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オンラインのコミュニケーションがダメな理由

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*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:市川みどり(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
新型ウィルス感染拡大防止のため、4月から余儀なくされてきた在宅勤務も5月いっぱいで終了。
6月から通常の出社勤務に戻った。
また毎日の通勤が始まるのかと思うとうんざりである。
朝も早く起きなければならない。
月曜から金曜まで毎日会社に行くなんて、さぞかし疲れることだろう。
以前は普通にやっていたことなのだが……。
 
しかし、久しぶりに1週間出社してみたところ、意外と疲れなかった。
むしろ在宅で仕事をしていた時の方が疲れていた気がする。
なぜだろう。
 
在宅だと、上司の目の届かないところで仕事をすることになる分、何かしらの成果を出さなければならないというプレッシャーがある。
そして、そのプレッシャーと一人で闘わなければならない。
会社にいれば、すぐそばに仲間がいて、仕事の相談をしたり、雑談で息抜きをしたりすることができる。
これだ。これが大きい。
約2ヶ月の在宅を経て通常勤務に戻った私は、仲間と対面でコミュニケーションを取ることが自分にとって大きな癒やしになっていたことを実感した。
 
もちろん在宅でもZOOMなどを使って相談や雑談をすることはできる。
しかしオンラインでのコミュニケーションには大きな欠点があるのだ。
それは、絶対に目が合わないということである。
 
私が、コミュニケーションにおけるアイコンタクトの重要性を意識し始めたのは5年前だ。
知り合いの紹介で覆面調査の仕事をやらせてもらうことになった。
覆面調査とは、利用客のふりをしてお店に行き、店員の接客態度を見てくるという、言わばスパイのような仕事である。
そのチェック項目の一つに、視線が合うか否かというものがあった。
それまで店員の視線など、あまり気にしたことがなかったのだが、あらためて注意してみると目を合わせてくれない店員は意外と多い。
笑顔で「いらっしゃいませ」「ありがとうございました」などと言っていても、こちらを見ていないと気持ちは伝わりにくい。
目を見て挨拶をすることはとても大事なのだ。
 
ところで自分はどうだろう。
挨拶をする時に、きちんと相手の目を見ているだろうか。
そう思って自分を観察してみた。
案の定全然見ていなかった。
 
私は人見知り……ではないが、「やや」人見知りである。
人と接することは好きだし、初対面の人と会うのもワクワクする。
しかし、「やや」人見知りであるがゆえに、ちゃんと目を合わせられないところがある。
これは良くない。
 
そう思った日から、私は相手の目を見て挨拶をするというミッションを自分に課した。
すると思わぬ変化が起こったのだ。
 
近所に一人のご老人が住んでいる。
このご老人、「おはようございます」と声をかけても、ジロリとこちらに目を向けるだけで、全く返事をしてくれなかった。
ずいぶんと気難しいジジイだな、と苦手に思っていた。
そのジジイがある日、向こうから歩いてきた。
ミッションを遂行せねばならない。
勇気を出して「おはようございます」と、目を見て挨拶してみた。
すると……
 
「あ、おはようございます」
 
なんと! 初めて返事が返ってきたではないか!
驚いた。
このジジイ、いやご老人、決して気難しいわけではなかった。
単にこちらの挨拶が届いていなかったのだ。
その後も会うたびに目を見て挨拶をし、慣れてきたので100%の笑顔も添えるようにしてみたところ、信じられないことに、そのご老人も柔和な笑顔を見せてくれるようになった。
もはや気難しさは微塵も感じられない。
ジジイ呼ばわりをしてすみませんでした。
 
アイコンタクトの力を思い知った私は、その後、人と話す時は努めて目を見るようにした。
「やや」人見知りの自分にとっては勇気がいることではあったが、意識的に頑張っていたら、次第に慣れてきた。
慣れると同時に、人と目を合わすことによって何とも幸せな感情が芽生えてくることに気づいた。
 
相手の目の奥に、その人の心が見えてくる。
同様に、私の目を通してこちらの心が相手に伝わっていく。
これにより相手と深層的につながれた気がして無性に嬉しくなるのだ。
 
アイドルのコンサートなどへ行って、「キャー! 今、目が合ったー!」などと言って興奮するのは、憧れの相手と一瞬つながった感覚があるからなのかもしれない。
互いの目を見るということは、人とつながるコミュニケーションにおいて非常に重要なことなのである。
 
そして、最初にも書いたが、オンラインでは絶対に視線が合わない。
たいていの人は画面に映っている相手の顔を見ながら話をするが、その時、相手の画面の中の自分の視線は相手に向いていない。
相手に視線を向けているように見せるには、カメラを見なければいけないのだが、それでは自分が相手の顔を見られなくなる。
視線を合わせられないと、相手とつながっている感覚は表層的になってしまうのだ。
これでは互いに十分な信頼関係を築けず、腹を割った話がしにくい。
 
今回のコロナ禍をきっかけにオンラインコミュニケーションが一気に進んだ。
会社によっては、ウィルス収束後もそのままテレワークを継続させるところがあるそうだ。
テレワークが広がれば、通勤のストレスも無くなるし、育児や介護との両立も可能になるかもしれず、それは喜ばしいことである。
しかし、それによって人と目を見て話す機会が減ってしまうのは少々残念だ。
人と人との本当のつながりは、互いの目を見てこそ生まれるというのが私の持論だからである。
 
どなたか、オンラインでも視線が合うコミュニケーションツールを開発してくれませんか。
 
 
 
 
***

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2020-06-11 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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