本を読んでも3分で眠たくなっていた私が選ぶ、読書が苦手な人に贈りたい、読みやすくて為になる本
*この記事は、「リーディング・ライティング講座」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
記事:内田智子(リーディング・ライティング講座)
「本を読みなさい」
子どものころから母によく言われたセリフだ。
理由はよく分かる。語彙力もつくし、想像力も豊かになるだろう。それだけではない。人から言われたのでは素直に聞けない言葉でも、本から文字として入ってくると素直に受け入れられることも多い。本だからこそ素直に学べることも多いのではないか。私は子どもの頃から体を動かすことが好きで、じっと机に座っているタイプではなかった。勉強は嫌いじゃなかったので、参考書ならまだ何とかなるのだが、小説や物語を読み始めても、3分も経てば眠たくなってきてやめてしまう。大人になってからもそれは大きく変わることはなく、途中で読まなくなってしまった本が何作本棚に埋もれているかわからないぐらいだ。
そんな私が、今では週に1冊は本を読んでいる。年に2回実家に帰る度に、母にここ半年で読んだオススメの本を持っていく。正直、数年前までは本を読んで何かを学ぶなんて、全く想像できない人生だった。そんな私が選ぶ、読書が苦手な人に贈りたい、読みやすくて為になる本を3冊選んだ。私を本好きに変えてくれたきっかけを作ってくれた3冊である。
①『置かれた場所で咲きなさい』 渡辺和子
この本は私のような読書が苦手な女子にオススメの本。確か数年前にテレビ番組でも取り上げられて、ミリオンセラーとなった本だ。本の厚みも薄いので、気軽に手に取れるのが良い。
30歳間近でシスターとなり、その後アメリカに行って学位を取り、36歳という若さで見知らぬ土地の大学学長になるという苦労人の著者。正論が連なって攻めてくるのかと身構えたのも束の間、本を開いて1ページ目の「はじめに」に続く一文で、もう私の心はグッと掴まれていた。
「修道者であっても、キレそうになる日もあれば、眠れない日もあります」
はい、降参です。絶対これ最後までちゃんと読みます!
忙しく過ごす毎日でも、夜寝る前に1テーマずつ読んでいくことで、ホカホカな気持ちでベッドに入ることができる。むしろ、次はどの隙間時間を使って、この本を読めるかと考えている自分がいる。気づけば、たった数日で読んでしまった。しかも、その翌日には同僚のママさんにまでオススメしていた。
「私でも100%信頼されたら迷惑だといいます。私も間違う余地を残しておいてほしいから」
この本で最もグッと心を掴まれた言葉だ。信頼は98%で、あとの2%は相手が間違ったときにとっておく。100%信頼されるのは本当に嬉しいことだが、同時にプレッシャーも感じる。完璧な人なんていないから、2%の心のゆとりをもっていることで相手を許せるし、自分のことも許せるのだ。置かれた環境で、自分の現実を受け入れて、精一杯花を咲かしてやろうと勇気をもらった一冊である。
②『賢者の書』 喜多川泰
この本は男性にもオススメしたい本だ。ファンタジーな自己啓発本。
リストラ寸前の中年男アレックスは、「賢者」に会って学ぶために1人で旅をする少年サイードに出会う。サイードが賢者たちから学んだことが書かれた「賢者の書」を読む形で物語が進んでいく。
まるでゲームをやっているような感覚で、どんどん次のステージに進みたくなってくる。そのうち本当にゲームなんてほったらかして、早く次の賢者に会いたくてたまらなくなるのだ。
第7の賢者の教えが、私の胸の奥でずっと渦を巻いている。
「人間は何を探して生きるかという点において、二つに大別される。ひとつは、自分を幸せにすることを探す人々。もうひとつは、他人を幸せにすることを探す人々」
どちらの人間の方が幸せかと考えると、答えは簡単である。でも大部分の人は、簡単であるにも関わらず、なかなか後者を選べない。自分の幸せばかりを求めてしまう。私の周りの人々には、どちらの人が多いかな。親友に質問をしたら、私はどちらの人間になるのだろう。期待と不安がぐるぐると渦巻く。とにかく明日から行動してみようと覚悟を決められた一冊である。
③『素敵な日本人 東野圭吾短編集』 東野圭吾
この本は9つの短編ミステリーで構成されている。ミステリーといえば東野圭吾。これまで、いくつも著者の本を原作に映像化された映画やドラマを目にしてきた。
読書に苦手意識を持っている私にとって、長編小説はかなりハードルが高かった。特に長編ミステリーは、途中で訳が分からなくなってしまったり、何回も振り返って読み返さないといけなかったりするので敬遠していた。短編ならばさほど混乱せずに読めるかと思い、手にとってみたのだ。またそれ以前に、タイトルがミステリーっぽくなくて惹かれるものがあった。結果は大正解。短編だから単純なストーリーというわけでもない。まるで1話完結型のドラマを観ているかのうようだった。しかも毎回がスペシャルドラマ級だ。本当に同じ著者が書いた作品なのかと疑問に思うほど、多彩な展開。ドキドキ、ワクワクしながら、あっと言う間に読めてしまった。
中でも最後の二編が、その後の私の読書人生を大きく変えてくれた。
「クリスマスミステリ」という一編は、ラストに向けてどんどん押し寄せてくるゾワゾワ感がたまらない。これぞミステリーって感覚。ああ、私ミステリーが好きだと改めて気づいた一編である。また、「水晶の数珠」という一編も、時間軸をずらした話の作り方がたまらなく面白い。設定や展開も全く異なる二編だが、どちらが好きかなんて私には選べない。ああ、私、東野圭吾の本が好きだ。この本との出合いを機に、それまで敬遠していたこの著者の長編ミステリーにも手を出してしまった。今では、本棚の半分が著者の作品で埋まっている。是非、長編なんて読む自信ないよって人は、短編集から読み始めることをオススメする。
私は本好きにはなったが、文章を読むことが得意になったわけではない。相変わらず、本を読み始めて5分もしないうちにあくびが出てくるし、気づくと本を開いたまま寝ていることも多い。それでも本は、いつもいろんな事を教えてくれる。本を読むことで、いろんな人に会って、いろんな場所へ行き、いろんな体験をしている感覚になる。無限に、いろんな自分になれる気がしてくる。本は、いつでも、どこでもワクワクさせてくれる。
「本を読んでみなさい」
将来、私もたぶん娘に言うと思う。
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