アウトプットは清く正しく美しく
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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:濱林伸匡(ライティング・ゼミ日曜コース)
『一万円札をよく見る機会があると思いますが、実物通りに描けますか?』
私は震災の年2011年5月から一年間、神田神保町にある美学校に通った。前年に上京したのだが、友達も少なく暇だったこともあり、通っていた。授業は今は開講されていない「マンガ視聴覚教室」という漫画を描くクラスで、講師は孤独のグルメの原作者の久住昌之だった。
ある授業で、久住先生から毎日よく見ているだろう一万円札の表裏をソラで描くことを課題に出される。確かに万札は私の財布に入っていたし、新卒すぐの時は経理をしていたので毎日お札を数えていたからよくみていたはず。しかし、いざ書いてみると、福沢諭吉はどちらを向いていたか、札の大きさはどのくらいか、どのような模様か、色はどうか、10,000の位置はどこか、などを思うのだが、書いてもこれであっているのかと心配になる。他の人たちも同様に苦労していた。毎日見ているはずなのに、全く描けないなんて……。発表時間となったが、結果的にクラスメート7名、誰も正解はいなかった。私はまず根本的に大きさが異なっており、また、色々と細かいところももちろん間違っていた。
我々はインプットは得意だ。というのも毎日見ているので、形や色などの一万円札の情報を知っており、偽札が出てきたところですぐに見分けることができる。悪の組織でもない限り多分巧妙には作れないので、だいたいの偽札はバレると思う。それがだ、なぜか、実際に描けと言われると描けないのだ。不思議だ。描ける銀行員や美大生がいるかもしれない。しかし、誰も正解はいなかった。
久住先生から聞いたのだが、この課題を毎年出すが、誰も描くことができないとのこと。また、この課題はそもそも、久住先生の恩師である一万円裁判で有名な赤瀬川原平先生の授業の課題だったのだ。私は赤瀬川原平の孫弟子かと思うと、会ったことはないけど、なんだか嬉しい。そして、このアウトプット作業は一万円札だろうが、五千円札だろうが、二千円札だろうが、千円札だろうが、同じ結果になる。二千円札なんてとくに見ていないから怪しさこのうえない。
さて、私たちは日々色々な情報を五感から、見て、聞いて、味わって、嗅いで、収集して脳にインプットしている。私は本を読むのだが、読んで満足しているところがある。自己啓発本などはいいことが書いてあるはずなのに実行せずに、満足感を得て終了だ。また、巷ではダイエット本も多数出ているが、毎年、誰かしらのなんらかのダイエット本が出版されている。儲けになるから出版社も出版しているだろうし、多くの人が買っているから出版されているのだろう。しかし、私の周りの人々は様々なダイエットに挑戦するが、成功したとあまり聞かない。最高のダイエット本があれば、出版社も再版を繰り返すだろうが、そうではなく違うメソッドのダイエット本を出している。思うにみなさん、情報としてのインプットはするがアウトプットはしていないのではないだろうか。アウトプットしても長続きしないとか、この話は前述の一万円札の話と同じで、情報のインプットはできるが、正しくアウトプットはできていないということだ。
正しいアウトプットとは何か。私は今、この四月より天狼院書店のライティング・ゼミに通っている。毎週本は一冊を読了することを心掛けているので、インプットはできている。しかし、アウトプットは……。昨年から通っているのだが毎回の課題提出において、ダメ出しを食らって不採用だった。理由はストレス発散の自己満足のための文章だったからだ。
しかし、前々回の投稿でやっとライティング・ゼミで投稿が採用されたのだ。これは私にとって、とても嬉しいことだった。今人生の転換期にいるので、なんだか自信がついた感じだ。何気なく読んだ人が喜びそうな内容を書いたのだが、それがよかったのか。早速Facebookに投稿して、自己満足感を得た。「イイね」の数は問題ではない。やっと、正しいアウトプットができたということを認識できた。例えば、一人で文章を書く、日記でもいいだろう。人の目にふれないので、自己満足で終わる。しかし、誰かの目に触れた途端、感想を述べられて評価される。自己満足であったとしても人の目を気にするので、評価に打たれ弱い私たち。しかし、ちゃんとえこひいきなくフラットに講評してくれる機能、すなわち天狼院書店があったのだ。ライティング・ゼミでの毎回の投稿はしんどいが、講評は私にとって幸運だった。正しいアウトプットは他の日常生活に影響を与えるだろう。プロのライターを目指す人は稼ぐことに直結しているだろうし、言いたいことが適切なら問題が生じないし。私は正しいアウトプットが引き続きできるように、もっとアウトプットする機会を増やしていこうと思う。
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