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趣味はゆるゆると


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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:山﨑由莉(ライティング・ゼミ平日コース)
 
 
「子どもがもうすぐ2歳になるので」
そう言われて驚いた。確か彼女に出会ったのは、彼女が子どもを妊娠するもっと前のはず。ということは3年前? 4年前?
 
記憶を手繰り寄せて考えてみると、4年近く前になるかもしれない。なぜなら、夫の転勤を機に東京に戻ってきたのが、4年とちょっと前。その後出会ったのが彼女だった。
 
不思議なことだが「2年前です」と言われるより「もう子どもが2歳なんです」と言われた方が「2年」という月日の重みがとてもよく感じられる。2年の間に子どもの成長がいかにすごいものか、その重みが含まれているからだろう。
 
その2年を含めた4年近く、私は「バトントワリング」を習っている。バトントワリングとは、金属製のバトンをくるくる手で回す、演技やスポーツのことだ。ドラマやアニメで放送された「コメットさん」が回しているものと言えば、分かる方もいるかもしれない。
 
レッスンは、子どもたちがレッスンする片隅で、大人レッスンが開かれている。グループレッスンではあるが、かなり個人差が大きいので、個人個人に合ったレッスンをしてもらえる。私のようにアラフォーから始める全くの初心者もいれば、小学校時代にやっていて大人になって再開した人もいる。
 
かなりゆったりペースでレッスンをしている。子どもレッスンは毎週だが、大人レッスンは月に1〜2回である。講師と参加者の都合の合う日に設定されるため、2回の月もあれば1回しかない月もある。
 
講師である先述の彼女が妊娠した際は「絶対安静」が求められたため、産休育休も合わせれば、かなり長い間レッスンはお休みになった。やっと再開して安定してレッスンが受けられると思ったら、コロナで自粛要請が出て、レッスンがまたお休みになってしまった。最近ようやく再開されたと思ったら、またコロナでどうなるか分からない状況だ。
 
そんなわけで「4年近く習っている」とは言え、技術面は全く進歩していない。復習しているわけではないので、すぐに忘れる。年のせいもあるかもしれない。長いお休みから明ける度に、最初から学び直している。3歩進んで2歩下がるどころか、3歩進んで3歩下がっている。だから4年近く習っているとは言え、たいして習っていない。
 
このことが不満、ということは全くない。このペースはむしろ私にとって心地よい。だからこそ習い続けることができていると思う。なぜなら一時期、月2回、1回2時間のレッスンがきちんと続いていた時は何となく辛かった。いっそのことやめてしまおうかと考えていた。ちょっと私にはレッスンが多すぎたのだ。
 
レッスンそのものもゆるい。すぐに忘れてしまう私に、根気よく基礎の基礎からいつも教えてくれる。この「ハードじゃないレッスン」も、私によってはとても心地よい。気負うことなく楽しくレッスンが受けられるのだ。
 
バトントワリングを習うことはずっと興味があった。幼い頃、テレビで見ていた「コメットさん」がくるくるバトンを回すのに憧れた。「私も回したい!」と子ども心に思っていた。
 
大人になってから母と話をしていて「子どもの頃、バトンがやりたかった」と言ったら「言えばよかったのに。習わせてあげたのに」と言われて驚いた。当時「バトントワリングを習いに行く」なんて思いつきもしなかった。私の子ども時代の習い事と言えば、ピアノ、スイミング、そろばん、習字くらいだった。ひとつ上の学年に「バレエを習っている」という子がいて「バレエ? なにそれ?」という感じだった。
 
母は教師をしていたから、市内の赴任先の小学校の子どもたちが、バトントワリングを習っていたのを知っていた。だから「言ってくれればよかったのに」と。それを聞いて「言えばよかった」と思った。けれどももう今となったはどうしようもないことだ。
 
それから私は「大人向け初心者OK」の教室を探し始めた。「今から始めたっていいじゃない」と思ったからだ。教室探しはかなり苦戦した。なぜならいわゆる習い事のようにどこでもやってるわけでない。子どものスポーツ団として開かれている。その中で大人教室というとさらに絞られる。さらに絞られる上に、大人教室は大抵「経験者限定」だ。大人初心者OKの今の教室は、通える範囲で見つけられた唯一の教室である。
 
それから4年近く今もゆるゆると続けている。私のペースでできるのと、楽しいのと、日頃の運動不足解消のためである。
仕事についてからというもの、習い事や学びは全て仕事とつながっていた。「仕事としてやりたいもの」「仕事に役立ちそうなもの」しかやってこなかった。専門的な技術を学んだり、音楽関係ですら「趣味」してではなく、仕事に使えるのではないかと習ったりしていた。
 
だから今、完全な趣味としてバトントワリングを習っているのが不思議な気がする。仕事がらみの習い事や学びは「習得しなくては」という強い思いや目標があった。バトントワリングは何の目標もない。「習得しなくては」という気負う気持ちも全くない。だからこそゆるゆるペースで取り組んで続いているのだろう。
 
趣味なし人間だと長らく思っていたが、ようやく「趣味」と言えるものが見つけられたように思う。
 
 
 
 
***

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2020-12-05 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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