手帳の空白が好きな私、楽できることは楽をする
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:渡辺まほ (ライティング・ゼミ平日コース)
ミーアキャットというサバンナに住んでいる動物のことを調べたくて、ネットをザッピングしていたら、
「面接で『自分を動物に例えると?』と聞かれたらどう答える?」
なんて記事を見つけた。
こういうのを見つけてしまうと、気になってしまう。
私ならどう答えるかな?
日なたの猫か? ナマケモノか? オランウータンか?
どれも、のんびりと生きているイメージだ。
それで思い出した。
20年ほど前、自分の就職活動で
「あなたの性格を一言でいうと何ですか?」
と聞かれ、
「怠け者ですかね」
と私は答えたのだ。
面接官は女性だった。怪訝な顔で
「えーっとそれは、どういう意味ですか?」
と問われた。
確かに、就職活動で自分のことを怠け者だなんて言う人は、いないのかもしれない。
「余計なことはやりたくないです。やるべきことがあったときは、自分が怠ける時間を確保するために、それらをいかに効率よくこなすかを考えています」
という趣旨のことを答えた気がする。
その後、どう問われて面接が進んだかはもはや記憶にないが、この面接をした企業に私は入社した。この面接官に興味をもってもらえたのは間違いない。
やらなくていいことはやりたくない。
できればずーっと、ゴロゴロして暮らしたい。
友人に、手帳に予定が入っていない日があるのがイヤだという人がいるが、ちょっと私からすると信じられない。
ビバ、空白だ。予定がないのこそ最高だ。
なぜ、空白が好きになったのか?
生来のものとしては、感受性が豊かではないということがあるかもしれない。
心が動かされることが少ないのだ。
周りの人から「何考えているか分からない」「いつも冷静だよね」などと言われるのはしょっちゅう。
喜怒哀楽はあるけれども、その起伏の振幅が小さいらしい。
心が凪の状態が長いのだ。
やりたいことも少なくて、いろいろなことが面倒に感じるのかもしれない。
環境的な要因としては、母の存在があるだろう。
彼女は団塊の世代の1学年下の生まれ。
同世代が多かったので、ずーっと競争にまみれてきた時代を生きてきた人だ。
そんな彼女が30代で仕事に復帰。私が小学生の頃だった。
しばらくして大病を患った。
当時、結構ハードに仕事をしていて、本人としてはそのストレスから病気になったと思ったようだ。
誰かのために自分の体を酷使して、病気になって死ぬなんて、なんて馬鹿らしいと思ったらしい。経済的にはハードに働く必要がなかったので、病気を克服した後は、自分のために楽しく生きよう!と決心したと言っていた。
だから、『24時間戦えますか?』というキャッチフレーズで栄養ドリンクのCMが流れていた時代にあっても、子どもに「社会のために身を粉にして働け」とか「正義感をもってなすべきことをしろ」とか、そういうことは一切言わなかった。
弟が中学生、私が高校生だったある時。
美術が大の苦手の弟。他の教科は問題なかったが、美術が足を引っ張って志望校の受験には内申点がとれないのではという瀬戸際にあった。
そんな時に出た美術の課題。
「あなたたちね、しなくていい苦労はしなくていいからね。苦手なものまでおしなべて平均点とらなきゃいけないなんておかしなことよ。その美術の宿題、お母さんがやっとくから」
と母が宿題をちゃっちゃと肩代わりし始めた。
「えー、じゃあこの数学の難しい問題、解かなくていい?」
「ダメ、それはしなければいけない苦労。数学はね、頭の中で想像するでしょ? 試行錯誤するでしょ? そういう頭の鍛錬みたいな経験は必要なの。水の通らない水道管は錆びる。簡単な問題ばっかり解いて、使ってない神経回路に電気を通さないと使えなくなるわよ。思考力が進歩しないの。数学はね、役に立たないなんて言う人がいるけど、難問を解くときに使った神経回路が生きていくのに必要になる時がくるのよ」
と言われ、私の数学の問題は肩代わりしてくれなかった。
母は高校の数学教師だったから、なおさらそう感じていたのだろう。
こんな感じで、「人生楽しく生きなきゃ損」と決心した母によって、「しなくていい苦労はするな」という考え方が刷り込まれていった。
一方で、やるべき苦労には頭をつかってとことんやるという習慣が身につけられたように思う。
かくして今、私はどれだけ家事を楽してすませるかに、一番頭を使っている。
レンチン料理バンザイ。機械でできるところは機械で行う。
煮込み料理もタイマー付きガスコンロで60分自動消火。
朝寝したいから夜に洗濯する。
今日は疲れた、お惣菜も買ってきちゃおう。
今はスーパーでいい魚が手に入る。刺し身でいっか。
あと一品は冷凍食品でOK。
もちろん、費用とのバランスも考えねばならない。これは、やるべきことだ。
家計簿をつけて出納管理はきっちり行う。
雑誌で特集されるような丁寧な暮らしからは、ほど遠い、お気楽な暮らしをしている私。
いいのだ、これで。
人生は一回きり。
楽できるところは楽して、余暇をつくる。
時間は皆に平等にしかない。
人生楽しまなきゃ損だ。
***
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