100点のテストを破り捨てたっていいじゃない
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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:森本雄大(ライティング・ゼミ 日曜コース)
「納期こんなにかかる物なんて買わねぇよ!!常識考えて商売しろ!!」
昼下がりに電話が鳴り響き、電話口から怒号を浴びせられた。
依頼を受けた時点で、お客様の求める要項を聞ききれなかった。
癖のあるお客様を恐れて、コミュニケーションを怠った。
「申し訳ありません。他のメーカーで再度見積させていただきますので……」
「もういいよ。他でとれば済む話だから。じゃあよろしく」
乱雑に切られた電話からは、ツーツーとどこか気まずい音が聞こえてくる。
100万規模の案件を逃した。お客様からせっかく振ってもらった仕事だった。
営業マンとしての失態を頭の中で振り返りつつ、平謝りする。
僕の失態を責めず、穏やかに指示を出してくれる上司に押され、見積書をFAXで再送した。
なんだろう。なんだか情けない。
その後も1日は続き、to doリストがいっぱいになるほどのタスクを処理したはずだった。
でも、嬉しい気持ちはちっとも湧いてこない。
「これができなかった。ここがダメだった。こうするには~」
帰宅した僕は、自分から点数を引くようにミスを数え、解決策を考えた。
前に進んだ感覚はあるものの、中々自分を褒めてあげることができなかった。
5個の成功体験も、1つのミスで忘れてしまう。自分にどこか100点を求めてしまう。
なんて燃費の悪い心をしているんだと思いながら、性格だからと落ち着けるしかなかった。
とりあえず土曜は趣味で知り合った先輩とドライブだから、それが目先の楽しみだ。
楽しいことを考えようと半ば無理やりに切り替え、眠りにつく。
気持ちをだましだまし、土曜を迎えた。
「いやーなんか、仕事してる自分に疑問感じるんですよね。ミスもするし、やりたいことでもないし。このままでいいのかなって。」
プライベートでは仕事のことは考えない。そう決めているのにと思いながら、先輩に悩みをぶつけてしまった。
正直自分は甘いのかなとも思った。本当に仕事で結果を出したいなら、遊んでる場合じゃない。転職したいなら、今この瞬間行動しないといけない。そんな思いが頭をよぎる。
そんな僕をよそに、先輩は息をするように言葉を発した。
「毎朝起きて仕事行ってるんだから、それだけで100点でしょ。てか優勝だよ。」
思い悩むわけでもなく発せられた言葉には、どこか不思議な力があった。
僕の発言は一刀両断され、宙に舞ったと思うと車の窓からするりと抜けていった。
「それだけで100点」
そんなこと、考えたこともなかった。
それと同時に、いかに僕が自分を追い込んでいたのか気づいた。
思えば、ずっと僕は100点の自分を追っていたんだろう。
だから苦手なことにも挑戦したし、反省も多かったのかもしれない。
学校のテストは、高得点を取るほど褒められたし、成績も上がった。
やってたバスケだって、点を多くとった方が勝ちだった。
でも、自分にとっての100点って何なんだろう。
「健康なこと」「夢中になれることがあること」「友達がいること」
僕はたくさん満たされているはずなのに、それに目をつぶり、自分から点を引き続けてしまっている。
出来なかったことを数えて、自分を責め続けてしまっている。
そんな自分に優しくないことは、もうやめたい。
テストで100点を取れなくたって、60点だっていい。
60点を取った日も、昼飯にいつもと違うものを食べてみたかもしれない。
そんな少しの行動で、5点くらいプラスしてあげてもいいじゃないか。
自分に優しくなろう。
そんな簡単な心掛けの大切さに、改めて気付かされた。
ドライブから帰り、思い立った僕は、日記にここ最近できたことを箇条書きしてみた。
本でこの方法は知っていたが、いまいち続ける気になれなかったことだ。
「~さんにお礼ができた」
「注文をもらえた」
「上司に気を利かせて電話ができた」
「忘れていたサイトのパスワードリセットができた」
出来なかったことより、できたことの方がはるかに数が多いことに気づいた。
大小にかかわらず、色々な項目が出てきて、何だか安心する。
100点の自分像を一回破ってみる。
持ち帰った学校のテストを親の前で破いたら、気が狂ったのかと思われるかもしれない。
日常の些細な行動で、点なんかくれないかもしれない。
でも、そんなことはもうどうだっていい。
自分に点をあげられるのは、自分しかいないのだから。
「そう思えただけで100点っしょ!」
自分に語りかけながら、日記帳を閉じる。
明日からはもう少し、優しくなれる気がした。
***
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