fbpx
メディアグランプリ

東北・光り輝く黄金の国

thumbnail


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

【2021年1月開講】天狼院「リーディング&ライティング講座」開講!本を「読み」、そして「書く」。「読んで終わり」からの卒業!アウトプットがあなたの人生を豊かにする「6つのメソッド」を公開!《初心者大歓迎!》

記事 古閑洋輔(リーディング・ライティング講座)
 
 
2011年3月11日
東北地方は巨大地震とそれに伴う巨大津波に襲われ甚大に被害を受けた。
だが悲劇はそれで終わらなかった。
東京電力福島第一原子力発電所の事故が発生し、その影響は今も続いている。
東京はじめ首都圏の電力を賄う為の発電所での事故、東北の人達にやりきれない思いは察するに余りある。
しかし国の中央の思惑が東北へ悲劇を与えたのはこれがはじめてでは無かった。
 
私は東北地方が好きだ。
私は旅行が好きで現在44都道府県へ行っている。
その中で最初に地方制覇したのは東北地方だった。
幼い頃家族と仙台や松島へ行ったのを皮切りに、学生の時や社会人になっても毎年夏に一人旅をしており、その行先に選んだのが東北だった。
 
何故東北へ行きたいと思ったのか?
そこにはある1冊の本があった。
 
私は子供の頃から不思議に思うと同時に心が掻き立てられる物があった。
それは歴史の教科書に出てくる「奥州藤原氏」だった。
 
奥州藤原氏
平安後期の約100年間、奥羽を支配した豪族。陸奥国平泉(現、岩手県平泉町)を本拠とした。 (山川出版・日本史広辞典より抜粋)
 
平泉の中尊寺金色堂で有名な奥州藤原氏には何とも言い表せないロマンと魅力を感じる。
 
今から10年くらい前。
平泉は世界文化遺産に登録されるか否かで話題になっていた。
その頃私は平泉駅へ降り立った。
駅前で自転車をレンタルした。
この時の目的地は平泉ではなかった。
平泉駅から中尊寺を通り過ぎ、川を渡ると平泉よりもっと田畑が広がっていた。
この辺りを衣川という。
私がずっと来たかった場所だった。
 
「炎立つ」高橋克彦 著
という小説がある。
1993年下半期の大河ドラマ原作でもある。(この年のみ年2作品だった)
 
物語は平安時代の東北地方を舞台に、蝦夷(中央政権から見て本州東部や東北部に住む人々の呼称)と朝廷との対立を軸に三部作で構成される
 
第一部は衣川から始まる。
主人公 藤原経清(つねきよ)は上司である陸奥守(中央から派遣された東北地方を収める地方長官)と共に衣川へ訪れた。
蝦夷が暮らす場所など野蛮な場所で寂れた片田舎だと思っていた。
しかしそこに広がる光景は彼らを驚かせるものだった。
数万の民が暮らし、多くの店が立ち並び中国など異国の文物などもあったのだ。そしてなにより陸奥で産する黄金が豊富にあったのだ。
衣川は当時の東日本で一番ともいえる街だったのだ。
 
それから約1000年。
今の衣川には当時を思わせるものはほとんど残っていない。
 
陸奥の富。
悲劇はここから始まる。
 
野蛮な田舎として侮っていた中央の貴族や武士がこぞって陸奥の豊かさに目を付けたのだった。
「野蛮人にはもったいない」
それから足掛け40年近くも陸奥では争いが続く。
 
藤原経清は陸奥に暮らす武士だった。
公明正大であり「義」を重んじる評判の武士だった。
当初は朝廷の命令に従っていた。
しかし陸奥に住む人々の心に触れ、中央の欲にまみれ見た目は上品だが心は獣のような人たちを見て決断した。
「俺は人間につく」
朝廷を見捨て蝦夷の味方になったのだ。
しかし経清には悲劇が待っていた。
 
大河ドラマでは名優・渡辺謙が経清を演じていた。
小説の経清もドラマの経清もかっこいいのだ。
義や友情、家族との愛情に生きる熱い男。
渡辺謙といえば大河ドラマ「独眼竜政宗」での伊達政宗やハリウッド映画「ラストサムライ」などが有名だが、藤原経清も勝るとも劣らない良さがあった。
 
