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メディアグランプリ

拝啓 明日が来なければいいのにと思っていた10年前の私へ


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:藤井さやか(リーディング&ライティングゼミ)
 
 
10年前の私へと、手紙を書きます。(便宜上わたしに対して「あなた」と呼びかけますね、何だかおかしいけれど。)
 
「魂の闇夜」という言葉を知っていますか?スピリチュアル界隈で使われる言葉で、陳腐な言葉で言えば「覚醒前の不幸な時期」のようなイメージでしょうか。例えば「家族との死別をきっかけに悲しみにくれて引きこもっていた時期を乗り越えて、今は自分を活かした仕事をしている」というような人物を想定すれば、この悲しみにくれて引きこもっていた時期が、「魂の闇夜」の時期という事になります。
 
そうです。あなたがいまいる場所は、間違いなく「魂の闇夜」です。いつ明けるともわからない闇夜。残念ながら、あと10年は続きます。そして、10年後もまだ明けはしないでしょう。あなたは何も生み出さず、ただただ与えられるものを消化することだけをし、心から笑うことも出来ず、いつも自分の無力感にさいなまれ、やることなすこと、失敗とまでは言わないまでも、成果とは程遠い結果ばかりを積み上げることになるでしょう。涙も枯れ、あらゆるやる気はなくなります。そして、あなたの最も望んだ子供を授かることは、できません。
 
どうですか?生産性のない自分は死んだ方がましですか?もし、そう思うなら、どうかこの本を読んでください。だいたい、近頃のあなたときたら「日本一簡単な〇〇の本」だとか、「〇〇に必要な10のこと」的な、色気のない、現実的で物質的で、目的のはっきりした本ばかり読んでいるではありませんか。だからいつまでも闇夜なのです。どうして、あなたの好きな小説をもっと読まないのですか。
 
はっきり言います。あなたが、今つらいのは、人生の教科書を求めてさまよっているからです。「正しい目的」「正しい社会人」「正しい生き方」に自分を当てはめることができないからです。心の底では、色んなことを効率化して、集中して、いわゆる出来る人になって、人から「お前は価値がある人間だ」と言われることがあなたの人生の目的だとは思えないからです。もちろん、それはそれで素晴らしいことです。生きているのですから。でも、あなたは誰かの正解に自分をあてはめなくていい。
 
ここに1冊の本があります。本屋大賞という賞を受賞したばかりの凪良ゆう、という作家の最新作です。「滅びの前のシャングリラ」。正直、キラキラした本ではありません。言うならばギラギラべっとり、した本です。あなたの好きな胸が高鳴るロマンスも、ドレスも宝石も豪華ディナーも出てきません。でも、私はこの本をあなたに勧めます。なぜなら、あなたにぜひ、この本のシチュエーションでの思考実験を行っていただきたいからです。
 
何かで読んだ覚えがあります。人はみな、どこかで自分は死なないと思っているのだ、と。
あなたはどうですか。
死にたいという積極的な願望を持つほどではないものの、どこかで「自分で自分を殺すことがなければ、自分は死ぬことがない」と考えているのではないでしょうか。
 
物語の中では、世界の余命が1か月、とわかってしまった登場人物たちが、崩れ落ちていく社会の中で、「幸せとは何か」を問う物語です。学校でいじめを受ける少年、人を殺したやくざ、人気絶頂の歌手。それぞれの立場で、「余命1か月」となった時に起こるドラマを通して、この作品は問いかけてきます。
 
あなたの正義は何ですか。
あなたが、何を犠牲にしても大切にしたいものは何ですか。
あなたが守りたいものは、貫きたい思いは?
 
少しだけ、あなたに未来をお伝えしましょう。2020年は新型ウィルス感染症に世界中が振り回される1年となります。大型イベントや行事は中止、あるいは延期となり、世界中の主要都市で外出が禁じられます。
 
でも、悲観的にはならないでください。なぜなら、私はその、外界との接触が極端に制限される生活の中で、とても幸せに生きることができたのです。それは、自分にとっての幸せの軸をこの究極の状況の中で見つけたからです。活発な人づきあいの中で自分がどう思われるかという事に一喜一憂し、SNSの投稿の内容に悩み「いいね」の数を数える毎日から、解放されたからです。社会から隔離されてはじめて、自分が何が好きで、誰が大切なのか、どうであれば幸せなのかがはっきり分かったのです。その内容は、ここには書きません。それは、あなたが自分で見つけるものですから。
 
ただ、私は思うのです。もし、10年前に見つけていたら。理解していたら。毎日をもっと心穏やかに、幸せに大切に生きられたのではないかと。
 
最後にひとつだけ。希望の形は、人それぞれのようで、とても似通っているものなのかもしれません。なぜなら、不吉な題名と帯の文句にも関わらず、読後感はとても爽やかなものでしたから。
 
 
 
 
***
 
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2020-12-06 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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