できれば、ゴロゴロして生きていきたい
記事:山田 将治(ライティングラボ)
洋の東西とわず、昔からこんな話がある。
父親が息子に向かって「ゴロゴロしてないで、勉強しろ!」といった。
すると息子は「勉強してどうするの?」と応えた。
「勉強していれば、良い学校に入れる」
「良い学校に入ってどうする?」
「良い会社に入れる」
「良い会社に入ってどうする?」
「良い会社に入れる」
「良い会社に入ってどうする?」
「良い会社は給与も良いから老後に苦労しない」
「苦労しない老後ってなんだ?」
「好きなことだけして、ゴロゴロ出来る」
「あ!?ならいいよ。俺、勉強しなくても今からゴロゴロ出来るから」
本当に、老後の為に仕事をしているのか?
実は、そうではない。
大半の人は、日々の生活の為に仕事をこなしている。
では、金銭の心配が無くなれば仕事をしなくなるのか? 答えは、否である。何故なら、生身の人間は、日々不安と葛藤しているからである。
またその不安とは、収入が途絶える事ばかりではなく、仕事を抜いた自分が何も無い存在ではないのかという、漠然とした恐怖かもしれない。
こんな笑い話もある。
「何でそんなに具合が悪いのに無理して会社に行くんだい?」
「だってさ、俺が行かなくても会社に何の支障が無いと、俺の存在が無用とバレるじゃないか」
何故こんな事を書き始めたのかというと、先日、天狼院の「はぐれメタル」三浦店主と、個人的会話をする機会に恵まれたからである。流れで会話がお金や人生設計に及んだ。小生が、漠然と80歳前後の余命を基に話をすると三浦さんはこう言った。
「ダメだよ山田さん、もっと長生きしたらどうするの?」
何とか取り繕ったが絶句した。正直なところ、小生は常々早期リタイアが良しと考えていた。また、自分の寿命は20年位と考えている。父親の享年まで、後18年だからだ。
普段から父を始め家族の事は殆ど話さない。恥ずかしながら、家族との折り合いが悪い、または悪かったからだ。当然、趣味の本職(?)である映画鑑賞に於いても、家族愛が前面に出てくる映画は苦手である。実感が余りに無いからだ。
先週、キンキンこと愛川欣也さんが亡くなった。父と同い年だ。父は、死ぬ直前迄家業に口を出し、小生に気の遠くなる様な借入金と苦労を残して逝った。尤も、仕事以外の趣味も無かったが。小生にとっては、反面教師以外の何者でも無かった。小生が思う、早期リタイア願望の根源は、こんなところに有るのかも知れない。
片や、キンキンは亡くなる直前迄仕事をし、命日の3日後に自身が製作・監督・脚本・音楽・主演を務めた映画が公開されるという離れ業を遣って退け、天寿を全うした。御見事と思った。
今、考えを改め始めている。生涯現役も良いのではないかと。
三浦さんの言葉だけではない。キンキンの人生だけでもない。
大切にしている趣味が、沢山有る事に気付いた。
プランを見直したら、経済的余裕が思ったより有った。
有意義な時間を過ごせる「天狼院」という、大切な宝物を手に入れた。
これからも、誰よりも顔を出し、誰よりも楽しんでやると思った。
そう、小生はようやく「ゴロゴロできる場所」を見つけたのだ。
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