奥州藤原氏は初代藤原清衡、2代基衡、3代秀衡と続き、4代泰衡で滅びる。
一般的には藤原3代(4代)と言われることが多い。
藤原経清は初代清衡の父親、いわば奥州藤原氏0代といえる存在だった。
 
子供の頃から奥州藤原氏が気になっていた。
奥州藤原氏は教科書などには中尊寺金色堂と共に突然現れる。そこには東北地方の戦乱の中から藤原清衡が奥州の支配権を獲得したと書いてあっても経過など分からなかった。
 
平泉や中尊寺には何度も行ったことがある。
平泉周辺ははっきりいって田舎だ。
「なんでこんな田舎に黄金で出来たお寺があるのだ?」
子供の頃に初めて行った時からずっと疑問に思っていた。
 
藤原経清を主人公にした「炎立つ」という歴史小説によって全ての疑問が氷解した。
 
第一部は0代藤原経清が主人公。
第二部は初代清衡、第三部は4代泰衡が主人公になる。
その話も陸奥に光り輝く美しく平和な国をつくろうと不撓不屈の精神で戦う男の話である。
歴史小説とはミステリや恋愛小説などと違い結末が分かっている物語だ。
作品の中で光り輝いていた衣川や平泉はもう今は無い。
しかしその切なさがあるからより作品が輝くのかもしれない。
 
私はこの作品を読んでから東北がもっと好きになった。
その後も奥州藤原氏に関わる場所、関わらなくても東北に生まれ東北の為に戦った熱い男達の活躍した場所に行っている。
 
東日本大震災の後には太平洋沿いの被災した街にも何度も行った。
 
はっきり言って東北は不便だ。
仙台や盛岡など東北新幹線の駅には簡単に行けるが内陸や海沿いに行くには多くの時間がかかる。
それでも行ってみたいと思わせる魅力がある。
まだまだ行きたい場所が残っている。
私はこれからも東北へ行き続けるだろう。
 
 
 
 
***
 
この記事は、天狼院書店の「リーディング&ライティング講座」を受講した方が書いたものです。ライティング・ゼミ、もしくはリーディング&ライティング講座にご参加いただくと記事を投稿いただき、編集部のフィードバックが得られます。チェックをし、Web天狼院書店に掲載レベルを満たしている場合は、Web天狼院書店にアップされます。

【2021年1月開講】天狼院「リーディング&ライティング講座」開講!本を「読み」、そして「書く」。「読んで終わり」からの卒業!アウトプットがあなたの人生を豊かにする「6つのメソッド」を公開!《初心者大歓迎!》

お問い合わせ


■メールでのお問い合わせ:お問い合せフォーム

■各店舗へのお問い合わせ
*天狼院公式Facebookページでは様々な情報を配信しております。下のボックス内で「いいね!」をしていただくだけでイベント情報や記事更新の情報、Facebookページオリジナルコンテンツがご覧いただけるようになります。


■天狼院書店「東京天狼院」

〒171-0022 東京都豊島区南池袋3-24-16 2F
TEL:03-6914-3618/FAX:03-6914-0168
営業時間:
平日 12:00〜22:00/土日祝 10:00〜22:00
*定休日:木曜日(イベント時臨時営業)


■天狼院書店「福岡天狼院」

〒810-0021 福岡県福岡市中央区今泉1-9-12 ハイツ三笠2階
TEL:092-518-7435/FAX:092-518-4149
営業時間:
平日 12:00〜22:00/土日祝 10:00〜22:00


■天狼院書店「京都天狼院」

〒605-0805 京都府京都市東山区博多町112-5
TEL:075-708-3930/FAX:075-708-3931
営業時間:10:00〜22:00


■天狼院書店「Esola池袋店 STYLE for Biz」

〒171-0021 東京都豊島区西池袋1-12-1 Esola池袋2F
営業時間:10:30〜21:30
TEL:03-6914-0167/FAX:03-6914-0168


■天狼院書店「プレイアトレ土浦店」

〒300-0035 茨城県土浦市有明町1-30 プレイアトレ土浦2F
営業時間:9:00~22:00
TEL:029-897-3325


■天狼院書店「シアターカフェ天狼院」

〒170-0013 東京都豊島区東池袋1丁目8-1 WACCA池袋 4F
営業時間:
平日 11:00〜22:00/土日祝 10:00〜22:00
電話:03−6812−1984


2020-12-06 | Posted in メディアグランプリ, 記事

関連記事