メディアグランプリ

今こそ、もう一人の自分に問うてみよう


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

【4月開講】人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ《日曜コース》」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:杉下真絹子(ライテイングゼミ日曜コース)
 
 
「大きくなったら、家庭を持っても仕事をバリバリする」
 
ずっとそう思ってきました。
だって、そんな姿の母を小さい頃からずっと見てきたから。
 
独身時代が長かった私は、それをチャンスと取り、自分がやりたい「国際協力」というキャリアに進むために、アメリカに留学し、卒業後はワシントンDCに本部があるコンサルティング会社で働いた後、アジアやアフリカに渡り、NGOワーカーやコンサルタントとして、国連やJICAなどの地域保健のプロジェクトに携わってきました。
 
だから当然、結婚しても仕事は続けていましたし、ケニアに海外赴任が決まると、ますます責任の大きい仕事を任されるようになり、マネージャーとして日々頭を悩ますことはあったものの、常に困っている人達や貧困層のことを常に考えていたのです。
 
それでも、気が付くと私も30代後半、結婚したら子供が欲しいなぁと自然に思うようなりましたし、年齢的にも子供産めるチャンスはなくなりつつあると思い始めたのです。幸い、結婚後は子供二人を授かることになり、ケニアで仕事をしながらも、子育てが始まりました。
 
長女が生まれたときは、初めての事だらけ。
仕事も忙しかった上に、主人は途中で仕事の拠点がケニアから日本に変わったため、シングルで小さい子供を育てなければならず、最初は不安のほうが大きくて圧倒されたのを覚えています。
 
それでも、アフリカ人の子供に対する愛情と包容力は半端なく大きく、ベビーシッターさんやメイドさんから、多大なるサポートをもらえたおかげで、仕事と子育ての両立がアフリカで可能となりました。それに、意外とアフリカでは、キャリアママが多く、彼女たちは見事に家庭と仕事の顔を巧みに使い分けていて、流石と思うことが多々ありました。
 
日本に帰国後、子供二人の子育てをしながら、海外での仕事を出張ベースで続ける負担が大きくなり、子育てと仕事を続けていくことの二つを天秤にかけた私は、迷いなく今しかできない子育てに優先順位を置きたいと思ったのです。
 
アフリカで、色んなサポーターが周りにいて恵まれた環境にいた私は、日本の子育てしながら仕事をする母親の重圧がきつかったのも一つの理由かもしれません。
 
何度、あの頃(アフリカ時代)の環境が懐かしく思えたか……。
 
同時に、私の中で【母性】が芽生えたのも事実です。
自分の大切な小さな命を守りたい、そんな気持ちかな。
 
だから、出張で海外に行く仕事も徐々に減らし、あえて責任ある仕事を受けず、国内で補佐的な役割の業務を選択するなどして、もっと家族との時間を優先するようになりました。
 
そんな状況も重なって、結局、20年ちかく従事した国際協力の仕事を辞めることになり、個人事業主として、これまでの分野とは違う新たな道を屋久島で切り開いていく予定なのです。
 
そんなとき、天狼院のライターズ倶楽部(本気でプロを目指す人のための上級クラス)で『過去と未来』というテーマで書く課題(5000字)が出され、私は色々考えた末、東日本大震災直後に、私自身南三陸の避難所に入り、緊急医療支援活動の調整をすべく医者や看護師の活動を取りまとめる活動をしたことを題材にして書こうと、昔の資料や自分の記憶を遡り始めたのです。
 
記事を書いていくうちに、あの時の臨場感が浮かび上がってきたと同時に、私が持っていた信念というか情熱がありありと思い出されたのです。
 
震災直後から、巨大津波、続く余震、ライフラインの停止、そして原発のメルトダウン……。
それでも、今こそ、誰かの役に立つことすべきなのでは?
これまでの経験を活かさないで、どうするの?
 
と、もう一人の自分が、(地震の恐怖で)小さく縮こまっている自分に問いかけていたのです。
そして、問いかけた瞬間、もうアクション。
 
「誰かのため、社会で困っている人のために、私は何も惜しまない」という気持ちを強く持ち続け、実践していたあの頃の自分を思い出したのです。
 
実はあの時、1週間前に入籍したばかり。
にも関わらず、主人と私はまだ一緒に住んでいなかったこともあって、何かと独身気分が抜けず、フットワークが結構よかったなぁ、と改めて思うのです。
 
今の自分は?
と問いただしてみると、
どうなのだろう……。
 
まさしく今、世界が新型コロナウイルスの感染拡大で、経済的にも心理的にも戦後最大のクライシスに陥り、日本でも緊急事態宣言が出され、私たちは終息が見えない窮地に立っています。
 
そんな中、私の心は【誰かのために、社会のために】から【我が子供たちを守る】に完全に重きを置いてしまっていることに気が付いたのです。
 
もちろん、9年前震災の時と今を比べると、私のプライベート環境も家族が居て子供中心の生活になり状況がかなり変わったのは事実ですが、今ここでもう一度立ち止まり、もう少し外に目を向け、今の自分にこんな風に問うてみようと思うのです。
 
今のこの状況で、子供たちの身をしっかり守っている?
その上で、他の誰か、社会や世界に対しても、私にできることがある?
 
「なぜ」それをするの?
まさしく、松下幸之助も、この問いを突き詰めることで初めて社会に真の進化と繁栄がもたらされると提案しています。
 
そして、屋久島に移住した今だからこそ、従来の方法で課題解決するのではなく、この大自然の中で自然と共に、新しいアプローチを見つけていきたいと思っています!
 
 
 
 
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2020-04-09 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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