思いを形にして、心の宝石箱にしまう
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:さくらしおり (ライティング・ゼミ5月開講通信限定コース)
「危ない、危ない」
ふと気づく。
また、頑張り過ぎてしまうところだった……。
私は、何事につけても、熱中して、頑張り過ぎてしまう傾向がある。
やるからには、きちんとやりたいと思ってしまう。
「気合だー!!」という、ど根性モードに入りがちだ。
自分で、ハードルを勝手にあげて、自分で自分の首を絞めて、しんどくなる。
そして、しんどくなっているにも関わらず、頑張り続けようとするので、更に厄介だ。
そういう時は、強制的に、電源OFFしなければならない。
頭のてっぺんに繋がっている電源供給のケーブルを、ブッツリと切るイメージをする。
そして、大きな深呼吸を、何度か繰り返す。
最後に必要なのは、癒し。
旅行に行く、自然の中を散歩する、美味しいものを食べる、音楽を聴く、買い物をする……。
都度、そうして、気分転換し、パワーチャージする。
そもそも、つい頑張り過ぎてしまうのは、もともとの性格なのか、後天的なものなのか?
何故なんだろう、と考える。
性格もあるのだろうが、子供の頃に作られた部分も大きそうだ。
学生だった頃は、テストで良い成績をとれば、家族が喜んでくれた。
自分が良い点を取りたい気持ちもあったが、家族が喜ぶ顔を見るのが嬉しかった。
我が家にも、ちょっとした嫁姑問題があったが、私の事だと、皆が一緒になって喜んでくれた。
家族からは、「頑張り屋さんで、やれば出来る子だ」と思われて育った。
皆の期待に答えたい思いが、強かったと思う。
また、3歳年の離れた妹がいるので、「お姉ちゃんだから」とも、よく言われた。
時には、理不尽と思いながらも、我慢しなければならないこともあった。
自由奔放な妹に対して、何なんだと批判的に思う反面、羨ましくもあった。
頑張らなければ、きちんとしなければ、と思ってしまうのは、そんな子供の頃の経験も、影響しているのだろうと思う。
そして、その思考は、大人になっても、なかなか抜けなかった。
自覚して意識するようになってからは、少しマシになったとは思うが、まだ完全ではない。
私は、過去に、頑張り過ぎて体調を崩すなど、痛い目にあっている。
にも関わらず、また頑張りモードに突入してしまっていたことに、ハッとする。
「何だか、疲れるな」
「何だか、気分が沈んで、やる気が起こらないな」
「何だか、調子が狂っているな」
と思っている自分がいる。
つい先日も、「頑張り過ぎは良くない。 メリハリをつけて、無理をせず、自分を大切に……」
と肝に銘じたばかりなのに、また同じことを、繰り返しそうになっている。
全く学習していない。
私が、特別ひどいのかもしれないが、人間は、忘れていく生き物なのだと、つくづく感じる。
忘れること。
これは、人間の才能だ。
辛いこと、苦しいことも、月日の経過と共に、少しずつ忘れていくことで、生きていける。
忘れることが出来なければ、私達は、もっともっと生きづらいだろう。
けれども、忘れてはいけない大切なこと、学んだことまで忘れてしまうのには、困ったものだ。
大切なことを忘れない方法。
それは何だろう?
ありきたりだが、やはり、文章にして書くのが良いだろう。
もちろん、日記でも良いが、忘れたくないことは、長い文章で書くのが良い。
当時、その心境に至った経緯や、細かな気持ちの変化などが、短い文章だと書ききれないからだ。
その点、現在、私は、幸運にも、天狼院のライティング・ゼミを受講している。
そして、毎週、2000文字の課題を提出している。
最初は、自分のことを書くのには、抵抗があった。
だが、表面的なことだけを書いていては、文字数が全く足りない。
私は、「背に腹は変えられない」とばかりに、自分について書くことを解禁した。
それらには、私の過去の失敗談や、失敗から学んだあれこれが詰まっている。
自分で書いておいてなんだが、読み返すと、気恥ずかしい。
けれども、それが、今となっては良かった。
大切なこと、学んだことを忘れそうになったら、私は、この2000文字を読み返せばいいんだ。
そうすれば、容易に、何度でも、当時の気持ちに立ち返ることが出来る。
ライティングの勉強をして。
書くとことに、これほど真剣に向き合ったのは初めてだった。
自分の内面に向き合いながら書いているうちに、「そうだったのか」という「目から鱗」のような、10年越しの気づきもあった。
文章を書くこと。
それは、「自分の中の自分」と対話する作業であり、自分が経験したこと、経験から学んだことを、誰かに伝える手段でもある。
そして、その「誰か」とは、「自分」でもある。
人に伝えているようで、自分に向けて書いていたりする。
大切なことを、すぐに忘れてしまう自分へのメッセージなのだ。
人間は、忘れてしまう生き物だ。
だから、これからも、書くことで補い、記憶にとどめよう。
人生の貴重な時間を使い、たくさんの経験を通して得た、「その時のその思い」。
それらは、私の大切な宝ものだから。
文章を書くこと。
それは、思いを形にして、心の宝石箱にしまうこと。
大切に大切にしまっておく。
必要な時に、いつでも、取り出して、眺めることが出来るように……。
***
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