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魂の解放された日

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*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:渡邊 眞也(スピード・ライティングゼミ)
 
 
その日、魂が開放された。
 
冗談とか比喩じゃなく、そう思った。あがり症を克服する講座、というのを見つけて1日受講した、2018年9月15日の事だった。
 
「ここでは、参加者全員があがり症です。だから、今日は目一杯あがってください」そう言ってくれた講師の言葉がひどく優しく響いた。
 
あがり症については、ほぼ30年悩んできた。
 
中学3年生の時に壇上に上がって、一言も喋れなかった。言葉にならない音だけを発して、泣きながら袖に逃げた。自分があがり症だと気付いた。
 
自分で自分に負け犬の烙印を押した。
誰かに勝とうとか、という気概を失った。
「だって仕方ないじゃないか」という言い訳を手に入れてしまったのだ。
 
その後の学生生活は暗黒時代となった。まず目立ちたくない、というのがアタマにあった。だから、学校の大きなイベントには、理由をつけてサボった。特に、運動音痴だから恥をかきたくない、と高校に入ってからの体育祭は3年間サボり続けた。
 
「人は集団に帰属したいというのは、3大欲求の一つです」と心理学の講座で習ったことがある。食欲、性欲、睡眠欲だと思っていたが、睡眠欲は本能であって、欲求ではない。
 
武器を持たないと生物として弱いヒトは、群れをなさないと食事にありつけない。群れをなしているとパートナーを見つけやすい。だから、集団に帰属したいというのは非常に強い欲求という。
 
集団に中に入りたい、でも、目立ちたくない。見られたくない。当然、付き合いが悪いから、集団には入れてもらえなくなる。葛藤の中でただストレスを溜めていった。
 
自分が、社会人になってから、日本酒に出会って、勉強したのも、ある意味必然だったのかも知れない。
最初の自己紹介さえ、何とかやり過ごしてしまえば、あとは酔って、大勢の中にいるのに緊張や怖さが薄れるからだ。もちろん好きで飲んでいた。それが1番の理由だけれど、何とか人の輪に入りたいという気持ちもあった。
 
飲み会に参加さえしていれば、孤独を感じずに済む。その飲み会が日本酒を飲むことがメインの会であれば、日本酒が好きだから参加しているんだ、と自分に言えた。寂しさを満たす、方法を得たのかも知れない。
 
そのうち参加しているだけだと、回数が物足りなくなる。
「そうだ! 自分で日本酒会を開けば、楽しく過ごせる機会も増やせる!」
美味しい日本酒をみんなで楽しもう、というのは建前ではなく、間違いなく一つの本音だった。
 
本音が一つとは限らない。裏の本音としては、集団の中心にありたかった。そして、「こんな会を開いてくれてありがとう!」という言葉がほしかった。自己評価の低い自分には、決して自分にあげることのできない、承認欲求を満たせたのだ。
 
並行して、あがり症への抵抗は続けていた。話し方教室に通ってみたりもした。なんで緊張するのだろう、と知るためにカウンセリング講座に通い、心理学の基本を学んだこともあった。
 
話し方教室は、あがり症の方向けの教室ではなかった。最初から出来る営業マンの方、優秀な学生が、より上手くプレゼンをするための教室だった。
 
得られたのは劣等感と納得感。
 
納得感は、やっぱり俺駄目だから挑戦しちゃいけないんだ、というマイナスの納得感だ。挑戦しない言い訳の称号を増やした。
 
心理学講座では、あがりのメカニズム的なことは学べた。だけどあがり症克服を目的にした講座ではなかった。「じゃあどうすればいいの?」というHowの点はサラッとしか分からず、実践にはつながらなかった。
 
だから、あがり症克服の専門の講座では、光を得た。
「あがってもいいんです」という言葉は、自分への福音となった。
 
正直、もっと早く講座のことを知っていれば楽に生きられたのに、と思った事もあった。でも、以前の自分には積極的に克服してやろう、という意思がなかった。たぶん、知っていても、何らかの「通わなくていい正当な理由」をいくらでもこじつけたことだろう。
 
だから、2018年9月15日、というタイミングでよかったのだ。そのタイミングで受講したからこそ、今の仲間も出来た。
 
翌年の3月、他の5人の方と一緒にあがり症の講座のインストラクター養成講座で知り合ったのだ。一生付き合える同期が出来た。年齢、性別、住んでいるところも異なる同期とたまにLINEで情報のやり取りをしている。中には月に1度一緒に講座のアシスタントをしている仲間もいる。
 
魂の解放された日から、違う欲が出来た。
前々から、「日本酒について教えてほしい」と言われていたのに、あがり症を理由に断ってきた。ようやく純粋に日本酒について伝えていく、そしてそれを仕事としてやっていく、という事に取り組めるチャンスを得られた。
 
今までは自分が最大の敵だった。自分の可能性を「お前はどうせ駄目なんだ」と潰してきた。今、自分を「最後の友」、「最高のカウンセラー」として迎え入れることが出来るようになった。
 
これからは好きな自分を表現していける、人生の第二章がスタートした。
 
 
 
 
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2020-02-14 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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