週間前。
我が根城のトイレットペーパー在庫が尽きかけていることに気づいた私は、買い物リストにメモをした。
割と切迫する可能性の高い日用品だから、本当に忘れないようにと、念のためにと、毎夕18時に携帯でアラームまでかけていたのにも関わらず。
今週、1週間、完全に買い忘れ続けていたのである。
そして昨日、12月24日 朝。運命のときは訪れる。
ついにトイレットペーパーが失われた。
15cmたりとて残らなかった。
ああ。
これは。
買わねばなるまい。
この7日間を振り返っても私は腑抜けであった。
確かに忘年会シーズンで日々飲み会だったとは言え、自分の生活の必需品である。
最寄り駅の改札を出た時に思い出し、24時間営業のご近所スーパーにいく。家でトイレの扉を開けた瞬間に思い出し、ご近所のコンビニエンスストアに走る。そういったことをすべき、日用品である。
少なくとも、今のわたしの生活における、トイレットペーパーの日常性というのは。
しかしながらそんな存在を適当に扱い、あまつさえ切らせてしまったなんて。毎日を雑に生きているのと同義である。
ひとしきり自分の雑な生き方を反省し、今宵こそは。
買って帰らねばならぬ。肚に誓う。
あえなくその覚悟は崩れ去る。
12月24日の夜も、私はトイレットペーパーを持たずに帰宅した。
更には、別に今も明日の朝も切羽詰まることはあるまい、起きたら買いに行こうとベッドに潜り、ツイッターで「サンタさん、トイレットペーパーください」と呟いて、眠りについたのだ。
そんなこんなでの、なうである。今である。
純粋さ全開の私はサンタさんありがとう! 以外に言葉が浮かばない。
ただしかし、これを持って家に戻るわけにはいかない。
何故なら、今、この扉を開けたのがまさにトイレットペーパーを買うためだったのだから……!
置かれていた懐紙の上にそっとトイレットペーパーを戻し、私はご近所スーパーへ向かった。
そもそも、これほどまでに買い忘れてしまうというのは何なのだろう。
ここのところ毎夜忘年会で直帰していないのは間違いない。
かさばるものを忘年会前に買っていく気にならないのだ。
だからといって1ロールだけ買って帰るのも馬鹿馬鹿しいし、そもそも何ロールだって帰途1時間の道程中ずっともって歩きたくないのは人情じゃないか。
……あぁ、でも。
スーパーの自動扉が開き、日用品コーナーへ向かう。
自分は、紙を取り扱う物流の部署にいるから、製紙会社からお中元やお歳暮でトイレットペーパーをもらうこともある。
もらった時は、至極当たり前に会社から家まで持ち帰っているのだ。
外的要因があるのだとはいえ、持って歩きたくないのは人情、なんて言い訳でしかない。
ということは。
何処かでどうにかなるのではないかと思っているのではないか。
思い出した時にやればいいやと思っている、どこか今以って他力本願でいる自分がいるのではないだろうか。
陳列棚にずらりと並んだトイレットペーパー。
上下段に渡って一区画、様々な製紙メーカーが作る色とりどり、香りも値段もそれぞれの商品が並ぶ。
いつも使っているものを探し、改めてその商品棚を眺めながら歩く。
あ、あった。色付き、ダブル、12ロール。そういえば、なんで私これ使うことにしたのだったか。思い出せない。
いつものものを、無意識に選択する、というのは結構にリスキーなことではないか。
終わることは、一つの区切り。区切れた時点で自分の意識を一度そこに向かわせなければ、ただ何かしれないものに囲まれてしまう。
たかが日用品で、消耗品ではあるけれども、
「買いに行った日に一番安いもの」
「俄然、花柄、香りつき!」
「目に入った2番めのもの」
むしろ、価値基準がないことだって価値基準で。なんだっていい、自分が行動を起こすときに何かの意識、価値基準を持つべきではないか。
自分の行動に対して、何の裏付けもなくなってしまった時、それはただの受け身でしかない。
天狼院でライティングゼミを受けることも一つだ。自分が進むためのきっかけを過去の自分から渡されている。
過去の自分が申込んだから、今の自分は2週に1度ゼミに行くという無意識になってしまった時、それはただの受け身でしかない。
自分が進む、動く、変わるためのきっかけを手に入れに行く。そのことを忘れてしまったら意味がなくなってしまうのだ。
家にたどり着くと、玄関口にあったトイレットペーパーは跡形もなかった。
今日選んだ「ダブル12ロール、レモンの香りつき」はわたしの手の中。大丈夫だ。
***
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