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福岡県民・真のソウルフード! 癒しの博多うどんの世界


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:春野 菜摘(ライティング・ゼミ 日曜コース)
 
 
あなたは「福岡の美味しいもの」と聞いて、何を思い浮かべるだろうか。
 
もつ鍋? 水炊き? 鉄鍋餃子?
中には「豚骨ラーメン」と即答する人も少なくないだろう。私自身も福岡から上京すること約20年、故郷の話題になると「じゃあ地元に帰ったら豚骨ラーメンだね!」と言われることもしばしばである。
 
しかし、だ。私は声を大にして言いたい。
 
福岡県民の真のソウルフードは「うどん」である。
東京で疲れ果てた体が帰省中に求めるのは、豚骨ラーメンの活気ではなく、博多うどんの癒しだ。
 
今日は我々福岡っ子が愛して止まない博多うどんの世界をご紹介したい。
 
知られざるうどんの発祥地、福岡
 
讃岐うどんの香川に、稲庭うどんの秋田、伊勢うどんの三重と、日本にはうどん処が数多く存在する。しかし、日本のうどん発祥の地が実は福岡であるということは意外と知られていないのではないだろうか。
 
一説によると、13世紀に渡宋した僧侶・聖一国師が、帰国後博多に留まり、中国伝来の製麺技術を伝えたのがうどんの発祥とされている。実際、博多滞在中に聖一国師が布教の拠点とした承天寺の境内には「饂飩蕎麦発祥之地」と記された石碑が今日も残っている。
 
大陸文化の玄関口とも言われる福岡。うどんも実は、ここ福岡を通してもたらされた大陸由来の食文化なのである。
 
うどんにコシは要らんばい。
 
さて、そんなうどんのルーツとも言える博多うどんを語る上で、まず特筆すべきは麺の柔らかさである。
 
うどん界の最大勢力讃岐うどんが幅をきかせる昨今、「コシ」はあたかも正義のように語られる。美味しいうどん=コシのあるうどん、との偏った認識が世の中にはびこっているが、福岡県民はそんなことはちっとも意に介さない。
 
見よ、このモチモチ、フワフワの麺を。
 
弱ゴシの「やわい」麺は、ダシと一体化し、具材と一体化し、見事な調和を保っている。ただ柔らかければいいと言うものではない。口に入れた時にわずかに感じる弾力、そのモチモチとした「しなやかなコシ」とでも言うべき食感が博多うどんの命だ。
 
元々せっかちな博多の商人に合わせて茹で置いた麺を使ったのが由来ともされるが、せっかちであろうとなかろうと、福岡県民はこの弱ゴシのうどんをいくら待っても欲するのだ。
 
最後の一滴まで飲み干してしまう癒し系のダシ
 
博多うどんでは麺と同じくダシも主役だ。いや、むしろ、麺とダシのハーモニーを味わうのが博多うどんの作法と言っても過言ではない。
 
福岡ではうどんのダシにしばしばアゴ(トビウオ)が使用される。アゴは最近でこそ全国的に有名になったが、九州地方では昔から出汁を取る為に使われてきた食材だ。
 
アゴで取った出汁は旨味が強く、料理に上品な調和をもたらす。そこに鰹などの香り高い出汁を加え作られる博多うどんのダシは、豊かな風味と、麺や具材を包み込む優しさを合わせ持つ。
 
元来水質的に硬水だった東の地方では出汁が取りにくく醤油の味を生かした料理(蕎麦など)が発展し、軟水の西部では出汁の味を生かした料理(うどんなど)が発達したとも言われる。さらにそこに九州ならではの甘味の強い薄口醤油が加えられたダシは、角という角がすっかりと落ち、ただ麺を受け入れ、具材を受け入れ、それを食する人を受け入れるという底なしの包容力を持つに至るのである。
 
気がつけば最後の一滴までダシを飲み干している。腹の中に残るその温かな安堵感は、他ではめったに味わうことはできない。
 
トッピング&サイドメニューで満足感200%
 
是非、トッピングとサイドメニューにも注目して欲しい。
 
博多うどんのトッピングの代表格と言えば間違いなく「ごぼ天」(ごぼうの天ぷら)だろう。店によってささがきをかき揚げにしたものだったり、大胆な斜め切りを揚げたものだったりまちまちだが、個人的に最も美味しいごぼう料理はごぼ天うどんだと信じている。
 
柔らかな博多うどんだからこその、ごぼうのシャキシャキとした異質な食感が小気味良い。天ぷらの油を浮かべると、ダシはますますまろやかになる。
 
肉うどんもおススメだ。九州の醤油で甘辛く炊いた牛肉は脂と旨味がダシに溶けだし、うどんを一層味わい深い料理に変える。ちょっと頑張った日には肉うどんのごぼ天トッピングなんてプチ贅沢はいかがだろうか。
 
お腹に余裕があればサイドメニューも試してみて欲しい。中でもおススメはかしわ飯(鶏肉の炊き込みご飯)、もしくはそのおにぎりだ。醤油のおかげだろう、福岡では醤油で煮込んだもの、炊いたものはだいたい旨い。おにぎりを食べながらうどんのダシを啜る。うどんにトッピング、さらにかしわ飯おにぎりまで付けて、たいていは千円札を出せばお釣りが来る。文字通り、これほどまでにお腹と心を満たすことができる食事は、博多うどんをおいて他になかなかそうお目にかかれるものではない。
 
博多うどんの味わいは九州女の風情
 
柔らかく消化の良いうどんは、風邪をひいて寝込んだ時など、お粥と同じくらい食べさせられた幼少の頃の思い出の味でもある。蕎麦屋より圧倒的にうどん屋の多い町で、母が持ち帰り用のうどんを買ってきて、精のつく卵などを落として食べさせてくれるのである。
 
そんな博多うどんについて思いを巡らしていると、どこかに似たようなものがあったような気がしてくる。コシは柔らかいが芯があり、せっかちな九州男どもに呆れながらも包み込む底なしの懐の深さを持つ存在……。母だ。
 
なるほど、博多うどんにはどこかしら九州女の風情がある。
 
博多うどんと言う名の「救い」を県民のものだけに秘めておくのはあまりにも罪深い。
そんな罪悪感に駆り立てられて帰省先の福岡でこの原稿をしたためている。
 
(写真提供:福岡市)
 
 
 
 
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2020-01-11 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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