「賢い生き方」とは
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記事:あかほりひとみ(ライティング・ゼミ日曜コース)
>>神様、わたしにお与えください
>>自分に変えられないものを受け入れる落ち着きを
>>変えられるものは変えていく勇気を
>>そして、二つのものを見分ける賢さを
この言葉と初めて出会ったのは四年半前。大学四年生の初夏、就職活動真っ只中である。
採用選考活動解禁と言われて間もない頃なのに、周囲には最終面接を控えた友人達が大勢いたのを覚えている。そんな中で一人、私は手駒を切らさない事に焦っていた。会社からお祈りを頂いては別の志望先を見つける、を繰り返す日々だった。
当時はとにかく、正社員として働く選択が至極当然だと思っていたはずだ。
ちょうど四年前の今頃、ついに私は内定を獲得した。
正社員は正社員である。が、会社勤めではない。個人クリニックの医療事務として採用された。想定していた結果とは違ったが、大学卒業後はひとまず安心だった。
周囲からも好印象だったらしい。両親は「医療系なら安泰だ」と胸を撫で下し、友人は「結婚して子供が出来てもパートになれるから良いね」と一緒に喜んでくれた。嬉しかった。就活商戦で売れ残ったこんな私を拾ってくれたクリニックのため、自分事のようにお祝いしてくれる周囲のため、私は医療事務の仕事を辞めないぞと誓った。
実際問題、医療事務の仕事は嫌いではなかった。
さて、上記の「ニーバーの祈り」である。
それと再び出会い、私は初めて、作者がラインホルド・ニーバーという神学者だと知った。つい先日の話だ。日本語訳では「平安の祈り」とも呼称されているらしい。確かに読むだけで心穏やかになれる。退職を一か月先に控えた私を支えてくれる存在だ。
現在、転職活動はしていない。日々、その時々の気分で、「一般事務で働く」「本屋でバイトがしたい」「カウンセラーを目指す」「プー太郎で良いかな」などと言ったり言わなかったりしている。つまり退職後に何の目途も立っておらず、宙ぶらりんで吊り下がっている。
果たして、就活時代の私と現在の私、賢い生き方をしているのはどちらだろう?
大学四年生時点でなら間違いなく前者を選択するはずだ。周囲から出遅れながらも正社員の内定を諦めなかったのも、それが正しいと信じて疑わなかったから。また、周囲もその選択で正しいと評価してくれると分かっていたから。その上さらに社会的に見ても無難で、常識的で、万人受けする選択だったと言えるだろう。
だが、それでも私は問いたい。「賢い生き方」とは、一体なんなのだろう?
私も最近になって気が付いたが、正しい=賢いという等式は必ずしも成り立たない。
正しさは変わる。いや、正しさは変えられるものと言える。現に働き方や恋愛観や生活様式などは変化しており、新型コロナウイルス感染症流行によりそれは更に加速した。昨日まで正しかった価値観は、明日には誤りになってしまう可能性だってある。
正しさを基準に生きていると、日々変化する生き方となってしまうだろう。定まらない価値観に振り回され、流され、安定しない。それを賢い生き方と呼べるのだろうか。
少なくとも、私はそれのどこにも賢さを感じられない。
では、何を基準に生きていくのか。
何があろうとも、誰の手によっても、たとえ時間経過でさえ変えられない存在がたった一つだけある。私たちがみなそれぞれに、そのたった一つを持っている。自分、である。
ついに内定を獲得して安心した自分、医療事務の仕事を辞めると決めた自分、退職後の進路を決め切れない自分。全てが自分に変わりはない。加えて言うと、正しさを基準に正社員として働き、周囲の評価を正しいと信じて疑わなかったのも、自分である。
私が私、つまり自分であることは何事にも変える事の出来ない事実だ。
ニーバーの祈りに添って考えるなら、私が私であることは変えられず、一方で価値観は変えられる。しかし、価値観を採用しているのも私なのだ。そんな私を私は受け入れ、反対に、私は自分の価値観を変えていかなければならない。どう自分と価値観を見分けていくか?
その方法にはもう、足掻いて、悩んで、もがくしかない。
賢く生きるのに、それらの方法は一見、相反するように思える。一般的に賢さといえばスマートで分別のある様子をイメージさせ、反対に足掻いたりもがいたりする様は、未熟で考えが足らない様子を想像させるだろう。
それでも私は断言したい。「賢い生き方」とは、足掻いて、悩んで、もがく事なのだ。
結局のところ私たちが賢く生きる事を求めるのは、幸せになりたいからだ。極論を言えば、幸せになれるのならどんな価値観を持っていようとも気にも留めない。日々変化する価値観の中で、幸せな自分が不変的に存在してさえいればいい。
つまり、いつ何時も自分は幸せな存在であり続けようとすること。
そのために私たちは足掻き、悩み、もがき続ける。自分が幸せになる事を諦めないで、我武者羅に道を切り開いていこうとする事が、「賢い生き方」なのである。
***
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