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あなたの街は、あなたが作るんだ。


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記事:リュウヒロキ(ライティング・ゼミ平日コース)
 
「鳩ケ谷? なんであんなところに? あそこは、陸の孤島だよ」
上司にどこに住んでいるかと聞かれて答えた私への反応だ。
聞けば、偶然にも上司が生まれ育った街が鳩ケ谷だった。
 
恐らくピンと来ていない大半の方に説明すると、鳩ケ谷は埼玉県川口市内に位置する街だ。
どちらかというと“町”と表現した方がしっくり来るかもしれない。
それぐらい、こぢんまりとした街なのだ。
 
陸の孤島というのも言いえて妙で、東京都心から大宮方面と茨城方面に走るJRの二つの路線のちょうど真ん中に位置し、つい最近地下鉄が通るまではバスでしか行けないというものすごく不便な街だったそうだ。
 
いまは無事地下鉄が通ったが、どこか周りから孤立した感じがあるのはそのせいかもしれない。
上司からも散々な言われようだったが、それでも自分では意外にも気に入っている。
 
「しっくり身体になじんでいく」
街に対しての表現としては少し不思議な感じがするが、最もイメージに近い。
さながら、野球のグローブを丁寧に手入れしながら使い込んでいくうちに気づけば身体の一部になっていくような感覚だ。
 
例えば、いままで住んでいた新宿であれば、すでにその街のカラーがあった。
 
東京一の歓楽街で、遅くまで数多くの飲食店が開いている。
映画館やゲームセンター、最先端のレジャー施設が揃っている。
かと思えば神社や住宅街が入り混じり、ごちゃまぜになっている。
 
こんなところだろうか。一言でいえば“カオス”だ。
 
ほかにも渋谷や、吉祥寺、浅草など東京の街は人それぞれ思い抱くイメージがあるはずだ。
 
けど、鳩ケ谷にはそれがない。
どこまで行ってもフラットなのだ。
 
例えば飲食店がないかと言えば、そんなこともない。
駅前にはマクドナルドやガストなど大手チェーンの店がぽつりぽつりとある。
しかし、それよりも圧倒的に軒数があるのが個人経営の小さい飲食店だ。
 
しかも、そこかしこにあるのに、絶妙に主張をしていない。
だから、そういった個人商店を利用しないという選択肢も十分にあるのだ。
 
ライフスタイルというと少しかっこつけた感じがするが、自分のいまある状態に合わせて自分に合う選択肢を選び取ることができる。
 
ショッピングやレジャーについてもそうだ。
大規模なスーパーや施設も充実する一方で、その周辺には個人商店が立ち並ぶ。
そんなバランスの取れたある種の生態系がそこにはある。
 
先に挙げた新宿や渋谷もそうだが、普通、街は一定の方向性を持つものだ。
言い換えると、その街の“文化”と言ってもいいかもしれない。
それは「まちづくり」という観点で鉄道会社やデベロッパーがその街の魅力として作り上げたものかもしれないし、もしくは本当に自然発生的に生まれたものかもしれない。
その結果、街に賑わいが生まれ、商業的な発展につながっている。
 
しかし、それは同時に街の方向性がすでに決定づけられており、自分がそこに関与できないという点では少し、いやかなり寂しいなと自分なんかは思ってしまうのだ。
そう考えるとこれからの時代、鳩ケ谷のような街があってもいいのかもしれないと素直に思う。
自分がその街に住み、そして人や場所と関係性を積み上げていくことで七色に変化していく、そんな街があっていいはずだ。
 
それは鳩ケ谷に限ったことではない。
UターンやIターンなど移住を決断する人たちに多いのが「都会の生活に疲れて……」という声だが、それはつまるところ“自分に合った生活”を求めているという一言に尽きると思う。
 
だから、移住に興味があるけど会社は東京だから離れられないし……という人には、鳩ケ谷のような“自分の生活”を探せる身近な街を探してほしいと思う。
 
あなたの街は、あなたが作るんだ。
 
 
 
 
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2020-01-10 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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