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劇団天狼院

【講師インタビュー】中村雪絵は、どうして演出家・脚本家・役者のどれでもプロとして活躍できるようになったのか?《どうしてプロになれたのか?第1回》


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スタッフ川代です。
WEB天狼院新企画第二弾!「どうしてプロになれたのか?」シリーズがスタートです。
この企画は、天狼院のゼミや部活、ラボの講師をしてくださっているプロの方々に、インタビューしてその人が「プロになれた秘訣」を聞くというもの。

第1回目は劇団天狼院〜FUKUOKA〜の講師・中村雪絵さん!
それだけで食っていけるようになるのが難しい演劇・劇団の分野において、どうして中村さんが役者・脚本家・演出家のどの分野でも活躍できるようになったのか? どうしてあらゆるところから仕事の誘いがくるようになったのか?
その裏には、誰しもが真似できるわけではない努力の跡がありました。
役者志望の方だけでなく、クリエイター志望の人、プロフェッショナルになりたい人、必見のインタビューです。

【プロフィール】中村雪絵(なかむら・ゆきえ)
2002年8月、高校在学中に劇団ぎゃ。を旗揚げ。同劇団の主宰となりすべての脚本・演出を手がける。 福岡県福岡市内を拠点としながらも、東京・大阪・福岡の3都市ツアー公演や市民吹奏楽団とのコラボレーション劇など企画性の高い作品を制作。
2012年、NHK福岡放送局主催イベントのショー構成・演出や、アクロス福岡主催事業の脚本・演出など、放送局や文化施設主催のイベントや演劇作品も多数手がけている。
2013年よりテアトルアカデミー福岡校の演技講師に就任。3歳から60歳まで幅広く指導している。
2014年8月、同劇団解散によりフリーとなり、現在はエレガントプロモーションの演劇ボーカルパフォーマンスユニット・福岡オトメ歌劇団の脚本・演出を手がけている。役者としてもコメディーを中心に多数の作品に出演。
2011年より現在まで、九州最大の動員数を誇る「劇団ギンギラ太陽’s」にレギュラー出演中。

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▼自分で脚本を書き始めた中学時代

スタッフ川代(以下川):まずは、簡単に自己紹介と経歴を教えてください。
中村雪絵先生(以下中):中村雪絵です。福岡を中心に演出、脚本、役者もやっています。お芝居の世界に入ったのは中学からです。演劇部に入っていて、そのまま高校で自分の劇団を立ち上げました。脚本とかも中学の頃しか書いてましたね。
川:え! 中学から脚本書いてたんですか?
中:はい、そうなんです(笑)。書き手がいなかったから、自分がやるしかなくて。中学生の子が出来そうな脚本がなかったんですよね。ないならじゃあ自分が書こうかな? みたいな。
川:ええ! でもいきなり脚本書くのって、難しくないですか? 私も一度挑戦したことがあるんですが、普通に文章書くより難しく感じました。
中:あー、役者脳がないときついと思います。私はもともと役者から入ったので、自分が演じているのをイメージできたんですよね。脚本を書くときも、自分だったらこう言うかなとか、同じ劇団のあの子だったらこう言うかなとか、想像がすごくしやすかったので、キャラクターとかは作りやすかったです。逆に私、小説とかは全然書けないです。

▼一番やりがいがあるのは脚本

川:そうなんですね。中村先生は、脚本、役者、演出全部の仕事をされているとのことなのですが、その中でどれが一番好き、とかはありますか?
中:うーん、一番喜びが大きいのは脚本ですね。でも同時に、ウィークポイントというか。
川:ウィークポイント?
中:はい。脚本は、演出とか役者に比べると、オファーも少ないんですよ。だからこれからの自分の課題だとも思ってるんですけど。でも書くのはすごく楽しいし、やりがいがあります。
川:1作品の脚本書くのにどれくらい時間かかるんですか?
中:私は何現場もかかえているので、一週間くらいですね。
川:一週間!? それでできますか!?
中:なんとか。やるしかないです(笑)。
川:ちなみになんですが、1日のスケジュールは?
中:朝授業でお芝居教えに行って、また別のクラスをやって、帰って次の現場に行って、帰ってから脚本書いて、演出やって、って感じですね。だいたい朝9時に起きて、深夜3時に家に帰ってくる感じです。休みは1日もないですね(笑)。正月とかよっぽどのときじゃないと、休めないです。
川:ええ〜、すごい。
中:いや、でも好きなことだから全然疲れないんですよ。やっぱりお芝居の世界が大好きだから、ずっと遊んでいる感じですね。

 

▼振られたことがきっかけでプロになろうと決意

川:いつプロとして食っていけるようになろうと決意したんですか?
中:劇団立ち上げた18くらいのときから、この道で食べていきたいなーとは思っていたんですけど、そこまで積極的にはやってなかったですね。26までは食えなかったです。ギャラもそこまでもらえてなかった。いっぱい活動してるわりに、お金になってなかったんですよね。借金地獄でしたし(笑)。
川:ええ!? 借金地獄!?
中:はい。本当やばかったですよ(笑)。闇金のギリギリ手前のところでお金を借りたこともあります。
川:そうなんですか? それオープンにして大丈夫ですか!?
中:大丈夫です、大丈夫です(笑)。もう隠してないことなんで。
川:借金は全部返せたんですか?
中:全部ちゃんとギャラで返しました。借金してた頃は、バイトと借金で食いつないでたんですよ。私、今はこんな芝居の仕事ガーッとやってますけど、飽きっぽくてバイトは続かなかったんです。もともと私、全っ然働かない人で、ずっと彼氏に食べさせてもらってたんですよ。
川:そうなんですか? 意外です。
中:でも衝撃的なことを言われてしまって。それでもう芝居で食っていこうって決意したんです。26のとき付き合っていた彼氏と結婚するかも、となって。でも私があまりに中途半端で、「演劇も結婚もできん、お前は全部中途半端だ」って言われてしまって。それで振られちゃったんですよ。
川:それが転機だった、と。
中:はい。その人、一番長かった彼氏と別れて、次の彼氏だったんです。で、めちゃくちゃ条件がよかったんですよ(笑)。すごくいいのがきたー! これは逃したらだめだー! と思って、絶対結婚したくてめちゃくちゃ世話を焼いてたんですけど、その下心バレてたみたいで。「こいつは俺にぶら下がって生きていこうとしているな」って気がつかれたみたいで、振られました。
川:それはキツいですね。
中:でも、その彼の言う通りだな、と思って。それからもう絶対芝居で食ってくぞと決心して、食っていくための活動を始めたんです。

