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「頼りがい」のある旦那の背中にはジッパーがついている


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記事:バイアスゆみこ(ライティングゼミ・GW集中コースー)
 
 
「理想の結婚相手は頼りがいのある人です!」
そう答える女性たち。
良く聞くフレーズだが、そういう女性たちは直ちに考えを改めたほうがいい。
 
本物の「頼りがいのある“旦那”」がもし世の中に存在するのなら、彼らから避難を浴びることは承知の上で、わたしはこの持論を唱えている。
さみしい人間だと思われたって構わない。
もし「頼りがいのある“男性”」と結婚できたとしても、“旦那”になって2年も経てば妻たちは「何か違う!」と気がつくのだから。
 
わたしがおすすめするのは、「頼りがいのある“男性”」の対極いる「ポンコツな“男性”」だ。
 
そんなわたしの”旦那”は「ポンコツ」選手権があれば、日本代表に選ばれるレベルともいえよう。
 
わたしが“彼”と出会ったのは約20年前の20歳のころ―
年は一つ上。
5年間付き合って、25歳に結婚した。
どこが好きだったかというと、
・仕事が好きで真剣に打ち込む姿がかっこよかったところ。
・話が面白くて、みかけによらず毒舌だったところ。
・いつもご飯をいっぱい食べるところ。
・お世話をしてあげないと、ちゃんと生きていけるか心配なところ。
 
わたしは、この「お世話をしてあげないと、ちゃんと生きていけるか心配なところ」に母性本能がくすぐられまくり結婚したのだ。
 
例えば、飲み会。
“彼”はお酒がすこぶる弱いものだから、「〇〇ヘベレケで帰れないから、車で迎えに来てやって」と“彼”の同僚からよく電話がかかってきた。
そうかと思えば、一人暮らしなのにまともにごはんが作れないものだから、インスタントラーメンを買いだめしてある。それが底をつくと、次の食事からはご飯にお湯をかけて海苔を浮かべて食べていたりする。
あるいは、頑張ってごはんを作ってみたのだけれど、食材が生煮えで食中毒になり入院したこともある。
そういえば、社会人の野球大会で配られたお弁当のタラコが傷んでいたのに、“彼”だけが気付かずペロリとたいらげて入院したこともあったっけ。
お金の使い方もへたっぴで、それでいて格好つけるからわたしや後輩におごってばかり。気がついたら数十万円の借金をしていたり。
 
ここまでくると、ただ“彼”の悪口を羅列している感じになってしまったが、わたしは別に「ポンコツな“彼”」を“旦那”に選んだことを後悔をしてはいない。むしろ選んで良かったとすら思っている。
 
ほとんどの人が経験したことがあると思うが、カフェでゆったり過ごそうと思っていたのに、隣の席の奥さんたちが大きな声で“旦那”の悪口をいっている場面に遭遇する。
わたし調べだと、その悪口の9割は「“旦那”が使えなくて腹が立つ」という内容だ。
これから結婚しようと思っている人にとって、夢も希望もない話だからできれば耳をふさぎたいとは思うが、“旦那”を正しく理解して正しく戦うことが大切だ。
なのでそういう時はあえてその話に耳を傾けてみて欲しい。
実際のところは「使えない“旦那”」の悪口を言っているどの奥さんも、別に離婚しようとは思っていない。かなり腹が立っているのは本当だけども、離婚するほどのことではなくただのネタだ。
裏を返すと、そこも含めてたぶん愛しているのだと思う。
年数がたった夫婦のノロケの形ともいえる。
 
わたしももちろん、奥さん同士で集まればそんな話をする。
けれどわたしの場合、ほんとうはこの「ポンコツ」のおかげで助かっている部分もたくさんある。
 
たくさんあるが一例をあげると、
・お酒が弱くてすぐ酔っぱらうから、飲み会代も晩酌代もしれている。
・自分で食事が作れないから、何を作っても喜んでいっぱい食べてくれる。
・お金の使い方だってがへたっぴだから、お財布をわたしが握っていてもなんとも
思わない。
・“旦那”に少しぐらいダメなところがあっても、鼻で笑ってやり過ごせるようになる。
 
最初から「頼りがい」がないことによって、“旦那”への期待値はおかげさまでとても低く、「“旦那”の使えなさ」ではわたしはストレスがあまりたまらない。
 
けれども、世の女性は理想の“旦那”像に「頼りがいがある」を掲げるものだから、“旦那”たちは最初のうちは期待に応えようと一生懸命それを演じるのだ。
 
ところが実際に結婚してみたら何もしなくてもいつも一緒にいられるし、自分を良く見せ続けるのは疲れてしまう。
そのうち妻が「頼りがいのある“旦那”」の背中にチャックがあることに気付くのだ。
そして、とうとう妻たちは「頼りがい」のライダースーツを脱いで正体を現した、グダグダな「ポンコツ“旦那”」と対面するのだ。
その後はただただ「ポンコツ」ぶりに落胆し、猛烈に腹が立つのだ。
 
もしかしたら最初からライダースーツを着る必要なんてなくて、丸腰でも一緒にいて許せる関係がいいのかもしれない。
 
よく言われる話だが、女性はやっぱり男性に比べて器用だし、一度に多くの作業をこなせるから家事もちゃっちゃと片付けられる。家事や子育ての部門においては到底女性にはかなわないのが実際のところ。
だから“彼”のうちから丸腰の「ポンコツ」でいいんじゃないか、とわたしは思う。
そして彼女もそれぐらいの寛容さをもち持ち合わせている方が、きっと夫婦になってもうまくいく。
 
夫婦はきっと成長していくものだとわたしは考えている。
最初は「ポンコツな“旦那”」だったとしても、料理も掃除も少しずつできるようになればいい。
子どもの世話もだんだん上手になればいい。
結婚はゴールじゃなくスタートだから。
少しずつ夫婦が、家族が、成長していくことが結婚することの意義だとわたしは思う。
 
理想の“旦那”像を「頼りがいのある人」としている世の女性たちに告ぐ!
今ならまだ間に合う。
“旦那”という生体を正しく知りその理想像は改めよう。
そうすればきっとストライクゾーンも広くなるし、出会うべき“彼”に今度こそ出会えるのではないだろうか。
 
そして結婚して今まさに、「“旦那”の使えなさ」にあきれてしまっている妻たちは、愛をもって「ポンコツ“旦那”」と呼ぼう。
影でね。
 
 
 
 
***
 
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2020-05-09 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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