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小学校うんち合戦は、ママの人生の宿題であった


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記事:あきちゃん(ライティング・ゼミ9月コース)
 
 

子どもは、便秘である。そして自閉症である。自閉症は、息子に限って言えば、全身疾患であることが、年齢を経るたびに感じた。
自閉症は、1歳半で診断された。
自閉症とは、私は言葉を話すのが苦手で、暗黙の了解などの理解が難しいなどの社会性の障害、そしてこだわりがあるのだと思っていた。ところが、5歳には、感覚過敏や弱視やなわとびや、自転車に乗ることが困難である等の協調性運動障害も加わった。個人的には、協調運動障害が内臓の働きにも影響を与え、便秘になりやすいと理解している。
暇な時間が多いと排尿も脳が混線して、脳からの指令が行きにくくなるということが普通学級に通って十分な支援が難しい地域で過ごしたため、排泄が後退してしまった。
療育の先生のアドバイスに従い、便秘対策には、30分以上の歩行や発酵食品を取るように気を付けている。
 
現在、息子のサポートとして、朝の登校、日中の支援、帰りのお迎えを1日に3〜4往復している。帰宅すると、私は疲れてしまい、大の字で横になることが多い。
そこで、支援団体と一緒に学校交渉をして、日中の支援の母親のつきそいはなくしてもらった。
理由は、子どもは母親に頼って、自立しなくなるからだ。また、母親がいつも学校にいくと、子ども達との関わりのバリアになってしまうからだ。
 
運よく、学校がトイレサポートをすることに9月半ばから決まった。
それまでは、午後13時30分にトイレに連れて行き、午前中にたまってしまった尿パットをとりかえていた。学校でうんちがパンツにつくのは、過去転校前の小学校では5年間1年に1回あるかないかであった。
しかし、転校先では、最近続いている。それも、母親が学校に付添にいかないと決まってから増えている。母親を呼びたいからなのか、それとも何か別の理由があるのか……私には分からなかった。
「お母さん、うんちがついています」とつきそいを外れてからも、学校から電話が来るのだ。どうやら便は別物らしいことがわかった。
便秘がたまりすぎていて、うんちの量は少なくて小指の爪から、多くても親指第一関節程度であった。
それでも、学校は大騒ぎである。
なぜならにおいがするからだ。どうやら量ではないようだ。
私は、素直に「そうだろうなぁ。学校はうんちがついたパットを処理するのは嫌だよな。人員いないし、サポートしてほしいのだろうなぁ」と気持ち的に受け入れていた。
 
けれども、支援団体は、「学校が対応すると認めたので、任せなさい。トイレサポートを
をすることは、おしっこはOK,便はNGと分けるのではなく、トイレサポートはおしっこと便の両方を指すものである」
 
ごもっともである。
でも、学校の心情も分かる。なぜなら、ダイレクトに接していて、感情を感じると、協力しなきゃと思ってしまうからだ。
 
 それを避けるために、便秘5日目で朝学校行ってランドセルと教科書を置いてから、病院に行った。理由は浣腸して学校から呼び出されることをなくしたいし、呼び出されたときに断ったら、学校がどういう反応をするかが、怖かったからだ。
よし! と気合をいれて、病院で浣腸をしたときは、本人ではなく、母親の私が晴れ晴れとしていた。今日はうんちの心配をしなくてよいぞ! 
いつもなら、浣腸をするとはやくて10分、長くても30分で出るからだ。
浣腸とは、肛門から薬をいれて、うんちを出すようにすることだ。一般的にはとても効果がある。
 けれども、今回は、1時間、3時間、5時間待ってもでない。
学校に連れて行って、薬の力が作用して、全部出てしまうのは、大変なことである。
様子を見ているうちに、下校時間が過ぎてしまった。
案の定、浣腸をした日に限って、うんちが漏れていないどころか、何もついていない。
  
私は、息子の小学校で過ごす時間を奪ってしまったととても自己嫌悪に感じていた。
学校に協力的な母親でありたいという思いが強すぎて、気づけば、子供の気持ちを見失っていたのかもしれない。
 
 そして、夕方に誰もいない教室に子どもと一緒に行き、ランドセルに開くことがなかった教科書やノートを全部入れ直した。
私は、何をしているのだろう。どうして周りに気を遣うのだろう。
やはり、子どものことであっても、子どもよりも自分を守ろうとしていることが分かった。
私は、「ベストを尽くしている。学校の意見も尊重していると思われたい、八方美人の大人であった」と気がついた。
夕焼けのおかげかもしれない。涙が出た。
 
子どもの気持ち<自分の立場 と感じた。
 
私は、小さいころから、学生、社会人を通して今まで自分さえ我慢すれば良いと思って、自分の意見を言わず、損であっても我慢して生きていた。なぜなら、周りの人に嫌われたくなかったからだ。いじめられるのが、こわかった。皆一緒の考えが安心の呪縛があったのだと思う。そして、自分を見失っていた。
 
子どもを守るためには、それでは守れないことに今回のうんち合戦で気がついてしまった。
長い人生を通して、人と対話することを避けてきた。反対意見を言うのがこわかった。
「周りが良ければそれでよし」で自分を置き去りにして生きてきた。
自分だけが損にならないように話し合う宿題を子どものことで再び浮上してきた。
今回は、自分が我慢して相手を尊重したら、子どもの気持ちや権利を無視してしまうということになったからだ。
 
管理職の前で、言葉を絞り出す自分を想像する。「トイレサポートはおしっこも便も含むものです」と。
自分の意見を言う勇気を持つんだ。
 
子どものために。うんちが出そうだからと、明確でない未来のために、これ以上学校を休ませないように。
自分の人生の宿題を、今こそ果たそう。

 
 
 
 
***
 
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