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失敗しても大丈夫


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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:KATO RISA(ライティング・ゼミ平日コース)
 
 
え・・・・・・ なんで私この問題解いてるんだ?
試験開始から30分。
 
気がついた時には手遅れだった。
頭が真っ白になった。
 
どうしよう、どうしよう・・・・・・
ドキドキドキドキドキ
 
私が受ける大学ってこっちでもいいんだっけ・・・・・・
 
混乱の中で、いまからできる作戦を必死で考える。
 
それは大学入試センター試験の、数学の時間だった。
 
センター試験では、受験する大学によって科目を選択する。
数学は「数学I」「数学I・数学A」からどちらか1つ、
「数学Ⅱ」「数学Ⅱ・B」「簿記・会計」「情報関係基礎」から1つ。
 
志望大学によって受ける科目が指定されている場合があるが、
「数学I・数学A」「数学Ⅱ・B」を受けておけばだいたいの
大学に対応できるので、と学校の先生からきき私もその2つを選択し、
受験勉強してきた。
 
高2の半ばごろから受験勉強をはじめ、センター試験当日まで、
定期テスト、模試が毎月のようにあり、数え切れないほどの問題を解いた。
 
実際にセンター試験を受ける会場で、本番さながらに受けられる模試もあり、
できる限り普段通りに試験が受けられるように練習を重ねてきた。
 
数え切れないほどの練習の中では、一度も間違えずに
「数学I・数学A」「数学Ⅱ・B」の問題を解いたのだが、
なぜか、本番で解き始めていたのは、
「数学Ⅰ」。
 
そう、私は解く科目を間違えていたのだ。
 
同じ問題冊子の中の、最初のページに「数学Ⅰ」、
少しめくると「数学I・数学A」の問題が始まるのだが、
なぜか本番だけ、最初のページから解き始めてしまった。
 
気がついた時には、開始からすでに30分がたっていた。
 
センター試験は時間が勝負。
設問ごとに時間配分を決めて、時計をみながら問題を進めていく。
 
もちろん、偏差値の高い人であれば30分たったところから
もう一度やり直すことも可能かもしれないが、凡人の私にとって
30分は死活問題。もはや取り返しはつかない。
 
また、回答はマークシートにかかれた数字を鉛筆で塗って進めていく。
1問でも回答がずれると最後までずれてしまう可能性もある。
問題は最後まで解いたのに、回答欄が余っている時の冷や汗といったら・・・・・・
それも模試で経験済みの失敗だった。
だから、中途半端に問題をさかのぼって回答を消すのも危険だ。
 
もはや、このまま突き進むしかない。
 
幸い、私の志望校は文系の大学で「数学Ⅰ」でも対応しているはずだ。
 
「はずだ」と書いたのは、正確には、試験中には携帯の使用はもちろん
できず、実際に対応しているかどうかを調べることができなかったためだ。
 
国公立大学はセンター試験と、大学ごとに問題が出される二次試験の
二度の試験があり、2回の結果で合否が決まる。
大学によっては指定された科目でセンター試験を受けていなければ、
二次試験を受けることさえできないかもしれない。
 
志望校が「数学Ⅰ」でも大丈夫、という確信はもてないけれど、
募集要項は何度も何度も見たので、きっと大丈夫。
 
自分を信じて突き進んだ。
 
チャイムが鳴る。
試験終了。
 
ふーーー
 
やっと一息つけた。
 
休憩時間になり、私はすぐに携帯で志望校の募集要項を調べた。
 
よかった・・・・・・ 「数学Ⅰ」でも大丈夫だ。
 
ほっとしたのもつかの間、次の試験は、
「数学Ⅱ・B」だ。
 
ここで私は思い切った決断をする。
 
こっちも「数Ⅱ」で受けてみよう、と。
 
何度も書くが、センター試験は練習がとても重要だと先生に
言われてきた。
普段と同じように、落ち着いて問題を解き、
実力が出せるように練習を重ねる。
 
本番当日に、今までやったことがない科目を受けたり
別の方法を試すなんて論外だ。
 
「浪人するお金はないから、受からなかったら働いてくれ」
と親から言われてきた私にとって、受験は一生に一度きりのチャンス。
失敗すれば、大学に行くことは一生できないかもしれない。
 
そんな状況であるにも関わらず、私が科目を変えようと思ったのには理由がある。
 
「数学Ⅰ」の手応えがあったからだ。
 
正直なところ、本番までの模試で私は良い判定を出せたことがなかった。
合格可能性がほとんどない、D判定、E判定を繰り返していた。
 
数学はすごく苦手ということもないが、「数学I・数学A」「数学Ⅱ・B」
は理系の大学を目指す学生も受ける科目なので偏差値が高くなるのに対して、
「数学Ⅰ」「数学Ⅱ」はほとんどが文系の学生が受ける科目なので、
比較的偏差値が下がりやすい。
 
理系も文系もいる中で順位を出せば、100番中80番だったとしても、
文系の中だけで順位を出せば30番くらいに入れるかもしれない、と
思ったのだ。
 
結果、思惑通り、数Ⅱも手応えがあり、他科目も比較的順調。
センター試験当日が私の受験勉強の中で、一番良い点数をとることができた。
 
それでも結局、志望校には合格することができなかったのだが、
この経験は私にとって、大きな自信になった。
 
社会に出れば日々、予想もできないようなことが起こる。
たくさん準備をしてもうまくいかなかったり、思いがけない失敗をしてしまったり。
今年はコロナで、明日がどうなっているかも分からない。
 
そんな時に思い出す。
センター試験のあの日、高校3年生の私は、本番当日に、
我ながら冷静な判断とチャレンジ精神で、失敗を成功に変えることができた。
 
想像もできないようなことが、これから先の人生もたくさん起こるだろう。
だけど、きっと、乗り越えられる。
 
落ち着いてその時にできる最善の策を探せば、
案外いい方向にことが進む場合もある。
 
だから、失敗しても大丈夫。
 
そう、未来の私にも伝えたい。
 
※受験当時2007年のできごとなので、試験の制度などが
現在と異なっている場合があります
 
 
 
 
***

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2020-12-05 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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