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“ゆず”っぽいんです。なぜか最近。

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*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:山本卓(ライティングゼミ平日コース)
 
「え?こんな使い方もあるのね?」
毎日が発見の日々。ジャムにしたり、おでんの調味料にしたり、ドレッシングにしたりはたまたトリートメントにしたりと。
その使い方は様々。まさになんにでもなれる万能細胞IPSのようです。可能性は無限大なのです。
 
佐賀の山に住み始めて4か月。毎日同じ家に帰り寝泊まりしている我が家。それにも関わらず気づかなかった。一本の木。
黄色い柑橘系の実がなっているのを気づいたのは、ほんの最近のことだった。
「ミカンでもなく、レモンでもない。これは一体なんだ?」木を見つめながら考えていると現れた一人の近所のおじさん。
「それは、ゆずじゃね」
話を聞くと佐賀の山で暮らす人の家の庭先には必ずと言っていいほど柚子の木が植えられているという。
大阪出身で東京生活をしていた僕にはゆずの木は身近な存在ではなかった。
中学生の頃、『夏色』の曲で、メジャーデビューしたアコースティックディオ“ゆず”は身近な存在だった。
毎日のようにラジカセにCDを入れ聞いていたし、その頃のカセットテープにはゆずメドレーを録音していた。
自転車を漕ぎながら坂道を上り、頂上についた時点で『夏色』を流す。一気にくだりながら口ずさんでいたほどだ。
昔から柑橘系のゆずに関しては身近になかったのだ。ゆずって特に興味がない。
話を聞いて思うことは「へぇーこれがゆずの木なんだ……」と思うのみ。
これが、ぼくとゆずとの最初で出会いだった。
 
ある日、地元の自治会に参加した時のこと。年末ということもあって、机の上には鉢盛や、おでんなど豪華な食事が用意されていた。
日本酒を飲むおじさんたちの中に僕はいた。「おでんにはコレば入れんね」とド緑色の調味料を僕のおでんに入れてきた。
「やめてくださいよ。また僕にこんなことをして」昔わさびを抹茶アイスだといわれ無理やり食べさせられたことがあって、自分ではない誰かが入れるものには少し抵抗があった。
「これはゆず胡椒たい。おでんにはこれを入れなきゃ始まらんとよ。いいから食ってみ」おじさんはべろべろに酔いながら僕にこう言った。
なんとも気が乗らない僕ではあったが、地元のおじさんが進めてくれたものに手を付けないとなると、今後の佐賀生活にも支障が出てしまうのではないか? とここは食べるべきだろうと腹を決めた。
恐る恐るおでんを汁を啜る。衝撃的だった。少し辛くピリピリとするも口の中いっぱいにゆずのいい香りが広がる。おでんがまた新たな料理に変化した感じがした。
ちょい足し食材NO,1ではないだろうか?今まではマヨネーズさえ入れておけば100点なところがあった僕には衝撃的な順位変動だ。
「まだまだゆず胡椒には使い方があって、おれは味噌汁に入れるのが一番だと思うな。最高だよ」おじさんはそう言って深い眠りにつきました。飲みすぎ注意です。
 
ゆず胡椒って九州では一般的な調味料だそうだ。いろんな料理にある名バイプレイヤーだ! 調味料界のムロツヨシだ!
この時僕はゆず胡椒の魅力に取り付かれ、こう思うようになった。
「自分も、ゆず胡椒を作ってみたい」と。
 
ゆず胡椒つくりのワークショップにも行った。事前の準備は万端。今日こそ自宅産“ゆず胡椒”つくりをするんだ!
決意のもとに自宅のゆずと対面をした。前見たゆずの木と違い、「おれがゆずの木だ」と自慢げな姿に見えた。
収穫には注意点がある。ゆずとバラは一緒だということ。やたらトゲが多い。鋭いトゲは実を守るように針山のようにびっしりと。
その果実を取るために素手でひとつひとつ収穫していかなくてはならない。果実に手を伸ばすとトゲにあたる。痛くて怯む、しかし目の前には果実があるのだ。
腹を決め、手を伸ばす、トゲを避けながら果実に手が届く。「よし、いける」
しかし、油断禁物。もぎった直後にトゲの攻撃にあう。
これの繰り返しで、やっとの思いで10個ほど、ようやく収穫終了。
ゆず胡椒つくりはそんなに難しくはない。皮をすりおろし、塩と唐辛子と混ぜるだけ。
「じゃ、あと実の部分はどうするの?」
 
ゆずの可能性ってそれだけではないということを前段でお伝えしました。
種はアルコール度数の高い酒に漬け込みトリートメントに。ゆず汁はドレッシングに。あとは皆さんをご存じかと思う丸々使うゆず湯にという手もありますよね。
ここ数日も「ゆずジャム作ったから食べない?」「ゆず茶飲む?」なんて毎日ゆずを聞かない日はないぐらい。中学生の頃にハマっていた“ゆず”以上に聴いているんじゃないかと思う。
ゆずって一体なんだろう?これはゆずに限らず云えることなのだと思うが、物事を知らないだけで、すべての個にはいくつもの可能性がある。ゆずから人生を学んだ気がします。
僕にも無限の可能性が秘められている。
ゆっくり、ゆっくり走っていく。自分の人生の可能性を広げていくために。
 
 
 
 
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2020-01-24 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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