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YouTubeで昔の自分にタイムスリップ


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:カネマルチホ(ライティング・ゼミ平日コース)
 
「そういえば、ハッピーが閉店するのよ!」
お正月、久しぶりに実家に帰った時に母が言っていた。
 
ハッピーとは私の生まれ育った故郷の小さいショッピングセンターのことである。3階建てで、1階は食料品やフードコート、2階が衣料品とインテリア、3階がおもちゃ屋・文具屋・ゲームコーナーだった。
小学生になるまでは歩いて5分くらいのアパートに住んでいたので、しょっちゅうハッピーに買い物に行っていたが、新しい家に引越してからは車で10分くらいの距離になったので、普段の買い物は家から近いスーパーで事足りていたし、しばらくしたらもう少し離れた場所に大きなイオンショッピングセンターもできたから、小規模ショッピングセンターのハッピーにはよほどのことがなければ行かなかった。
私は県外の大学に進学してからもう10年以上もハッピーに行っていないし、母も今の生活圏からは少し離れているハッピーが閉店しても特に困ることもなさそうだった。
 
だから、お正月に母からハッピーの閉店の話を聞いても
「へ〜、そうなんだ〜」
ぐらいのリアクションでしかなかった。
 
それなのに、先週のある出来事をきっかけに私の中でのハッピーの印象が大きく覆ったのだ。
 
何気なくfacebookを開いたら、同郷の知人が
『なんと! ハッピーが閉店するらしい。懐かしいハッピーの曲見つけた〜』とYouTubeの動画をシェアしていた。
「そういえば母さんもハッピーが閉店するって言ってたっけな〜」
と思いつつ、
「え? ハッピーの曲なんてあったっけ? どんな曲だ?」
と半信半疑で動画を開いて、音楽が流れた瞬間、私は鳥肌が立った。
 
知っている。覚えている。
この歌詞もちゃんと分かる。
……私は震えていた。
 
YouTubeでハッピーの曲を聞きながら、昔の自分にタイムスリップしたような感覚になった。
 
頭の中で私はハッピーの入り口に立っていた。
正面にはお茶屋さんがあり、右側にはパン屋と食料品売り場、左奥にはフードコートがある。真ん中のエスカレーターを登ると服屋があり、下着売場の前を通りすぎる時はちょっと恥ずかしい。3階まで登ると大好きなおもちゃ屋と文房具屋があり、奥のゲームコーナーではついつい遊んでしまう。
その情景がまざまざと思い出されたのだ。
 
ハッピーの曲が私に、ハッピーでの記憶を蘇らせてきたのだ。
 
気づいたら、私は泣いていた。
この前までハッピーが閉店することに対して、なんとも思っていなかったはずなのに。
なんだか急に寂しくなったのだ。
 
クリスマス前に毎年母に連れられて、サンタさんにお願いするおもちゃはどれにするか、3階のおもちゃ屋さんで選んでいた。
遠足のおやつを買いに友達と一緒に、近所のスーパーじゃなくてわざわざ自転車に乗ってハッピーまで行った。
交換ノートが流行ってグループのみんなで文具屋に選びに行ったし、ゲームコーナーで何度かプリクラも撮った。
修学旅行に持っていくために、海外旅行用の大きなスーツケースを購入した。
 
こうしてハッピーでの出来事がどんどん溢れるように思い出されていく。
その時の様子がしっかり目の前に現れていたし、その時の気持ちや感情までもが私の心の中に蘇っていた。
 
私がまだ幼稚園生の頃。弟を出産したばかりの母を手伝うため、山に囲まれた田舎に住む祖母がしばらくこちらに滞在していた。
ある日私は祖母と2人、フードコートで食事をすることになった。その時、順番待ちの番号札をもらった。
「●番でお待ちの方〜!」
と声がかかるが、勝手の分からない祖母は座ったままだった。
すると私が
「ほら、おばあちゃん! ●番、呼ばれたよ!!」
と教えたらしい。
“らしい”と言うのは、正直、私はその事をよく覚えていないからだ。
でもこのエピソードはもう何回、いや何十回も祖母や両親、親戚から聞かされている。
ハッピーの曲を聞きながら、そんなエピソードのことも思い出していた。
90才を超え施設に入居している祖母は少しボケが始まっており、もう1人では歩くこともできない。そんな祖母と私と、2人きりで食事をしたこともあったんだな、なんて考えていたら、もう私の涙は止まらなかった。
今度、祖母の施設に遊びに行ったらこのハッピーの曲を聞かせてあげよう。
祖母は覚えているだろうか、このハッピーの曲を。
 
今の時代の進化は本当にすごい。
『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のデロリアンや『ドラえもん』のタイムマシンが無くとも、手の平のスマホ1台で簡単に過去にタイムスリップすることができるのだから。
音楽と記憶の結びつきは強いと改めて感じた。
 
もしあなたが昔の自分にタイムスリップしたくなったら、その頃聞いていた曲や地元のお店の名前をYouTubeで検索して聞いてみるといい。
きっと懐かしい曲に出会えるはず。
そして、もしタイムスリップできたなら、その曲はぜひfacebookでシェアしてみてほしい。
私が今回偶然facbookのシェアから体験したように、他の誰かも同じくあなたのシェアでタイムスリップできるかもしれないから。
 
※(注)ハッピーは仮名であり、該当するショッピングセンターの正式名称ではありません。
 
 
 
 
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2020-02-07 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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