ライティング・ラボ

いい歳に成ってしまったが、一度ナンパしてみたい女(ひと)


 

記事:山田将治(ライティング・ラボ)

 

ヒラリー・クリントン女史が、正式にアメリカ合衆国民主党の大統領候補に立候補した。来年はうるう年で、オリンピック夏季大会とアメリカの大統領選挙がある。

 

ヒラリーに関し、こんなジョークを御存知だろうか。

 

夫のビル・クリントンが大統領在任中のとある休日、ヒラリーは夫と供に故郷イリノイ州までドライブに出掛けた。給油の為、ガソリンスタンドに立ち寄るとそこに居たのは、高校時代のボーイフレンドのヘンリーだった。

 

「やあ、ヒラリーじゃないか。久し振り。ファーストレディーが旧友で、僕は誇りにしてるよ」

 

ヒラリーは、礼を言い会計を済ますと、車のシートに戻った。

車を発進させながら、運転席のビルはこう言った。

 

「君は僕と結婚出来て良かったね。だって、ファーストレディーに成れたもの。もし、ヘンリーと結婚していたら、ガソリンスタンドの女将さんだったね」

 

すると、ヒラリーはこう切り替えした。

 

「何言ってるのよ。私が彼と結婚していたら、今の合衆国大統領は彼が勤めてるわ」

 

これまでとは違う、ヒラリーのファーストレディー振りを上手く表した、私の好きなジョークです。

 

 

こんな夢を見た。

 

私は、或る駐日大使館のパーティーに出席していた。突然肩をポンと叩かれ振り返ると、昔のガールフレンドが立っていた。

 

「あら、久し振り。元気だった?」彼女は、変わらぬ笑顔で声を掛けてきた。そして、あの時と同じセリフで、私を困惑させた。

 

「外国人の巣窟で、日本人が何してるのよ?」

 

勿論、笑顔であるが・・・・・・。

 

彼女との出会いは、お互いが大学生の時である。彼女は、上院議員の叔父が随行する、学生の日本視察団長であった。私は、その視察団をホストする日本側の隊員だった。夏休みだったので暑い中、東京を始め、京都・奈良・広島等を案内した。

ブロンドに碧眼の美しい彼女に、日本の大学生はなかなか声を掛けられずに居た。

私は意を決し、一級年上の彼女に話し掛けた。上流階級出身にしては、気さくな女性だった。

 

彼女と再会したのは、私がイェール大学へMBA獲得を目指して留学中のことだった。

ハーバード大学で行われた学会後のパーティーで、私は話し相手もおらず、壁際に張り付いていた。すると、不意に肩を叩かれた。彼女だった。

私のジャケットのエンブレムを人差し指でつつきながら、こう言った。勿論、あの笑顔で。

 

「ハーバードの巣窟で、イェールのエンブレムが何をしているの? 」

 

そして、

 

「ショーン(私の呼称)じゃない! どうしてここで逢えたの!? 」

 

彼女に対し、挨拶もそこそこに留学中でニューヨーク郊外に居ることを告げた。

すると、彼女は嬉しい事を伝えてくれた。

 

「え! 私もこの9月からコロンビアのロースクールに行くの。今度は、NYで逢いましょう」

 

実際その秋から、週末のほとんどをデートして彼女と過ごした。

タイムズ・スクェアで映画を観たり、ブロード・ウェイで観劇をした。メトロポリタン美術館にも行った。彼女が、「ここが一番好きだ」とも言っていたことを、私は記憶している。

ソーホーやブルックリンにも行った。時に、日本の旅行者からもらったチケットで、ヤンキースタジアムにも、彼女を誘った。ボストン出身の彼女をである。

私も実は、レッドソックス・ファンであると告げると、「今度帰郷した時は誘うね」と言ってくれた。

 

次の春休み、約束通り彼女は実家の豪邸に私を誘ってくれた。勿論、ボストン・フェンウェイパークにも。

4月頭の極寒の中、二人で肩寄せながら観戦した。

ヤンキースに大勝し、気分良く試合後のBGMを歌っている私に、

 

「これ、私の曲よ」と彼女は呟いた。

私は「Sure ! I know.」と応えた。

 

月日は流れ、帰国の日となった。

伝説の大統領名を冠した空港まで、彼女は見送りに来てくれた。

私は、胸に秘めた想いを告げられずにいた。

「一緒に日本で暮らさないか」である。

彼女には伝わっていたのかもしれない。大きな瞳に、涙を一杯ためていた。

上流階級出身の彼女が、アメリカを離れられない事は明白だ。

彼女はただ、「See you again ! 」を繰り返すばかりだった。

 

後ろ髪を引かれるとはこのことだろう。私は、断腸の思いでニューヨークを離れた。

 

数十年後。

私は、キャロルに再会した。大使館のパーティーで。

 

「憶えていてくれたんだ。有難う」と伝えると、

「忘れるわけないわ。ちゃんと約束通り、息子はイェールに進ませたじゃない」

と意味深な笑顔で言った。

そんな約束したっけ? 遠い昔の事だ。

 

しばし会話の後、キャロルに

「あの時、僕と結婚しなくて良かったね。おかげで、駐日アメリカ大使に成れたもの」

と言った。

 

するとキャロルは、少女の笑顔でこう応えてくれた。

 

「そんな事ないわ。ショーンと結婚出来ていれば、今の駐米日本大使はこの私よ! 」

 

キャロラインを、再び抱き締めようと思ったが、公衆の面前なので出来なかった。

 

 

ここで、目が覚めた。

久々に心地よい目覚めだった。

 

 

キャロライン・ケネディ駐日大使(言わずと知れた、ジョン・フィッツジェラルド・ケネディ大統領の娘)。

今、最もナンパしたい女(ひと)。

 

無理は百も承知だ。

言うだけなら、二百も勝手だ。

 

 

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2015-05-18 | Posted in ライティング・ラボ, 記事

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