メディアグランプリ

自然の中だからこそ、繋がれる


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:野村 光恵(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
「ごめん! やっぱり、明日ダメになっちゃった。」
突然の予定変更。しばらくぶりの休日が消えた。
 
その日は緊急対応に追われ、張り詰めた状態が数日間続き、リセットのために1日休暇を取ろうと思っていた。
今までのパターンとして、そういう時は自然の中で過ごしたい。
タイミング良く、仕事の関係で上京する友人から1日予定が空いていると連絡が入り、高尾山に行くことを計画した。
山頂でビールを飲み、温泉でのんびりすることを妄想するだけでも、気持ちが晴れた。
秋の季節に自然のなかを歩くのは、すごく気持ちが良く、特に秋生まれなので季節的に秋になると気持ちが上向く。
 
だけど、そんなことを考えながらも同時に意識に上ってくるのは……滞った仕事への不安感。
実際、リフレッシュをしたいのも、仕事のパフォーマンスを高めたいから。
とはいえ、限られた時間の中で今、休みを入れて準備が間に合うか不安だった。
 
不思議なことに、そんなことを考えはじめてからしばらくした頃、友人からメッセージが入り、
急遽、仕事になってしまったと高尾山計画はキャンセルになった。
ガッカリしつつも、それならば仕事をしようとアッサリ気持ちを切り替えられた。
 
高尾山はキャンセルになったが、新宿でランチだけすることになり、新宿へ向かう。
そして、ランチ後の時間で、オンラインでのミーティングの予定を入れた。
きっとカフェなどでは落ち着いて話ができない。
せっかくここまで出てきたけど、ミーティングまでに帰宅しようか悩んでいた。
思いついたのが、周りに人があまりいない自然の中なら話ができそうだということ。
幸いとっても天気が良くて、外にいるのが気持ち良い陽気だった。
新宿御苑へ向かった。都心にいることを忘れられた。
晴渡った空が青く、とても綺麗で、自然と呼吸は深まっていく。
芝生に寝転がりたい気持ちになり、レジャーシートを用意しなかったことを悔やんだ。
平日の午後に、久しぶりの晴れを公園で楽しむ人達を横目に、芝生を横切って池がある場所を目指す。
確か、数年前に紅葉が見事で、手に入れたばかりの一眼レフで撮影したことを思い出しながら歩いていた。
残念ながら、まだ紅葉の時期には早かったが、とても静かな空間で気持ちも落ち着いていった。
 
太陽の光が差し込んでくる木々の影から、その美しい自然の風景をiPhoneで撮影し、「今日はここで仕事しよう」とfacebookに投稿する。
間も無く「どこでも仕事ができていいなぁ」というコメントがついた。
本当にそう思う。パソコンやスマホやタブレットがあれば、大抵の仕事はできてしまうことがありがたい。
 
ベンチに座り、約束の時間まで集中してミーティングの準備を始める。
没頭していると、ふと自分が今どこにいるのかを忘れてしまう感覚になった。
そっと空を見上げると、自然光が気持ちよく差し込んでいて、なんだか身体が軽く感じられた。
続いていた緊張から開放され、心にはスペースが生まれていた。
心と体をリフレッシュし、切り替えるために休みを取ろうと思っていた。
だけど、それはこんなにも手軽にできることだった。
 
遠くまで出掛け、特別なことをしなくても、手軽に自分のメンテナンスはできる。
そんなことを感じながら、広い公園の片隅でイヤフォンを使い、オンラインミーティングに入る。
離れていても、どこでも気軽に繋がることができる便利さがありがたい。
まずは、私の方で用意したプランを伝え、そこにアイデアや意見をもらいながら、ミーティングは進んでいった。
 
不思議と外にいるせいか、私の中から自然と言葉が溢れていく。
構えたりせず、ありのままの自然体で話せることが心地よかった。
  
私たちの体と心は繋がっている。
 
だから、体が開かれているときには、心が開かれる。
深呼吸をし、綺麗な青空が見えるロケーションだからこそ、自然と視線が上がる。
その時の姿勢も、心の状態をオープンにしてくれていた。
日常から、パソコンやスマホを使うときに下を見続けていたら、その分、気持ちは落ちていってしまう。
ここ数日間、毎日のように真剣にパソコンに向かい、焦りと不安と緊張感で消耗していた。
それは、こうした姿勢による影響もあったのかもしれない。
 
そういうときに、無理やり意識だけでポジティブになろうとしても、難しかった。
だからこそ視線を上げて、姿勢を変えて、呼吸を深める。
そんな簡単なことが、焦って視野が狭まってしまっているときには忘れてしまいがちになる。
 
その日の新宿御苑でのミーティングは、ほんの少し環境を変えただけ。
空がとても綺麗だったからこそ、自然と空を見上げていたら、幸福度が高まった。
創り出す未来にワクワクできて、創造性も高まった。
 
「幸福度が高い人は、創造性が3倍、生産性が1.3倍高い」
(慶應義塾大学大学院教授の前野隆司氏)
 
ミーティングに集中していたら、ふと気づくと少しずつ空の色が変化していた。
とても綺麗な夕焼けと、大空に広がる秋らしい雲が美しかった。
その風景を仲間にも観て欲しいと思い、カメラを空に向けたら、喜んでもらえた。
こうした繋がりの中で、役に立てていると感じられることが、また幸福度を高めてくれた。
 
 
 
 
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2019-11-08 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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