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家族の似た部分は人生を乗り越える戦略である


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記事:金井茉利絵(ライティングゼミ平日コース)
 
2020年お正月、久々に母親がいる埼玉の実家に帰った。
パートナーと一緒に帰ったため、とある話をその場ではしてほしくなかった。「今日はあの話はしないでね」と事前に妹と母にLINEで伝えたところ、二人とも「はーい」「わかった」だけで、「なんでその話はしないの?」「話してないの?」などの深入りはまったくなく、何も聞いてこない。もちろんその場でも、おせちやお雑煮を食べながら、その話は本当に誰もが忘れたように一言も出てこなかった。忘れているのかもしれないというレベルだったので、実際に忘れていたのかもしれない。
 
そんなお正月を過ごし、そうそう、そういえばうちの家族はこうだったなぁと思い出した。
 
昔から、母親がさっぱりしていて、まったく娘たちがやることに深入りしてこない。中学受験の時も、四教科受験が大変だったので、「受けるところがだいぶ少なくなるけれど二教科に変えてもいい?」と聞いたら即OK、新卒で入った大手金融機関を十か月で辞めることにした時も、「えっそうなの!? まあでもじゃあ仕方ないわねぇ……」とさすがに少し驚かれたが、特にしつこく咎められなかった。そのため、重めな意思決定でもどんどん進められたし、逆に母や妹が何をしていてもそんなに自分の考えに影響されたりすることが少なかった。
妹は妹で今年30歳になり、一人で海外に行くのが好きで、一人暮らしだが料理は一回も家でせず、仕事から帰宅後はずっとネットゲームしかやっていないらしいが、年頃だからどうとか、結婚はどうだとか家族の誰も何も言わないし、本人も何も気にしていないようだ。
 
友達にすごくおせっかいな子がいて、色々なことを気にかけてくれる。「最近どうしてる」とメッセージをくれたり、仕事が変われば親身に話を聞いてくれ、安心感がある。それはそれで嬉しいが、うちとは家庭環境がかなり違うようだ。母親もすごくその子について、色々なことを聞いてくるし、仕事を辞めるというと大騒ぎになってしまったらしい。「あの話はしないでね」のお正月の家族の話をしてみると、やはり「もしも家だったらなんで言わないの? どうしたの? と5回は聞かれる」と話していて、それはそれでいいなと感じた。何か失敗があったときに、家族も責任をもって対処してくれそうで、少しうらやましい。
 
もちろん違うケースもあるはずだが、家族は似た考え、姿勢を持つことが多いのだろう。一緒にいる時間の長さや、遺伝の性格が関係しているのだろう。
これは、原始時代からずっとそうなのかもしれない。家族はチームとしてあって、似た方針を持つ。もしもそれらが違ってしまうと、方針があっちこっちにいってしまって、結局何を成し遂げたいのかよくわからなくなるし、何か問題が起こった時にバラバラになって解決できなくなってしまう。だから、基本的な方針は同じになるように調整されているのかもしれない。
 
34歳になり、人生を送っていくときに、自分一人では乗り越えられないと感じるような問題がたまに起きる。そう考えると、家族はそういう場合に人生を乗り越えるための自分にとってのまず最初のチームの存在のように感じる。一人で対処するより、似た傾向を持った複数で、自分たちにあった解決策を生み出すことができるような感覚がある。
そして、家族がチームというと、全員が暖かく、優しいようなイメージを持ちがちだが、人生を乗り越えるときに必ずしもそれらが必要なわけではないはずだ。たとえばうちのように、全員がなんとなくさっぱりと冷たく、そんなにお互いを気にしていないパターンもある。それは、だれか一人が精神的につぶれたときに、世話をしなきゃと重圧を感じたりせず、それぞれの人生を楽しく生きる、というようなやり方なのかもしれない。もちろん途中で別れていく家族もあるし、それはそれでそのようなチームの方針なわけで、無理に家族に縛られない方が生きやすい人々だったのかもしれない。仲がいい会社が必ず成功するわけでもないように、家族は家族でそれぞれの人生を乗り越えるために様々な方針を持つチームがあるのだろう。
 
家族の性質によった、人生の戦略があると思うと、家族がまた違う形に見えてきて面白い。サッカーや野球、会社、プロジェクトチームにそれぞれ様々な個性があるように、明るい家族、暗い家族、どんな家族にも戦い方の個性があるはずだ。
もちろん個人で人生を乗り切っていく力を身に着けることも大切だと日々感じるが、ふと一番身近にいる家族と自分の似ている性質を照らし合わせると、今回の人生で自分にとって一番生存確率が高い戦略が見えてくるのかもしれない。
私自身もおそらく人に深入りしようとすると、慣れておらず失敗してしまうので、仕事でもプライベートでも、少し個人を少し切り離して、客観的に考えた方がうまくいくことが多いかもしれない。家族とはどういうものなのか、普段あまり考えたことがなかったが、改めて考えることができたお正月だった。
 
 
 
 
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2020-01-17 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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