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メディアグランプリ

5年ぶりに娘の部屋に入れてもらえたパパのお話


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:ひとのわ(ライティング・ゼミ特講)
 
 
「高校生の娘が、部屋に入れてくれたんです!」
 
ある企業さまで開催した幹部向けのコーチング研修の2日めの朝、
私の到着を待ち構えていた男性が、
駆け寄るように報告してくださいました。
 
「またスマホばっかり見て」
いつものように文句を言いたいところをぐっと我慢して、
「楽しそうだな。そんなに面白いのか?」と問いかけてみたところ、
ミニドラマが毎晩9時に動画配信されること、
早く続きが見たくて毎日楽しみにしていること、
原作本をお小遣いで買っていること、など、
いつになく、うれしそうにたくさん話してくれたそうです。
 
「本もあるのか?」
「あるよ。パパ、見に来る?」と、お部屋に招かれました。
 
「いやぁ、年をとってからできた子でしょ。
友達のお父さんより老けてるし、禿げてるからかっこ悪いって、
ずいぶん嫌われててね。
話しかけても返事もしてくれないんですよ。
それがねぇ、
小学校以来かなぁ、5年ぶりぐらいですよ。部屋に入れてもらったの」
 
目尻が下がったまろやかな笑顔で、なめらかにお話が続きます。
 
やや強面のお顔立ちの方で、
自分にも部下にも厳しいお仕事ぶりで、
初日は、研修なんてめんどくさいなぁと言いたそうな面持ちで、
一番後ろの席に陣取っていらっしゃいました。
それが、翌日は30分以上早く来られ、最前列に座られています。
 
本当に昨日と同じ人ですか? と言いたくなるほどの変化に、
他の幹部のみなさまも興味津々で彼を取り囲み、
ヒーローインタビューさながらに、質問が止まりません。
 
「コーチングって、魔法ですねぇ。
先生は魔術師ですか?」
 
いえいえ、魔法を起こしたのは、あなたです。
実際に行動を起こした、あなた自身の力です。
 
講師の私は、コーチングのスキルを職場や家庭で使えるように、
人との信頼関係を構築するための話の聴き方をお伝えし、
身につけられるように演習をしていただいた後、
「身近な部下やご家族の方のお話を、好奇心を全開にして、
丁寧に最後まで聴いてきてください」
と宿題を出しただけなのですから。
 
相手のお顔を見て、丁寧にうなずいてあいづちを打って、
最後まで遮らずに聴いてほしいとお願いすると、
「そんなことをしたら、
いつまでもしゃべり続けて止まらなくなりませんか?」
と心配される方が後を絶ちません。
「しっかり聴いてもらえたら満足して、
短時間でお話がまとまりますよ」と説明しても、
なかなか信じてもらえません。
 
そんなとき、私はよく、
時々お世話になっている皮膚科のお医者さまを引き合いに出します。
診察室のドアを開けた瞬間に立ち上がって迎えてくださって、
「ちょっと見せてくださいね。
あぁ、本当ですね。ここ、赤くなってますね。
かゆいですよね。
2-3日我慢されてたんですか?
つらかったですね」と
一言二言説明した症状を丸ごと受け止めてくださいます。
「はい。はい。そうなんです。はい」
私は返事をするだけで、それ以上何も言う必要がありません。
診察はわずか1-2分で終了します。
「お薬は3日分出しますけどね、
症状がおさまらなかったら、3日も待たなくていいですよ。
我慢せずに、明日でも来てもらっていいですからね」
とまで言ってくださるので、
安心感に包まれて帰ることができます。
 
他の多くの病院では、症状を説明し終えないうちから、
「風邪ですね。お薬出しますから」と結論づけようとされるので、
「でも、いつもより痛みが強いんです」
「でも……」「でも……」と
何度も繰り返したくなって、会話が長引きます。
 
私が実家の母に電話するときは、
短く切り上げたいからこそ、聴き役に徹するように努めます。
とりとめのない近況や愚痴を、
「そうなの?」「へぇ」「大変だったね」と受け止めて聴いていると、
母は突然、「あ、忙しいよね」と機嫌のいい声で話を終わらせます。
 
晩年認知症だった父も、ほとんど会話が成立しなくなってからも、
「そうね」「そうだったね」と穏やかに聴いていると、
拒んでいたお薬を自分から飲んだり、着替えたりしてくれることが
よくありました。
 
相手が話してくれないのは、どうせ聴いてもらえないと思うから。
相手が何度も同じことを話すのは、ちゃんと聴いてもらえないから。
 
うなずき、あいづち、繰り返し。
 
一生懸命聴くことで、
安心できる職場や家庭が増えると、私は信じています。
 
「高校生の娘が、部屋に入れてくれたんです!」のお父さんは
研修などでこのお話をすることを許可してくださったので、
幸せな上司や職場、ご家族が増えるように願いを込めて、
経営幹部や管理職向けの研修にこの事例を引っ提げて、
あちこちの企業さまで登壇しようと思います。
 
 
 
 
***
 
この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加いただいたお客様に書いていただいております。 「ライティング・ゼミ」のメンバーになり直近のイベントに参加していただけると、記事を寄稿していただき、WEB天狼院編集部のOKが出ればWEB天狼院の記事として掲載することができます。
 

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2020-01-31 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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