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メディアグランプリ

「NO!」と言えない抜き打ちテスト

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*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:朝木亜佐(ライティング・ゼミ平日コース)
 
 
さほど親しくはないけれど、少しだけ繋がりのある人って身の回りにいますよね。お互いに、必要な範囲だけで十分に完結している関係性。たとえば習い事で同じクラスの人や、子どもを通じた親同士のつき合いの中にあるような。
 
そんな関係の人から、たまに予想外のことを頼まれるときがあります。ちょっと不意打ちを食らうような感じで。たいていの場合、胸の内では自分の直感が「NO!」と言っているのですが、何しろ突然すぎて、とっさに上手くかわせません。
 
ある楽器の個人レッスンを受けていたときのこと。相性のよかったそれまでの先生が遠方に引っ越してしまい、別の先生の元へ通うことになりました。レッスンの初日、「ご希望なら、いままでと同じテキストでレッスンしますよ?」と新しい先生。前の教室では、先生自身が初心者向けに編曲・編集した、手書きのオリジナル楽譜集を使っていました。
 
提案をよろこんでいると、「この楽譜集のコピーを取ってもいいですか?」と訊かれました。一瞬、「あれ? マズくない?」と疑問が頭をよぎりましたが、今後のレッスンに必要だろうし……と、心に引っかかったものに慌てて蓋をしてしまいました。新しい先生の心証を悪くしたくないという気持ちもありました。
 
結局、元からの楽譜集を使ったのは数回程度で、その後は先生が指定した市販のテキストを使うことに。前の先生のオリジナル・コンテンツを無造作に手渡してしまった罪悪感も相まって、新しい先生への違和感が膨らんでしまったという、苦い結果となりました。
 
こういった要求は、抜き打ちテストのようなものかもしれません。とっさの対応に自分の力量が試されます。何せ抜き打ちなので、忘れたころ再びやって来ます。そのたびに本心に沿わない応答をして、「またやってしまった」と後悔する羽目に……。どうにかならないものでしょうか。
 
ある時期、家事の効率化や段取り方法などを勉強するグループに所属していました。そこで知り合った人を対象に、自宅で講習会を開いたことがあります。受講料は実費程度。たとえ少額でもお代をいただくからにはと、できる限りの情報シェアをしました。出血大サービスと言ってもいいくらい。
 
講習会は和気あいあいと盛り上がり、みなさんに堪能してもらえたようだと自己満足していた終盤に、いきなり、抜き打ちテストが始まったのです。
 
「冷蔵庫の中を見せてくれないかしら?」という参加者の一言で。
 
え? いま何て言いました?!
 
例によって、まったく予期していなかった変化球に、緩みかけていた私の体は一瞬にして緊張に支配され、フリーズしました。
 
当時、グループ内で「使いやすい冷蔵庫の整理法とは?」というテーマが人気を集めていました。その日の講習に冷蔵庫の話は登場しませんでしたが、何しろ会場はわが家のリビング・ダイニング。冷蔵庫はすぐ目の前にあります。まるで「人に見せる準備くらいできているでしょう?」と問われたかのようでした。自宅で講習会を開いているのだから、と。
 
無料のイベントだったら、スパッと断われたのだろうと思います。有料の場合、どこまでが対価に含まれるのか。私にはハッキリとした基準がありませんでした。「いま冷蔵庫を見せる必要性ってある?」お客さんが見たがるものがコンテンツだと言われれば、そうかもしれないと気持ちが揺らぎます。小心者の私には、目の前にいる人を落胆させる勇気もありませんでした。
 
結局、ノーと言うことができずに受け入れたのです。心の中では釈然としないまま。以前の楽譜のときと同じパターンです。
 
この女性は、家事勉強会でよく顔を合わせていた人なのですが、さまざまな講師が自宅で開催する講習に参加しては、冷蔵庫が見たいとリクエストを重ねていたようです。それに応じる講師がそこそこいる中、あるテーブルコーディネート講座の先生が、ノーと言いました。「この講座はうちの冷蔵庫を見せることが目的ではありません」と。講座の中にどこまでがコンテンツとして含まれているのか、その先生は線引きが明確だったのでしょう。
 
一方の私は、いつも何となくの感覚で物事を進めていて、判断基準が曖昧なまま、言語化ができていなかったのです。直感的にはノーと思っていても、「なぜなら」の説明がとっさに出てきません。後になってからなら、ああ言えばよかった、こう言えばよかった……と言葉が頭に浮かんでくるのですが。
 
抜き打ちテストには、ふだんの学習がモノを言います。どんな球が来ても打ち返せるように日頃から自分を鍛えておくことが、いざとなって慌てないための一番の対策でしょう。まずは、きっぱりノーと言ったテーブルコーディネートの先生ように、自分の基準を明確にすることから。そして頭の中の漠然とした考えを、言葉に置き換える習慣も身につけたいところ。
 
いつまた抜き打ちテストがあるかもしれません。曖昧な自分に、ぜひとも「NO!」と告げたいものです。
 
 
 
 
***
 
この記事は、天狼院書店の大人気講座・人生を変えるライティング教室「ライティング・ゼミ」を受講した方が書いたものです。ライティング・ゼミにご参加いただくと記事を投稿いただき、編集部のフィードバックが得られます。チェックをし、Web天狼院書店に掲載レベルを満たしている場合は、Web天狼院書店にアップされます。

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2020-07-31 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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