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メディアグランプリ

料理のコツ、人生のコツ、ちょっと力を抜いてみよう。


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:白銀肇(ライティング・ゼミ通信限定コース)
 
 
「お腹すいたー、おうどん作ってー」
休みの日、昼近くになってようやく起き出した娘からこんなリクエストを受ける。
 
冷蔵庫から冷凍うどんを取り出して、レンジで温める。
その間に、味を見ながら液体の白だしと水を混ぜ合わせて鍋に入れ温める。
冷蔵庫で使える具材があったら、それを適当に切って温めつつある鍋に放り込む。
レンジでうどんがあったまったら、そのまま鍋で軽く一煮立ちさせる。
この間、ざっとものの10分弱。
 
「味が薄かったら、適当に自分で味足してな。濃いすぎだったらごめんやで」
そう言って、娘の前にうどんをおく。
 
最近、料理したあとよくこのことばをよく言うようになった。
「あとは自分の好みで調整してね」と。
これを素直に言えるか言えないかで、気持ちがちょっと違うことにあるとき気がついた。
 
料理はちょっとした趣味みたいなもの。
自分の好きなものを好きなときに食べたい、ということから始まっている。
やりだしたのは中学生のときからだ。
 
両親が共稼ぎであり、兄弟もいない。
学校から帰ってきて、お腹すいたときに家にある食材で適当に作り出したのがきっかけ。
袋のインスタントラーメンに、野菜炒め作ってそれを具材にしたり、スープに他のだし粉末など混ぜ合わせたりしていた。
味の変化が楽しめて、なんか実験のようで楽しかった。
「これとこれを混ぜ合わせたら意外とイケるかも」と思って作ったものが、思い通りに美味しかったらもう自分は最高の達成感。
ちょっとした成功体験。
こんなことが繰り返されていくから、料理することがどんどん面白くなってくる。
 
もともと肉類が好きだったこともあり、高校生になると晩ご飯で肉焼く時などは自分でするようになった。
ご飯の支度はいつも母親がしてくれていたのだが、お肉を焼くときは、自分にやらせてほしいとお願いするようになった。
自分が満足のいくように、美味しいお肉を食べたいからだ。
このようになってくると、自分なりに結構いろいろと調べたりした。
いまみたいに「ネットで検索」なんてものは当然ない。
情報収集はもっぱら本屋での料理本の立ち読み、料理番組、そして母親がよく買っていた女性週刊誌。
これに料理特集記事とかよくあったので、それが結構役に立った。
 
そんなかんなで、料理の面白さにもハマり、そのバリエーションも増えていった。
自分のためだけでなく家族のために、ともその範囲が広がっていく。
 
自分で満足いくものを食べることができる。
それでいて、思い通りに仕上がったら達成感を味わえる。
そこに今度は、「美味しい」といってもらえることの喜びが加わった。
どんどん料理が好きなっていく。
 
結婚して、子供ができて、休日で家にいるときは朝昼晩とつくることもあった。
「美味しい」といってもらえることは大きなモチベーションだ。
 
思うような味にならないときも当然ある。
ちょっと気の短い私は思うようにいかなくなると、ついイラッとしてしまう。
「今日はちょっと味がバラついていたかな」なんて言われたら落ち込んだり、言い訳めいたこと口にしたり。
美味し思いをしてもらおうと頑張った結果がそぐわなかったりしたら、感情のやり場に困ってしまった。
恥ずかしい話だが、何かに八つ当たりしてしまったりしたこともあった。
 
あるとき、家内がこういってくれたことがあった。
「はじめくんが味見して、『これだ』と思った味でええねんで」
このときは、あまり深く考えず「わかった」と答えた。
でも、家内のこのことばは、思いのほかちょっと気負っていた私の気持ちをほぐしてくれていた。
 
「自分はこれがいいかなと思っているけど、もし味が薄かったりしたら適当に味を足してな。濃いようだったらごめんやで」
このことばが自分でも不思議とさらりと言えたのだ。
そしてこのことばを言ったときの自分の気持ち、これがなんとも楽だったのだ。
 
このときにふと気がついた。
どうやら美味しいものを食べさせたい、という思いのあまりちょっとした完璧主義者になっていた、ということを。
そしてその根っこにあるのは、承認欲求。
素直に喜んでもらおうという気持ちが、認めてもらいたいがために頑張る、みたいなことに気持ちのベクトルが向かっていたなぁ、と感じたのだった。
 
人はそれぞれ千差万別。
家族だから感覚を共有することは多いかもしれないが、それぞれ個々の存在だ。
そこで全て100点満点を取る必要はない。
 
ひとそれぞれに美味しいと感じるポイントなんて当然違う。
そもそもそれぞれに好みがある。
そもそもこのことが大前提だ。
 
これは自分が好きな味です。
私はこの味が好きです。
ちょっと食べてみてください。
これで満足してもらったら、それはそれでもう大変嬉しい。
でも、ちょっと好みと違ったら、ごめんなさい。
それぞれ好みの味にアレンジしてください。
 
こんな感じの思いでいると、身体も心も力が抜ける。
軽くなるし、気楽になる。
実際にこんな気持ちで料理すると、あれこれ考えることなく集中できて楽しい。
こんなことも料理の「コツ」なのかもしれない。
料理の手技のコツではなく、気持ちでのコツ。
気持ちのゆとり。
これもまた大きなスパイスかもしれない。
 
人を喜ばせることも大切だけど、自分押し殺してそっちばかりに意識向けていたらただしんどいだけ。
まさに、そんなことまでを感じてしまった出来事だ。
 
いろんな人づきあいの中で、よくある話ではないだろうか。
 
ちょっと思い悩んだりしたら、まずひと呼吸。
「自分は自分だし、人は人でそれぞれだ」
そう思って、まず先に自分の気持ちを優先して、ちょっと力を抜いてみる。
そんなことが、これからの人生をちょっと楽しく生きるコツのひとつなんだろうな、なんて思う。
 
***
 
 
 
 
この記事は、天狼院書店の大人気講座・人生を変えるライティング教室「ライティング・ゼミ」を受講した方が書いたものです。ライティング・ゼミにご参加いただくと記事を投稿いただき、編集部のフィードバックが得られます。チェックをし、Web天狼院書店に掲載レベルを満たしている場合は、Web天狼院書店にアップされます。
 

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2020-09-27 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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