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メディアグランプリ

熱愛、失恋、そして復縁の六ヶ月


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:村井 美月(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
愛。それは苦しみ。
何かを愛するときはこの世で最もピュアで崇高な時間だが、その愛は憎しみと表裏一体。愛するがゆえ、絶望を味わうこともある。
好きにならなければこんなに苦しむこともなかったのに。そんな経験、みなさんにもおありではないか。
今から語るのは、私がこの外出自粛期間中に経験した「喪失と再生の物語」である。
 
私と彼は、毎週のように会っていた。
彼は私に貢がせる。どんどん、求められる金額も上がっていく。一度会うと、長時間拘束される。
それでも私は彼を愛していた。
 
しかし、新型コロナウイルスが流行し、私は彼と離れ離れになってしまった。毎週会っていた彼に会えなくなり、絶望を覚えた。初めは同情、そして悲しみ。長い間嘆いてから、激しい喪失感に襲われ、その悲しみは怒りに変わった。なぜ会えなくなってしまったのか。彼が悪いわけではなく、新型コロナウイルスが悪なのだが、可愛さ余って憎さ百倍。好きにならなければ、こんなに苦しむこともなかったのに。こんなことなら、出逢わなければよかった。なぜか私は彼を責めた。
そしてついに、彼を追いかけないことに決めた。別に、彼に会いに行かなくたって、代わりはいくらでもいる。
 
そんな折、こんな広告が目に飛び込んできた。
 
『一生に一度は、映画館でジブリを。』
 
ジブリの映画はもちろん好きだった。しかし、幼い頃から何度も金曜ロードショーで見てきて、もストーリーや名台詞はもう耳タコ状態。『ジュラシック・パーク』や『ターミネーター』のように臨場感のある映画であれば、ストーリーが頭に入っていても、わざわざ映画館で観てみたいと思うかもしれない。でも、ジブリはアニメ映画だ。DVDレンタルで借りられる映画を、わざわざその10倍近いお金を支払って映画館で観る必要はあるのか?
 
そんなことを思っていると、同居している私の彼が言った。
「これ、いいね。『風の谷のナウシカ』、どうしても映画館で観たいなぁ。ついてきてくれない?」
 
みなさん、お気づきだろうか。
この彼は、冒頭から語っている『彼』ではない。
私が愛して憎んだ『彼』とは、『映画館』のことである!
 
新型コロナウイルスの影響で、務めている会社に「人が密集しているところには行ってはいけない」と言われて(メーカーのため、一人でも感染者が出て製造に影響が出ると事業が傾いてしまうので仕方ないのだが)から数ヶ月、映画館へ足を運ぶことを自粛し、強すぎる喪失感を憎しみでごまかしてきた私。
これまでであれば、映画館に誘われて断ることなどありえなかったが、そんな経緯もあり、この申し出に対してネガティブな感情をあらわにした。
しかしそこは、今まで私の映画館愛を見つめてきた私の彼。仲直りさせないとまずいと思ったのか、無理矢理に私を映画館に連れて行った。
 
その結果、私は泣きに泣いた。
映画が始まる前、宣伝で流れた『ドラえもん』の新作映画の予告編の時点で、もう泣いていた。
 
暗闇のなか、広がる大きなスクリーンにジブリの丁寧なアニメーションが広がる。こんなに細かいところも描いていたんだ。そして、ここぞという時に鳴り響く久石譲の音楽。体の芯から震え鳥肌が立つ。
 
ああ、私は映画館を愛している……。
 
ジブリの映画で、私の映画館愛は再生した。
映画館でないと味わえない感動があるのだ。家で映画を見ていて、鳥肌がたったことはあるだろうか? 鑑賞後、席を立てなくなったことはあるか? 明日の自分の生き方が変わったことはあるだろうか。
 
映画館に行こう。
 
忙しいあなたにとって、2時間拘束されることは辛いかもしれない。YouTubeの動画のように、見たいところまで早送りしたくなるかもしれない。大人料金は1,900円に値上がりして、「だったら相当美味しいランチが食べられるじゃん」と思うかもしれない。新作映画は少し待ってNETFLIXやAmazon Primeで観ればいいと感じているかもしれない。
でも、一度映画館に足を運べば、そんな心配は無くなるだろう。その2時間が、人生を変える経験になるかもしれないのだから。
 
ちなみに、今現在再上映しているジブリの名作4本は、大人も1,100円で観ることができる。新型コロナウイルス感染予防対策で、ひと席ずつ空けて座らなければいけない。つまり、隣の席の「持ち込んだたこ焼きをクチャクチャ音を立てて食べる迷惑おじさん」や「足の指で指パッチンをし続けるうるさいおじさん」、「上映中チェックしていたスマホを落としてしまい、ライターで火をつけて席の周辺を探し回る危険おじさん」からも距離を取りながら、安心して映画の世界に浸ることができる。(このおじさんたちは、私が実際に映画館で出会った人たちだ)
 
どうかこの機会に、一生に一度、映画館でジブリを楽しんでもらいたい。
そして、映画館の素晴らしさを知って欲しい。
 
これが、映画館を愛しすぎた故に、映画館を嫌いになり、そしてまた映画館を愛した私の半年間の物語である。
 
 
 
 
***
 
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2020-07-16 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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