カンペキなジブンにセイグッバイ
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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:神本崇聖(ライティング・ゼミ日曜コース)
「自分は毎日新しいことを1つでもいいからやろうとしてる」
僕が仕事について上司に相談したときの上司の答えた言葉である。
ここ最近、仕事に退屈さを感じていた。そんなとき、仕事の帰り際に聞いてみたのだ。
「最近、毎日仕事が同じ感じがして退屈なんですけど、そんなときありませんでした?」
僕はそんな質問をしていた。
上司はたった一言、ポツリと言ってくれたのだが、これが僕に大きな気づきを与えてくれるとは、この時は思いもしなかった。
もちろんその一言で、僕がそんな気づきを得ているとは、上司も思ってもいなかったはずである。
それにしても、なぜ仕事に退屈さを感じているのだろうか。
これは自分でも答えは明確に分かっている。
いつも同じことを繰り返しているからだ。
誰もが一度はこんな経験しているのではないだろうか。
結果が出ない、成長が感じられない、上手くいかない。
「あぁー、もうダメ、自分この仕事向いてないわ」
「何のためにこの仕事やってるんやろ、無力感が半端ない」
自分が出来ない理由と、上手くいかない責任を自分以外の誰かに擦り付けるような言い訳があれよあれよと溢れるように出てくるのである。
よくもこんなに言い訳が出てくるもんだと、自分のことではあるが我ながら感心するほどである。
そんな言い訳が出てくる最中、僕が得た気づきが日の目を浴びる時が来た。
「あれ、俺ちゃんとしなきゃいけない、全部出来なきゃって思ってるわ! 完璧主義者演じてるわ」
そう、僕が上司から得た気づきは、自分は完璧でなければならないという思い込みだったのである。
自分も社会人になり、中堅と呼ばれる世代に突入した。
そんな世代になったからこそ、自分は出来るんだということを相手や周囲の同僚たちにも示さなければならない。だからこそ、完璧な自分を追い求めていたのだ。
しかし、いつしか完璧を追い求めていた僕も、そんな自分に疲れてきていた。
完璧を求めることで、出来ない自分にどんどんと嫌気がさし、いつの間にか自分の技術向上や成長を諦め、逃げることを選択していた。
逃げることを続けていた僕は、逃げることが習慣になり、真剣に仕事に向き合う時間も減った。どんどん自信を失い、作り笑いで乗り切るしか方法がなくなってきていた。
正直なところ、仕事が億劫になり、ただ時間が過ぎるのを待つような状態だった。
どうやら僕は完璧を求める過ぎていた。
その結果として、出来ない自分を自分の手で作り上げてきていたようだ。
そんな上手くいかないときに言われたのが上司の一言だったのだ。
普段から決して高望みもしないし、生活のために仕事をしているという、夢もかけらもないスタンスで仕事をしている上司である。正直にそういう点では一切尊敬はないのだが、人の気持ちを受け取ることが上手で、いい意味で力が抜けていた。
「自分は毎日新しいことを1つでもいいからやろうとしてる」
何か特別なことを、全部やろうとする必要はないのである。
たった1つでいい、欲張らなくていい。
毎日、少しずつ自分の中での新しいことを、チャレンジしたいことをやっていく。
ただそれだけ、完璧に出来なくてもいいのである。
上司からの一言の翌日。
仕事をしているときの感覚がいつもと違っていた。
全部出来ないといけないと思う自分はそこにはいなかった。
「新しいことを1つでもいいからやってみる」
その言葉を頭の隅においてみながら、仕事に向き合っていた。
前日までの僕は遥か遠くにいってしまったかのように、清々しさを感じていた。
「完璧」
これは一見誰もが欲しくなるようなステータスのような言葉である。
仕事が出来る、知識が豊富、見た目が素敵。
どれも完璧を目指して手に入れたくなる。
ただし、「完璧」は追い求めれば求めるほど、どんどん高い壁となる。
そして、どんどん僕らを底の方に押し込んでいってしまう。
だったら、僕らは今のままでも十分ではないだろうか。
今のままでも完璧なのだと。
完璧とは自分の見えていないことを洗い出してくれる鏡である。
僕は完璧さを求めてきた結果として、自分が全部出来なければならないという思い込みを持っていることに気づくことができた。
上司に相談せずに、あのまま完璧を追い求めていたら、今も完璧でなければならないという思い込みに縛られて、どんどん身動きが取れなくなっていただろう。
もし、今仕事が退屈だ、面白くないと思う人がいたら、一度振り返ってみてほしい。
「完璧を求めすぎていない?」
大丈夫、僕らは今のままで十分。
完璧を求める自分とは、ここでお別れ。
今できることを1つひとつやっていくだけだ。
***
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