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『人生変わった』という言葉に踊らされてみた。

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*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:ハンプティ (ライティングゼミ・日曜コース)
 
 
突然だが、
私は、「〇〇で人生変わった!」というような話が大好きだ。
 
皆さんは、どうだろう。
 
「あやしい」「嘘くさい」と思って、その手の話を全く信用しない人もいるかもしれない。
 
しかし、私は自信がないせいか、「〇〇のおかげで、人生変わった」という話に弱い。
 
それをすれば、自分も変わることができるかもしれないという、ワクワク感がたまらないのだ。
 
「そんな簡単に人生変わるわけない」ということは、十分わかっている。
 
が、それでも、つい期待しちゃう自分がいるのも、また事実。
 
「何事も、簡単にうまくいく訳ないから、人生大逆転系の話には十分気を付けないといけない。うまい話に踊らされてはならない」
そう常々言い聞かせている。
 
だが、今回は、「〇〇で人生変わるよ!」という話に、まんまと踊らされた話をしようと思う。
 
「料理教室に通うと人生変わるよ!私はこの料理教室に入って、就職も決まったし、彼氏と今度結婚することになったよ!」
 
「そんなバカな」と心の中で私は嘲笑っていた。
 
その話には乗らないぞ、と。
 
友達に連れられてきた料理教室で、私は勧誘を受けた。
 
そのとき私は、料理教室になど全く入る気はなく、友達から誘われたときも、
「料理なんてわざわざ習わなくてもいいでしょ。お金の無駄じゃん」と思っていた。
 
しかし、「人生が変わった」というワードには、惹かれた。
 
少し興味をもって、先生の話を聞いてみた。
 
「大学4年生だったとき、この料理教室に通ってたんだけど、就職が決まらなくて……。そのときに、この料理教室の先生になればいいじゃんっ言ってくれた人がいて、採用試験を受けたら、受かったんだ!彼氏にもこの教室で習った料理を作ってあげたら、すごく喜んでくれて、この前その彼氏からプロポーズを受けたんだ!男の人は胃袋でつかめっていうけど、本当だよ!」
 
勧誘のために、多少大げさに言っているのかもしれないが、どうやら本当の話のようだった。
 
なんというサクセスストーリーだろうか。
 
「料理教室に通ったからと言って、この人みたいにうまくいく訳ない!」とわかってはいる。
 
が、大学4年生で、彼氏と別れたばかりであった、当時の私には、この話は相当の破壊力をもっていた。
 
気が付けば、料理とは全然関係ない、現在の就活状況報告と恋愛相談を2時間もしていた。
 
全く迷惑な客である。
 
先生のように、料理教室に通ったら、すべてがうまくいくと信じた訳ではなかったけど、私の長時間にわたる長話を聞いてくれた先生の優しさに惹かれたのと、その教室で行った料理とパンつくりが面白かったこともあり、私は料理教室に入会してしまった。
 
さて、その料理教室に通うこと、はや4年。
人生は変わったのか。
 
結論からいうと、そんなに変わっていない。
 
仕事もしているけど、料理とは全く関係ない会社だし、料理教室での経験が生かされたとも思わない。
彼氏もできたけど、彼氏の前で手料理作ったのなんて、3~4回くらいだ。
料理が上手になったから、彼氏ができた訳じゃなく、たまたまできたのだ。
 
就職も彼氏も、料理の上手さは全然関係ない。
 
料理教室で習ったレシピも、家ではそんなに作らない。
 
なぜなら、料理教室の料理は、材料も多く、時間もかかるし、作業工程が多い。
 
しかし、家では、材料も少なく、時間もかからず、炒めたり、煮たりするだけの作業工程が少ないものを作りたくなる。
 
料理教室のレシピより、クックパッドのレシピの方が、食卓への登場回数は圧倒的に多い。
 
約4年、私は料理教室に通ってきた。
 
人生大逆転するほど自分が変わった訳でもない。料理がすごく上手になったわけでもない。
 
だけど、私は料理教室に通って、本当によかったと思っている。
 
その理由は、料理をすることが、前より好きになったからだ。
 
基本的に私は、めんどくさがりでおおざっぱだから、冷凍食品やカップラーメンで夕食を済ませ、料理をしないことがしょっちゅうあった。
 
だけど、料理教室に通って、材料も多く、時間もかかる、作業工程の多い料理を作ったことで、料理に対するハードルが下がったのだ。
 
「今日はハンバーグとニンジングラッセとスープを作る元気はないけど、野菜と肉を炒めるだけだったらできるな」という風に、難しい工程を経たからこそ、それより簡単なことを、簡単と思えるようになったのだ。
 
それと、料理教室で先生や他の生徒さんとおしゃべりしながら、料理を作る時間は、単純に楽しい。
今までは、料理を作るための作業でしかなかった、野菜を切る、鍋をかき回す、生地をこねる……といった作業自体が楽しくなったのだ。
 
これは自分でも大きな発見だった。
 
なぜこの作業が楽しいと思えるようになったのかは自分でもよくわからない。
 
が、料理教室に通う日々が、この楽しさに気づかせてくれたことは間違いない。
 
「人生が変わる」
 
この言葉は、よく誇張表現に使われていると思う。
勧誘のためだったり、モノを買わせるためだったり、用途は色々だ。
 
だから、この言葉を聞くと、人は疑心暗鬼になることもあるかもしれない。
「そんなに簡単に人生変わるわけないだろ」と。
 
でも、この言葉の裏側には、人生を変える要素をもつ素敵なことを教えてくれる言葉でもあると思う。
 
料理教室の先生から「人生が変わる」話を聞いて、その言葉に踊らされて今の私がある。
 
踊らされて、よかった。
 
大変身はできてないし、人生大逆転もしてないけど、料理を始めたことで、人生が少し楽しくなったから。
 
もし、あなたが「人生が変わる」と謳い文句がついているものに、少しでも惹かれるものがあるならば、一度その言葉に踊らされてみてもいいと思う。
 
それは案外、人生を楽しくするダンスになるかもしれない。
 
 
 
 
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2020-01-24 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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