▼「食っていく」と覚悟を決めたら食っていけるようになった

川:じゃあ食っていこうと決めてから、どんな苦労があったんですか?
中:子供が好きだったので、子供に芝居を教えたりとか、子供と一緒に何かやるイベントとかの仕事をもらっていて。その頃NHKで仕事をするようになったんです。子供と作品を一個作らしてもらったんですよね。お芝居ではないんですけど、イベントみたいなものですね。それの評価が結構よかったのがきっかけで、子供たちとお芝居をする仕事がすごく好きになったんです。それから今の事務所に拾ってもらった。これが面白いんですけど、子供たちにお芝居を教えることをはじめたら、自分の芝居も、演出も変わってきたんですよ。それから色々なところに履歴書を書いて応募したりして。26までの間に大き目の舞台とかに出させてもらってたので、応募したら通ったんです。それから生活が安定し始めて、演出と脚本の依頼も来るようになった。
川:じゃあその彼氏さんとの出来事がかなり大きかったんですね。
中:そうですね。不思議ですけど、食ってくって覚悟をしたら食っていけるようになったんですよ。自分がそれまでやっていた芝居はもしかすると、自己顕示欲を満たすためのものだったのかもしれないって思いましたね。

 

▼暇さえあればインプットを増やした

川:一番苦労したことは?
中:興味のある先生の講座とか授業は全部聞きに行きました。自分に合うものを見に行った。知ることを集中してやっていきました。とにかく時間が空いたら他の先生の授業を見まくった。自分もちゃんとしたレッスンがやりたいと思ったんです。
川:インプットをすごく増やした期間があった、と。
中:そうですね。その頃自分の現場もあったんですが、並行して自分が空いている時間は全部見に行った。そうじゃないと何がいいかわからないじゃないですか。でもその授業を見に行ったことで別の仕事につながったりもしました。自分の仕事につながりそうなことはなんでもやりましたね。特に戦略的にやってたわけじゃないです。がむしゃらにやってたら結果的にそうなってたって感じですね。
川:でもその経験が、今につながっているんですね。
中:今思えば、それをやっていたから今の教え方が安定してきたと思うんです。今子供に芝居を教えるクラスを持ってるんですけど、子供の言うことを聞かせるのが一番難しいんですよ。集中力を向かせるのが大変だから。児童関連の本とか心理学の本とかいっぱい読みました。子供に教えながら、注意の引き方などを考えてました。どうしたらこっちを見てもらえるだろうってずっと考えて。でも教えているうちに自分の演技も変わってきたんですよね。役者としても演出家としても言葉に気をつけるようになりました。どういう風に言ったら伝わるかをすごく気にするようになりました。子供に言って伝わるなら大人でも伝わるだろう、と思って。自分だけの言葉じゃなく、別の共通言語を探そうと必死でした。理系文系でも伝わり方違うんですよ。あと右脳左脳とか。
川:え、どう違うんですか?
中:たとえば、右脳の人に伝えるなら、「電流が走ったみたいな感じに」とか。ニュアンスで伝えた方がうまくいきます。でも、左脳の人には、「今誰に喋ってるの? 自分が体験した中で一番大きいものは? それに比べると今の感情ってどれくらい?」とか、具体的に伝えた方がわかりやすい。
川:なるほど、それを見分けられるのはさすがですね。

 

▼「その場」に絶対いなきゃいけない人間になれ

川:最後に、劇団天狼院でやりたいこと、これから入られる方へお伝えしたいことがあれば教えてください。
中:今後教えたいことは、その場に絶対いなきゃいけない人間になる、ってことですね。大事なのは、その人がいなかったら回らない存在になること。役者としての意識ももちろんですけど、人間としてもそうだと思います。プロになるなら、この人がいなかったら絶対ダメだな、というタイプの人にならなきゃいけないと思ってます。「場」を読む。劇団天狼院という居場所の中で、自分って何? 社会でもどこでもそうだけど、自分っていう立ち位置は、その「場」で本当に正しいのか? そういうのを意識できるようにできればなと。
川:「やりたい」のと「向いてる」のって違いますもんね。
中:そうですね。向いてるだけでもだめだし、やりたいだけでもだめだから。自分には何ができるのか? を見つけて、それをやれるようになることで人生がだいぶ楽しくなる。私はそれを知ってからこの道で食べ続けていけるようになった。裏方でも脇役でも何も問題ないです。その「場」によっては脇役の方が目立つこともありますから。それは自分に興味持たないとできないけど、さらにその上の段階として、「場」を読むということ。
もちろん楽しくやりますけど、「場を作る」「場を読む」ことがすごく大事だと思っています。
あとは、この劇団天狼院がちゃんと自分の居場所だって言えるところにしたいですね。居心地が良い場所にしたい。これからご参加される方、よろしくお願いします!

 

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中村先生、ありがとうございました!

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