企業も適切なダイエットを
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記事:やまぐちりょう(ライティング・ゼミ5月開講通信限定コース)
「何をやめるべきか迷っています……」
経営コンサルティングの仕事をしていると、
企業の経営者や幹部社員から、こんな声を耳にすることがある。
ここ数か月、新型コロナウイルスの影響で売り上げが大幅に落ち込み、
第2波も現実になりつつある中で、
どの事業をあきらめ、どの事業を続けるべきか、決断を迫られる企業も多い。
グーグルの創業者であるラリー・ペイジが、スティーブ・ジョブズに対して経営についてのアドバイスを求めた際、
「やらないことを決める、それが経営だ」と答えたのは有名な話だ。
そもそも、企業の経営は決断の連続だが、”決断”という言葉自体、“断つことを決める”と書くから、
「経営の本質は、何をやらないかを決めることだ」
と言っても差し支えないだろう。
リーマンショック意向、ここ10年ほどは、景気はおおむね良好だった。
2019年には、「景気拡大が戦後最長となった可能性が高い」ことが発表された。
景気が良いと、企業には余裕が生まれる。
余裕ができれば、様々な投資をし、事業を拡大する。
健全に、必要な事業拡大がされる分には全く問題ないが、
好景気が長引けば、本来は実施すべきでない分野にまで投資、事業拡大が及ぶ。
まさに近年はこのような状況だった。
そこに来たのがコロナショックだ。
急速に事業環境が悪化し、肥大化した事業が企業の体力を奪いつつある。
人間に置き換えて言えば、
冬は厚着をするから多少太っても問題ないと油断していたところに、
友人から、”正月ハワイ”の誘いを受けたようなものだ。
「たるんだお腹で水着を着るわけにはいかない。短期間で余分な肉をそぎ落としてダイエットせねば……」といったところだろう。
食事を大幅に制限することで短期間のうちに痩せることも可能だろうが、
栄養が十分に取れずに体調を崩してしまっては、元も子もない。
こう聞くと当然のことだと思われるだろうが、
同じ失敗をする企業は案外多い。
本来、危機に直面した時、本来やめるべきでないものまでやめてしまう。
ごく短期的にはコストカットに成功したように見えるが、
そもそも自社の存在意義まで失ってしまうのだ。
窮地に立たされた場合にも、拙速にやめることを考えてしまうのではなく、
何をやめるべきか、改めて考える必要がある。
過去に、この決断を見事にやってV字回復を成し遂げた企業がある。
ソニーだ。
ソニーは、2013年度の連結決算で1,200億円を超える赤字を出した。
この危機を乗り越えるために、赤字を計上していたPC事業を売却、テレビ事業を分社化した。
エレクトロニクス企業のソニーを代表する事業を本体から切り離すという、
まさに”決断”をしたのだった。
一方、ソニーでは時期を同じくして、ある取り組みを始めた。
SAP(Seed Acceleration Program)という、新規事業支援プログラムだ。
社員から新規事業のアイデアを募り、事業化を支援する仕組みだ。
新規事業を立ち上げると言っても、一朝一夕に収益は上がらない。
むしろ最初の数年は赤字だ。
企業が存続の危機に瀕し、主要事業を切り離す中で、この取り組みを始めることに社内の反発も少なくなかったという。
その中でソニーがこの取り組みを始めたのは、
この取り組みこそがソニーの存在意義を体現するものだったからだ。
「真面目なる技術者の技能を、最高度に発揮せしむべき自由闊達にして愉快なる理想工場の建設」
これは、ソニー(設立当時は東京通信工業)の創業者の一人である井深大氏が起草した設立趣意書に、会社設立の目的として記載されている内容だ。
“技術者が自由闊達に各々の技術を生かし、社会に貢献できる会社”
それこそがソニーの存在意義なのだ。
実際に、当時のソニーは、この目的に共感して入社し、
様々なアイデアを持った技術者が大勢にいるにも関わらず、
アイデアを形にする仕組みがなかったのだという。
このアイデアを形にする仕組みこそ、ソニーに足りないものだった。
赤字を計上し、主要事業を切り離すという状況下において、
ソニーは”自社の存在意義”に立ち返り、ダイエットに成功し、V字回復を果たした。
今、多くの企業が窮地に立たされ、”決断”を迫られている。
あなたが企業の経営者でないとしても、
あなたの会社で”ダイエット”が検討されているなら、
そのダイエットが本当に適切なものかをぜひ考えていただきたい。
ただ闇雲にダイエットをしてしまえば、栄養失調に陥ってしまう。
そぎ落とすべきぜい肉は何か、残すべきものは何か、を考える機会になれば幸いだ。
***
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