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メディアグランプリ

人生の約半分、「ありがと」を言わずに過ごしてきた私が気付いたこと。


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:岸本くりすてぃーな(ライティング・ゼミ特講)
 
 
「ありがと」
そう。感謝を伝える言葉。
この言葉を発したことのない人はいるだろうか?
回数や多少の言い方は人によって異なるだろうけど、おそらく1度も発したことがない人はいないのではないかと思う。
 
もちろん、私もそのうちの1人だ。
最近の生活を振り返ってみても、いろんな場面で発していた。
スーパーでお会計時の店員さんに
ランチで入った飲食店でオーダーを聞きに来た店員さんに
業務で多忙な中、打合せの時間を作ってくれた職場の上司に
電車を降りるとき、先に通してくれた見ず知らずの人に
他愛もない話を聞いてくれた友達に
 
ざっと思いつくだけでもこれくらい。
 
こうやって文字に起こしてみると改めて気づくのだが、ある人にだけは発したことがないのだ。
「母親」
そう。自分を産んでくれた母親だ。
 
無意識ではなく、意識的になのだ。
正確には、発するタイミングを逃し続けて今に至るといった方が正しいかもしれない。
 
物心ついた幼少期。
私は母親に対して常に反抗していた。(ようだ)
(ようだ)と書いたのは、私自身に楽しい思い出がほとんどなく、はっきりと覚えていないからだ。
きっと昔のことは記憶から消し去ろうとしていたのだと分析している。
反抗といっても、髪の毛を金色にしたり、隠れてタバコを吸ったり、無免許で原付に乗ったり……という反抗ではない 笑
母親が私に対して敷く、人生のレールに対しての反抗だ。
1990年代初め。
その当時、女性は4年制大学を卒業後、大企業に就職して、職場で素敵な男性を見つけて寿退社。
というのが「女の幸せ」だと言われていた。(本当かは分からないが、少なくとも我が家ではそうだった)
そのため、
・幼少期の最大の楽しみである「テレビ」や「少女漫画」とは無縁の生活。(おかげさまで、セーラームーンが何者か知らない 笑)
・テレビのない部屋で毎日勉強の生活。(おかげさまで、勉強しているフリが上手になった 笑)
・日付けが変わってから帰宅することもあった習い事中心の生活。
など、私が1ミリも望んでいないことをさせられていた。(女の幸せを掴むために……)
 
私が「やりたくない! 友達と遊びたい!」とハッキリ言える性格ならまだよかった。
しかし、無駄に自立心が強く、負けず嫌いで、どこか冷めたところを持ち合わせていた私は、いつの頃からか母親の望んでいることに逆らうことで自己表現をしていた。
 
そして、私が起こした最大の反抗が「ひとり暮らし」だった。
 
女性が実家を出るときは結婚するとき。
当時の我が家は、そんな風習が根強く残っていたからだ。
この最大の反抗を水面下で成功させるために、綿密に計画を立てた。短大卒業後、社会人になって毎月もらうお給料を遊びに使うことなく必死に貯めた。もちろん一日でも早く実行するために。
 
颯爽と玄関を出ていく私の背後から、母親はなにか話しかけていた。
しかし、私は振り返ることもせず、そして最後まで聞くこともなく実家をあとにした。
振り返ると、涙がこぼれてしまいそうだったからだ。
あれほど強がっていたが、いざ実家を出るとなると急に寂しさがこみあげてきたことを今でも鮮明に思い出す。
 
母親への反抗と自由ほしさに始めた1人暮らし。
気づけば20年近くもの年月が経つ。
本当にあのとき、あのタイミングで実家を出てよかったと心から思う。
離れて暮らすことによって、多くのことに感謝することができ、昔は決してできなかったような母娘の会話ができるようになったからだ。
 
「めっちゃ厳しくて、自由がなくてオカンのこと嫌いやったんよ……」
 
「気づいてなかったわ……娘の幸せだけを願ってやってたんよ。お母さん、必死やったんよ。自分が大学行きたくても行かれへんくて苦労したから。同じ思いをさせたくなくてね…… ごめんね」
 
母親と同じ苦労をさせまいという、愛情からくる私に対する厳しさだったと知った。
こんな風にお互いの気持ちを分かり合えるようになったことは、私にとってかけがえのないものだった。
しかし、たった1つ。
まだ私は母親に対してできていないことがあるのだ。
「ありがと」を発していないのだ。
 
ひとり暮らしを始めてから、幾度となく感謝することがあった。
何度も何度も喉からでかかったこともある。
「あ、あ……」
「あ、そうそう! この間の……」という具合だ 笑
自分でももどかしいが、昔の反抗していたときの私が見え隠れするのだ。
(こんな無駄なプライド、捨ててしまいたい……)
 
しかし!
ついに!
そんなちっぽけなプライドを捨てる機会がめぐってきたのだ。
 
きっかけは「コロナウィルス」だった。
 
いつ、誰が、どこで感染するが分からない。どこに潜んでいるかも分からない。そして、いつ自分や大切な人に感染するか分からない。会いたくても会えない。明日のことは誰にも想像がつかない、そんな状況。
恐ろしいが、少し視点を変えて考えてみた。
 
今、自分にできること。
そう。
後悔しないように、今こそ母親に「ありがと」を伝える絶好のチャンスではないか!
 
「オカン、ありがと」
「オカン、ありがと」
 
練習してみた。
電話越し、ちゃんと照れずに言えるだろうか。
口に出すと、いろんなことが走馬灯のように思い出されて、パソコンの文字がにじむ。
 
 
 
 
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2020-04-09 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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