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メディアグランプリ

見逃すな、必ず仕留めよ


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:いしはら(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
ゴキブリを見つけたとき、あなたはどうしますか?
 
人によって反応が違うから面白いですよね。驚きと恐怖で固まってしまう人、叫んで逃げ出す人、とりあえず誰かを呼ぶ人。人の数だけ、ゴキブリと遭遇した時のリアクションがあります。
 
私はというと叫びながら動けなくなるタイプで、ゴキブリの姿が見えなくなってから後ずさりをして逃げ出してしまうようなチキンハートっぷり。そんな私に、母はこう教えました。
 
「見逃すな、必ず仕留めよ」と。
 
いわく、ゴキブリの繁殖力はすさまじいものがあり、一度逃そうもんならものすごい数に増えてしまう。その方がよっぽど恐ろしいことでしょう、とのことでした。
 
ああ確かにな、と納得した私は、それ以来どれだけ怖くても見逃さないようにし、戦う道を選ぶようになりました。ゴキブリと遭遇するのは数年に一度しかありませんが、その数回は完勝しています。
 
見逃してしまうと、後が怖い。
 
これは何もゴキブリだけの話ではありません。たとえば、自分の中にふと湧き出た違和感とか、疑問とか。こういうのを見て見ぬフリしてしまうと、失敗や後悔につながることがあります。
 
販売の仕事をしていた時の話です。チームのメンバーから、お取り寄せの品物がお客さまとお約束した納期のギリギリで入荷するかもしれないとの報告を受けました。経緯を聞いたとき、取り寄せる段取りで一ヶ所引っかかりを感じたのですが「そういうものかな」と放っておいてしまったのです。結果、そこの部分でズレが出てしまい、お客さまにご迷惑をかけてしまいました。
 
もしあの時、きちんと質問していたら。「そこどうなの?」って聞けていたら、細かく確認し直してミスが判明していたかもしれません。
 
友人と旅行に出かけたときもそう。お昼ごはんのタイミングで意見が合わなかったときに、相手が無理をして合わせてくれた感じがどことなくあって。口では大丈夫と言っているから甘えてしまったものの、その後も同じようなことが続き、旅行から戻った後はなんだか疎遠になってしまいました。
 
もしあの時、しっかり話を聞けていたら。「無理しなくて大丈夫だよ」とか、何でもいいから一言かけられていたら、もっと良い道を選べたのかもしれません。
 
頭の中をサッと駆け抜けていった黒い影は、次に出会う時、太刀打ちするには大変な黒い塊となって返ってきます。絶対に帰ってきます。私はそれを分かっているのに、何度も同じ誤ちを繰り返してしまいました。しんどい思いをしながら対処したこともあれば、もはや逃げるしか手がない場合もありました。いずれにせよ、後々大きな罪悪感にかられてしまうのです。本当に、懲りないなあ。
 
でも最近わかったことがあります。ゴキブリにはゴキジェットが効くように、違和感には「言葉」です。
どうやら、黒い影が見えたときには何らかの言葉を残しておくと正体を見逃さずに把握できるのです。正体さえわかれば対策が見え、結果として失敗を未然に防げます。何も最初から「その話はこういう点で違和感を覚える」というようなクリアな説明ができる必要はありません。「ちょっと待って、それってどういうこと?」、そんなかんたんな一言でも良いのです。黒い影が見えたことを認めて伝えるだけでも、その後の話の流れが大きく変わってきます。
 
副業で新しい仕事を受注しようとしていたときのことです。先方と電話で話していたのですが、初っ端からどうも違和感がありました。今までの私なら、初めて話す人だし仕方がない、こういうものだろうと流してしまっていたはずです。でも、まずはとりあえず違和感を「違和感がある」と心の中で言葉にして認めてみました。
 
すると、話の最後の方で軽く触れられた条件面の中に、受注側が不利になるような内容が盛り込まれていて、それに気付くことができました。私の勘違いかもしれない、そう思い質問をしてみましたが良い回答は得られず。結局その仕事は無かったことにさせていただきました。
違和感を見逃さないこと。言葉にすること、伝えること。なかなか頭と気を使いますが、後で大変な思いをしないために重要なプロセスなのです。
 
「使ったら、その手で戻すんやで」
 
私の祖母がよく言っていることです。爪切りとか、ハサミとか、何か棚から取り出して使ったら、使い終わったその手で戻すよう口うるさく言われていました。出したままその辺の机に置いたりしてしまうと散らかるから片付けの量が増えるし、また使いたいときに行方不明になってまうんやで、と。
 
これも結局同じことですよね。その場その場で対処しないと、後から対応するのは骨が折れるということです。後から違和感を言葉にしようとしても、もうどこかにいってしまっていて、思い出せないものです。
 
ということで最近はどんどん言葉にしていく意識をしているのですが、まだまだペースが遅く、結局流してしまっている黒い影がたくさんある気がします。でも、それでもまだ前に比べたらマシになっているはずです。
 
見逃すな、必ず仕留めよ。
 
ゴキブリ退治のように一筋縄ではいきませんが、引き続き力を付けるべく、言葉の修行に励んでまいります。
 
 
 
 
***
 
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2020-02-14 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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