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「異次元」といわれた汚部屋に住んでいた私が断捨離を成功させた理由


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:吉池優海(ライティング・ゼミ 日曜コース)
 
 
「こんな部屋住めないんだけど。有り得ない」
「汚いのは知ってたし私も部屋汚いけどちょっと予想以上だった」
「異次元過ぎて最早すごい。今までの彼氏なにもいわなかったの?」
 
これはすべて私の部屋に向けられた感想だ。
この3月に実家に戻ることになり、3年住んだ1Kの部屋をはじめて客観的に見て唖然とした。
 
「物が……多すぎる……」
 
絶望感しかなかった。誇張もなにもしていない。目の前に広がる自分のものと、そこに紛れて我が物顔で鎮座する細々としたゴミなのかとっておくものなのかそれすら判別ができない「なにか」たち。判別ができない時点でそれはゴミだと今なら言えるのだが、溜め込み性の私は捨てていいものかどうかもすぐには判別できないほど判断力が鈍っていた。
刻々と過ぎる時間に日々焦りながら、そもそも何からしたらいいかもわからずナマケモノが気まぐれに毛繕いをするような頻度でちょこちょこ明らかにゴミとわかるものを捨てて「ちょっと掃除した気」になっていた。
掃除なんかじゃどうにもできない状況から完全に目を背けていた。
 
―持ち物は「家賃が高くつく同居人」。
 
いよいよ3月に入り、これはやばいぞとナマケモノなりに焦り始めていたとき、ふと入った書店で1冊の本を見かけた。本の帯に書かれている大きなフォントの方ではなく、そのしたに書かれている小さめのフォントに目を奪われた。
家賃が高くつく同居人……、あれ?なんかそんなのいたな。私に「今日の昼飯代ないから1000円貸して」って何度も言ってきた男が。
私の部屋に一時期住んでいた元カレがそんな人間だった。部屋に転がりこんできて知らない間に荷物を持ち込まれ、日用品も私のものを当たり前のように使っていた。
 
「捨てる贅沢 -モノを減らすと、心はもっと豊かになる」
 
題名が衝撃だった。捨てることが贅沢? そんなバカな。
実家近くでの用事までの間の暇潰しにふらっと立ち寄っただけで本を買うつもりはなかったのだが、目次を目にしてからはこの本を買わない理由が見つからなかった。
 
ひとたび読み始めてからは戦慄の嵐だった。
会ったこともなく存在すらも知らなかったどこの国の人だかもわからない著者に私の部屋の惨事を見透かされているようだった。
本を読んで羞恥心を覚えたのは初めてだった。
 
実家に帰っていた私は一旦本を読む手を止めて自分の部屋の大量のモノたちと戦うことにした。それはただの戦いではなかった。
 
過去の自分 vs. 未来の自分
 
まさに絶対に負けられない戦いだった。
実家の私の部屋は21平米。使用者がいないはずの21平米の部屋には私の物が所狭しと詰まっていた。そこに今の部屋のとんでもない量のモノたちを入れられるはずがない。
 
私のすべてがそこにはあった。
「あのとき好きだったから」「これは売れるから」と捨てられなかったモノ。洋服、流行っていたアニメのグッズや同人誌、ずっと読んでいた雑誌、中退した専門学校のプリント。高校生の時の引っ越しから一度も開けていない箱もあった。
 
懐かしいモノもたくさんあったが、5秒考えて「これはとっておきたい」と思わなかったモノはゴミ袋にいれた。
繰り返していると徐々に5秒かけていた判断が瞬時にできるようになってきた。
嫌な記憶があるものは問答無用でゴミ袋行き。もう使わない、読まない、着ないモノもゴミ袋行き。思い出のモノたちもだいぶ捨てた。未練を感じながらも使わないと判断したモノには「ありがとう」と声をかけ、時には写真を撮ってゴミ袋にいれる。
途中でキツいなぁと思うこともあった。そういうときは、一気に読みたい気持ちをぐっと堪えて続きをとっておいたあの本を読む。気持ちの波があるのを見越してあえて全部読まなかったのだ。
真夜中に始めた断捨離を終えた頃には、太陽が既に傾いていた。
モノを減らすことに貪欲になった私はまさにハイエナだった。
 
半日に及ぶ戦いの勝者は、圧倒的に未来の自分だった。
「勝った」
強くそう思った。
 
私がゴミと判断した13袋分のゴミは昼飯代をせびってきた元カレそのものだった。
好きでいるうちは客観的に自分を見ることができず友人に「別れなよ」と言われても耳を貸さない。結局その元カレとは金銭絡みで嫌な別れかたをしたのだが、そこまでいかないと自分の状況に気づかない。
元カレとの思い出はたくさんあった。13袋分のゴミにも思い出がたくさんあった。
だが、モノとも人とも別れの時は遅かれ早かれ必ず訪れる。死んでしまったらなにも持っていくことができないし誰もつれていくことができない。
 
実家の部屋の戦いに勝利した私は、友人に手伝ってもらいながら一人暮らしの部屋の戦いにも勝利し8袋のゴミ袋をだした。13袋と比べたら微妙に見えるかもしれないが、3年しか住んでいない部屋から8袋だ。私からすれば胸を張って勝利と言える。
 
「これは売れるから」「またいつか使うかも」「思い出深いものだから」
断捨離にはこんな気持ちが必ずついてくる。それに対する気の持ちようもあの本が教えてくれた。
 
1冊の本が、ナマケモノをハイエナに変えた。
 
私の部屋はまだまだモノが多い。
一人暮らしの部屋から荷物を持ってきた今からが本当の勝負時だと思う。残したモノたちをさらに選別し、自分にとってより良い環境にすることができたときが「本当の勝利」だ。
一度選んだモノをまた選別するのは最初の断捨離より遥かにつらい作業になるだろう。
それでも私は未来の自分に「ツケが回ってきた……」と思わせないために戦いに挑む。
 
元ナマケモノのハイエナはそう簡単にはへこたれない。
 
ナマケモノからハイエナになりたい願望があれば「捨てる贅沢 -モノを減らすと、心はもっと豊かになる」を読むことをおすすめする。
私は退去日まで1ヶ月を切っても片付けに踏み切れなかった筋金入りのナマケモノだったが、この本なら読むだけでハイエナになることができる。
ナマケモノでいることはとても楽だ。本当に楽だが……必ず後悔の時は訪れるということを伝えたい。
 
さぁ、貴方も前向きなハイエナになりませんか。
 
捨てる贅沢 -モノを減らすと、心はもっと豊かになる(ドミニック・ローホー著 原秋子訳 幻冬舎出版)
 
 
 
 
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2020-03-26 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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