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わたしが男だったら、たぶんモラハラ旦那になってた

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*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:なめ山 なめろう(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
「家のことがきちんとできてなくて、ごめんなさい」
「働いてもないのに、遊びに行きたいなんて、ごめんなさい」
「美容院の費用は、独身時代の貯金から出すから、許して」
「わたしなんか、仕事続かんかった社会不適合者やからね、おかしいんや」
 
仕事を辞めて専業主婦になった私は、ことあるごとに夫に謝り、自分を卑下してばかりだった。
 
しかし、目の前にいる夫は、優しさと善良さを、これでもかというぐらいに固めてできている男だ。
「家のことができてないなんて、どこができてないのー!? 今日だっておいしいごはん作ってくれたじゃん、俺一人じゃ絶対無理」
「遊びに行きたい? 久しぶりに会う友達なんでしょ、行っておいでよ。遅くなるようなら迎えに行くね」
「美容院のお金、出すよー。 次は髪の毛、ピンク色とかどう?」
「仕事を辞めたのは仕方なかったし、二人でよりよく生活するために辞めたんでしょ? 前向きな退職で、ちっともおかしくないよ」
 
けして、のろけではない。のろけと言われても仕方ないぐらいに、夫はとにかくいい奴だ。
問題は、夫の方はちっとも気にしていないのに、私の方が、自分が専業主婦であることに引け目を感じてしまっていることだ。
 
家事を完璧にこなせないと、申し訳ない。夫の稼いできたお金を、自分のために使うことに罪悪感がある。お金を稼げない自分は、劣っていると思う。ちなみに私は、働く意志はあるが、夫の転勤などいくつかの事情があり、働ける条件が限られている状態である。
 
でも、こんな私、もし立場が逆なら、どうだろう?
私がもし男に生まれていて、主婦の妻を持つ夫の側だったら?
 
「主婦なんだから、家事を完璧にしろよ」
「働いてもないのに、遊びたいなんてふざけるな。こっちは毎日、しんどい思いして働いてるのに」
「家にいるのに、美容院なんていらないだろう、無駄だ」
「頑張れば結婚しても仕事を続けられたはずで、辞めたのはお前の努力不足」
こうやって、専業主婦の妻をなじり傷つける夫に。つまり、モラル・ハラスメントを妻にするような夫に、私はなっていたのではないか?
 
つまり、私の心の中には、「モラハラ夫のメンタリティ」がある。だから、自分が主婦になったとき、自分の中の「モラハラ夫のメンタリティ」に照らし合わせて、主婦である自分を見下す態度をとってしまっているのだ。
 
では、私の心に潜んでいる「モラハラ夫のメンタリティ」の正体は、いったい何なのか。
 
モラル・ハラスメントとは、肉体的な暴力ではなく、言葉や態度、経済的な制限といった手段で、相手の心にダメージを与えることだ。
モラハラをする側(加害者)には、「相手は、自分の意のままに傷つけてもよい存在だ」という認識がある。加害者と被害者の間に、ゆがんだ上下関係ができている。
 
私も、主婦の自分は、メインの稼ぎ手である夫より下だという意識があった。自分が、かつては夫と同じ仕事をしていて、それなりに働いていたからこそ、そう感じるのかもしれない。
 
働きながらでも、工夫次第で家事はできた。どんなに忙しくても、食事は毎日用意しないと倒れるし、洗濯もしないと仕事に着ていく服がない。掃除だって、さぼるには限界がある。
働いていてもできた家事を、時間のある主婦ならきっちりこなせて当たり前だろう、と思ってしまう。
家のことは、仕事のついで、という考えがあった。
 
また、独身時代、自分で稼いだお金は、全部自分のものだった。この感覚が抜けない。
私が「あなたのお金で、私の生活費を払ってもらってごめん」と言うと、夫はいつもこう返す。「俺のお金じゃないよ、二人のお金だよ」と。
しかし、つい数ヶ月前まで、夫と同レベルの給料を稼いでいた私からすると、夫の給料を使うことは、毎日大変な思いをして働く夫の努力に、ただのりしているような気分になる。夫の成果を、横取りしているような気分になるのだ。
お金を稼いでいる夫の方が偉く、それができない主婦は、夫より劣った、ずるい人間に思えてしまう。
 
こうやって、しらずしらずのうちに、”働く夫が上、主婦は下”、という構図が私の中にできていた。
この構図をつくりあげたのは、”仕事が優先、家庭はサブ”という考え方だ。
この考え方は、働いている人たち中心の世界では、たしかに主流のものだ。しかし、一度働くことを離れると、そうではないことがわかる。
私は主婦になってはじめて、世界の見え方が変わった。”仕事が優先、家庭はサブ”という考え方が、けしてこの世のすべてではない。
 
それなのに私は、働いていたときのものさしで、主婦になった自分のことを夫と比べて、見下すようになっていた。
モラハラ加害者の特徴の一つは、自分を正当化し、自分の価値観にそぐわない行動をする相手を、徹底的に否定することである。
私は、働いていた自分のものの見方こそが、正しいと思い込んでいた。そして、働いているときの考え方で、主婦になった自分をジャッジしていた。
 
これが私の心に潜んでいた「モラハラ夫のメンタリティ」だ。
男じゃなくて、よかった。
きっと結婚しても、妻を大事にできなかった。
仕事を辞めて、よかった。
きっと周囲の女性たちを、どこかで下に見ていた。そして「私は、働いているから上」と、みみっちくて恥ずかしい自尊心の満たし方をしていた。
 
モラハラの原因には諸説ある。モラハラをする人間に共通の心理というものは、おそらくない。
だが、仕事をする夫と家庭にいる妻との間に生まれがちな上下意識は、モラハラを誘引しやすい。
働く夫・主婦の妻というスタイルは、これまでの日本の夫婦のスタンダードだった。しかしこのスタイルは、夫婦の間に、上下意識や格差をもたらしやすいスタイルでもある。
だからこそ日本では、夫から妻へのモラハラやDVが、よく話題になるのだろう。。”仕事>家庭”という意識に基づいた夫婦間の上下意識に、夫の性格的な問題やストレスが結びつくと、それが精神的・肉体的な暴力に発展しかねない。
 
ただし、「モラハラ夫のメンタリティ」は、けして男の人だけのものではない。これまで語ってきたとおり、女性の私の潜在意識にも存在していた。
男女関係なく、「働いているか/お金を稼いでいるか」に基づく”上下意識”で人を見ることは、どんなハラスメントにつながるかわからない。
このことを、私たちはしっかり心に留めておく必要がある。
 
 
 
 
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2020-07-16 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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